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生活保護は年金受給者でも受け取れる?年金だけでは生活できない?

 2020/10/16 お金に関する豆知識   36 Views

生活保護は、最低生活費に満たない人が受給できる最後のセーフティーネットです。それでは、年金を受給できる人は受け取れないのでしょうか?

今回は、生活保護と年金の関係について解説します。

生活保護とは

生活保護とは、国が定めた「最低生活費」に満たないくらいの収入しかない人達を保護するための制度です。

厚生労働省のホームページでは、生活保護制度の趣旨について以下の通りに解説しています。

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

引用元:厚生労働省|生活保護制度

「必要な保護」に使う金額は、国が定めた基準である「最低生活費」を基準として計算を行います。
最低生活費は日本全国、誰でも一律ではありません。分かりやすいのは家賃でしょう。

東京や大阪のように土地が狭く人口が多い地域の家賃・地代は、地方都市のように土地が広い場所に比べると高いのが一般的です。

そのような物価の違いによって、自治体ごとに最低生活費が異なります。

最低生活費は、居住地の他にも以下のような条件で異なります。

  • 世帯人数
  • 年齢
  • 母子家庭・障害の有無
  • 持ち家の有無
  • 子どもの有無
金額は申請者が置かれた環境に大きく左右されるため、詳しく知りたい場合は最寄りの福祉事務所まで確認してください。

以下の記事では、生活保護費(最低生活費)の算出方法・受給金額についてまとめています。受給金額に興味があれば、併せてご覧ください。

>>生活保護の金額・支給額はいくら?計算式から解説

生活保護と公的年金の役割の違い

生活保護

資産や能力を全て活用しても、なお生活に困窮する人を対象にして最低生活費の保障と自立をサポートするのが、生活保護です。

就労で得た収入があれば、最低生活費から差し引かれ不足分が支給されます。
生活保護の申請を受けた段階で、資産状況・収入状況について厳格な調査が行われます。

調査においては申請者を扶養できないかを家族・親族に確認する「扶養照会」が行われるのが原則で、扶養できる家族がいるなら、そちらが生活保護に優先です。

原則として自動車・貴重品・ぜいたく品・高価な家財道具といった換金できる財産は換金を求められます。
今の生活に使っているものであっても処分を求められるため、今までと同じ生活を送ることはできません。

公的年金

公的年金は、高齢になった際の収入減退を補てんすることで、老後生活を安定させるのが目的の制度です。

現役時代の収入の一定割合を保障することで、老後の生活費の基礎的な部分に対応しています。

他の収入や資産に関係なく、現役時代の保険料納付実績に基づいて給付金額が設定されます。ほかに収入があっても原則減らされることはなく、資産の保有に制限がかかることもありません。

年金受給者でも生活保護は受けられる

結論から言えば、年金受給者でも生活保護を受けることはできます。
しかし、別々に満額を受け取ることは出来ません。

一定の収入基準に達しない人は全員受け取れる制度

生活保護は、最低生活費に満たない収入しか得られない人に収入を補てんする制度です。

働いても財産を処分しても、それでも一定の収入に満たない場合に支給されます。

ただ単に老後になって「年金が受け取れないから」という理由で申請しても受理されません。

受け取れる金額は「生活保護費から年金を差し引いた額」

公的保障である年金も、収入としてカウントされます。
老齢基礎年金や老齢厚生年金はもちろん、障害年金・遺族年金も同様です。

他にまったく収入がなかった場合、年金受給者の生活保護の支給額は以下の通りです。

最低生活費-年金収入=生活保護支給費

生活保護費を満額受給できるわけではない点に注意が必要です。年金と生活保護の両方から支給を受けることは出来ますが、年金の分は収入としてカウントされることで生活保護から減額されます。

現役世代に年金保険料を払っていなかった人(生活保護費)と、年金保険料を払っていた人で、受け取れる金額(生活保護費+年金)の金額が同じという事です。

中には「それじゃあ、年金なんて払うだけ無駄なのでは・・・?」と考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、生活保護はメリットばかりではありません。

処分できる資産は全て処分する必要があり、私生活に制限が出てきます。
公的な保険を確保し、不足分は現役時代に貯めた金融資産で補うというのがセオリーです。

生活保護に頼らなくても生活できれば、資産を処分する必要もありません。
定期的にケースワーカーとの面談を行う必要もないのです。

やはり、現役世代の内からしっかりと年金と収めつつ貯蓄を作っておくのが豊かな老後への近道と言えます。

生活保護を受給できる条件

生活保護は「生活に困っているから・・・」「年金がもらえないから・・・・」といった理由だけで受け取れるほど甘くはありません。

厚生労働省では、生活保護を受ける条件を以下の通りに定めています。

生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。

引用元:厚生労働省|生活保護制度

つまり、以下の条件を満たす必要があるということです。

  • 働けない人
  • 預貯金がない人
  • 換金できるなら換金する
  • 家族・親戚から援助が受けられない
  • 生活保護以外の制度をすでに活用している

働けない人

「利用し得る能力」という項目にある通り、まずは「働けるなら働く」のが大原則です。
働いて収入を得て、それでも最低生活費に満たない場合に生活保護の対象になります。

預貯金がない人

利用し得る資産・預貯金がある場合、生活保護を受けることはできません。
まずは預貯金を取り崩して生活費に充てることを求められます。

換金できる物は換金する

現金の預貯金だけでなく、貯蓄性のある生命保険(終身保険・養老保険)も取り崩しの対象です。
解約して解約返戻金を受け取ることで、生活費に充てる必要があります。

売却すればまとまったお金に変わる高級家具や貴金属がある場合、これらを残しながら生活保護を受けることはできません。

処分していないのに申請をしても、申請は通らないと考えておく方が賢明です。
申請を受けて行われる調査で家庭を訪問が実施されるため、換金できる資産が残されている場合はここで発覚します。

家族・親戚から援助が受けられない

家族・親族の扶養を受けられる場合は、そちらが当然に優先されます。生活保護の要否を決める調査においても、家族や3親等以内の親族に「扶養照会」が行われるのが原則です。ただし、扶養は強制ではありません。

家族がいても扶養の意思がないのなら、生活保護の対象になります。

生活保護以外の制度をすでに活用している

この項目が年金受給者に関係してきます。

生活保護はあくまで「最後の手段」であるセーフティーネットですから、老齢基礎年金や老齢厚生年金から年金を受給している場合、そちらが優先されます。収入として見なされるため、他の公的制度の受給分は生活保護費から差し引かれてしまいます。

生活保護に優先する制度は、年金以外にも以下のような制度も含まれます。

制度名 内容
失業保険 会社を退職した場合に受給できる給付金
労災保険 勤務中のケガなどで就業できなくなった場合の現物給付
母子父子寡婦福祉資金 ひとり親世帯が子育て費用を借りられる制度
生活福祉資金貸付制度 無職世帯などを対象にした国の貸付制度

年金とは

年金の種類

日本の年金は、俗に「3階建ての制度」と呼ばれています。

1階には、国民全員が加入する国民年金(基礎年金)、2階には会社員・公務員が加入する厚生年金、3階プラスアルファで加入する任意の年金(私的年金)が該当します。

国民年金

日本に住む20歳~60歳の全ての人が加入する義務がある年金です。

年金制度の1階部分にあたります。加入時には国民年金、受け取り時には「老齢基礎年金」と呼ばれるため分かりにくいかもしれませんね。

自営業者やフリーランスなどの「第1号被保険者」の場合、国民年金のみに加入することになります。

厚生年金

会社員が公務員が加入するのが厚生年金です。
第2号被保険者と呼ばれ、厚生年金に加入して保険料を払うことで、自動的に国民年金にも加入して保険料を払っています。

国民年金では年金保険料を納めた回数によって支給金額が変わり、満額貰えるなら、誰でも同じ金額が受け取れます。

一方の厚生年金は支払う保険料によって(年収によって)将来の受給金額が変わる点が特徴的です。

私的年金

公的年金に上乗せするために、加入者が任意に加入できる制度が私的年金です。公的年金の3階建てにあたります。

老後の資産形成で話題の「個人型確定拠出年金(iDeCo)」が代表例です。

iDeCoを活用すると年金と別に60歳まで掛け金を拠出することになり、投資信託などの投資商品を運用することで得た利益を将来受け取ることができます。

普通は投資の運用益には20%課税されますが、iDeCoでは非課税です。
掛け金が小規模企業共済掛金控除の対象として、所得税・住民税の還付を受けることもできます。

中でも恩恵を受けられるのが「第1号被保険者」と呼ばれる自営業者やフリーランスです。

国民年金しか受け取れない自営業者の場合、将来の年金が会社員より少なくなります。

iDeCoでは第1号被保険者が拠出できる金額が大きい(最大月68,000円)ため、国民年金の少なさをカバーすることが可能です。一方の会社員・公務員は厚生年金だけで十分な金額を受け取れるため、iDeCoに拠出できる金額は少なくなります。

年金の受取額

老齢基礎年金

老齢基礎年金で1年に受け取れる金額は、満額781.700円(令和2年現在)です。
20歳~60歳までの40年間(480ヶ月)で保険料を納付した回数に応じて支給される金額が決まります。

480ヶ月のうち、15ヶ月分を未納で60歳を迎えた場合の受給金額は以下の通りです。

781,700 × 465 ÷ 480 = 757,272円

約76万円が1年間の受取金額という事です。

老齢厚生年金

老齢厚生年金では、度重なる制度改正で計算式が複雑になっています。

基本的な考え方は「定額部分+報酬比例部分」です。

報酬比例部分の面金額(本来水準)

本来水準

画像引用:日本年金機構|老齢厚生年金

「平均標準報酬月額」は、平成15年3月までの被保険者期間の各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間月数で除した額です。

「平均標準報酬額」は、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間月数で除した額です。

報酬比例部分の年金額(従前額保障)

従前額

画像引用:日本年金機構|老齢厚生年金

本来水準によって算出した金額が従前額保障の式を下回る場合、従前額保障で算出された額が年金額になります。

ここに「1,630円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数」で計算される定額部分を加算することで厚生年金の金額が算出されます。

実際には、受け取る人の配偶者の条件次第「加給年金」が支給されるたため、計算はより複雑になります。

毎年送られてくる「年金定期便」を確認し、いま現在の厚生年金の支給金額を確認する方が早くて確実です。

老後の1人あたりの生活費

生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」によれば、老後に最低限必要な日常生活費は約22万円です。

一方、ゆとりのある老後生活に必要にな生活費は平均14万円。2つ揃えると平均で36万円にもなります。

60歳で退職して90歳まで生きると仮定した場合、ゆとりある老後に必要なお金は1億2,960万円にもなる計算です。

どうしても難しいなら生活保護も視野に

ゆとりある生活を30年続けるだけの金額(約1億円)を、年金だけで受け取ることはできません。
現役時代の貯蓄が不十分な場合、老後の生活水準を最低の22万円まで下げる必要があります。

それでも、22万円×12×30年=約8,000万円のお金がかかることになります。
年金定期便を見て将来受け取れる年金額を確認し、不足分を現役時代のうちに貯金できるように準備を進めていきましょう。

生活保護は年金受給者でも受け取れる?年まとめ

今回は、生活保護と年金の関係を解説しました。

年金を受け取っていても、生活保護で受給できる金額は年金をもらえない世帯と変わりません。

「資産を売却する必要がある」「必要以上の貯金ができない」などデメリットも大きいですから、できる限り自分の力で蓄えを作っておくことが大切になります。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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