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生活保護受給者でも介護保険に加入する!年齢ごとのポイント解説

 2020/12/01 お金に関する豆知識   148 Views

40歳以上になると介護保険に加入する義務があることは、ご存知の方が多いでしょう。

それでは、生活保護の受給者の場合にはどうなるのでしょうか。
生活保護を受けると国民健康保険からは脱退するため、原則としては介護保険が受けられないということになりそうです。

しかし、それでは介護の費用を生活保護の受給者が支払うことができないでしょう。

今回は、生活保護と介護保険の関係性について解説します。

生活保護とは

生活保護とは、国民の生存権を保障している「日本国憲法第25条」に基づき、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度です。

日本国憲法25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
引用元:厚生労働省|生活保護制度

経済的に困窮する人に国が給付を行い、その人がふたたび自立できるように支援することを目的にしています。

生活保護の基本原理

生活保護法には以下の4つの基本原則があります。

  • 国家責任の原則
  • 無差別平等の原則
  • 最低生活保障の原理
  • 保護の補足性の原理

第1条:国家責任の原則

生活に困窮する人への最低限度の生活保障を国が責任をもって行い、その人の自立を促すことを目的にしています。

第2条:無差別平等の原理

生活の困窮に陥った原因や社会的身分、性別や年齢に関係なく、法律が定める要件を満たしていれば、誰もが平等に差別されることなく保護を受けられるのが生活保護です。

第3条:最低生活保障の原理

「最低限度の生活」で保障される生活水準は、憲法第25条にあるとおり「健康で文化的な生活」を営むことができる水準です。

第4条:保護の補足性の原理

生活保護を利用するためには、利用できる資産や能力その他あらゆる手段を活用することが前提です。それでもなお生活に困窮する場合に不足分を生活保護で補います。

例えば病気が治癒して働ける状態にもかかわらず働かない場合は、補足性の原理によれば生活保護は受けられないということです。

能力の限り働いて、それでも不足する分を生活保護として受け取れます。

そのほか、生活保護を受ける前に、両親や親族などにケースワーカーから「扶養の可否の確認」が行われることも知っておきましょう。

誰かの扶養に入れるのなら、原則として生活保護は受給できません。親族の扶養に入れない場合は、生活保護を受けられる可能性があります。

生活保護の扶助

生活保護では以下の8つの扶助を状況に応じて受けることができます。

介護保険との関係性から、「介護扶助」について解説します。

介護扶助とは

介護扶助で利用できるサービスは、介護保険の給付対象となる介護サービスと基本的には同じです。

居宅介護サービスや施設介護サービス、介護予防サービスなどの区分があり、要支援1から要介護5までの介護認定度に応じて複数のサービスを組み合わせて利用が可能です。

なお、介護保険にはない生活保護(介護扶助)独自のサービスに「移送(医療機関への移送費)」があります。
住宅や移送などは現物給付ではなく、金銭の給付で行われるのも特徴です。

介護サービスを利用して1ヶ月に支払った利用者負担額が一定額を超えた時は、超えた分の高額介護サービス費が払い戻されます。

利用者負担の限度額は所得区分に応じて決められ、生活保護受給者の上限15,000円です。
この額を超えた分は請求されません。

介護保険とは

介護保険とは、介護が必要になった高齢者を社会全体で支える仕組みのことです。
生活保護受給者のうち65歳以上の高齢者は45.5%を占めており、介護保険とは切ってもきれない関係にあります。

現行の介護制度では40歳以上の人は保険料の納付義務があり、保険料は本人が介護サービスを利用しているかどうかにかかわらず、納付しなければなりません。

納付方法は第1号被保険者なら年金からの手引き、第2号被保険者であれば健康保険・国民健康保険に上乗せする形で納付する格好です。

年齢に応じて2つの区分に分けられる

第1号被保険者

65歳以上の介護保険の加入者のことです。介護保険料は年金から天引きされます。

原因を問わず、要介護あるいは要支援と認定された場合は、介護サービスが受けることが可能です。

65歳以上であれば健康保険を支払っていない人でも、全員が第1号被保険者になります。したがって生活保護の受給者であっても保険料を支払う義務が生じます。

第2号被保険者

40歳以上64歳以下で、かつ医療保険(健康保険・国民健康保険)の加入者が該当するのが第2号被保険者です。

保険料は医療保険料に上乗せで徴収されます。

受給の条件はは末期がん・関節リウマチなど「加齢を原因とする16の特定疾病」が原因で要介護になった時に限ります。

厚生労働省で発表されている「特定疾病」は以下の16種類です。

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
  2. 関節リウマチ※
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
    【パーキンソン病関連疾患】
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症※
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

引用元:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方

介護サービスの自己負担が介護費の1割になる

要介護認定を受けた人が介護サービスを利用すると、その対価として事業者に介護報酬が支払われます。

介護報酬は「介護給付」と「利用者の自己負担」の2つで成り立っており、介護保険を利用することでほとんどの利用者の自己負担額は「介護サービス料全体の1割」になります。

例外で自己負担額が2~3割になる人も

介護保険制度を維持し、公平性を確保する目的で、現役並みの所得がある高齢者が介護サービスの自己負担割合が2割に引き上げられます。

2018年8月から所得によっては自己負担額が3割になるように制度が改正されました。

例として、世帯に65歳以上の方が1人の場合(単身者含む)で「年金収入とその他の所得の合計額」が280万円以上340万円未満」に該当する人は2割負担になります。

生活保護者でも介護保険の対象になる

生活保護を受けている人であっても、介護保険の対象です。

生活保護を含めると「生活保護を受けている65歳以上」「生活保護を受けていない65歳以上」「生活保護を受けている40~64歳」「生活保護を受けていない40~64歳」に細かく分かれます。

それぞれの保険料の納付方法から、介護扶助との関係性を見ていきましょう。

生活保護を受けている65歳以上

生活保護を受けている65歳以上の方の場合、介護サービスを受けるか受けないかにかかわらず、全員が介護保険の加入者です。保険料は生活保護費の中の「生活扶助」の上乗せで納付します。

介護サービス費用は生活保護費の「介護扶助」で自己負担分1割が賄われることになります。

生活保護を受けていない65歳以上

生活保護を受けていない65歳以上の人の場合、基本的に年金から天引きで保険料を納付します。

所得に応じて自己負担は1割~3割で変動するため、自分の自己負担額をあらかじめ知っておきましょう。

生活保護を受けている40~64歳

生活保護を受けている40~64歳の人の場合は、介護保険には加入できません。

生活保護を受けることになると国民健康保険からは脱退し、いわゆる「無保険」の状態になります。
公的医療保険を納付していないのですから、それに上乗せされる保険料は納付ができません。

第2号被保険者になるための条件に「公的医療保険の加入者」であることが定められているため、介護保険には加入できないのです。

そのため、第2号被保険者になれず保険の対象外になるという考え方ができます。

しかし、介護保険の給付を受けられないというわけではなく、「みなし2号」として生活保護費の介護扶助で全額は支払われます。

先述の「特定疾病」のいずれかを発症し、要支援1以上の認定を受けていれば介護扶助の対象です。

生活保護を受けていない40~64歳

生活保護を受けていない一般の40~64歳は、第2号被保険者にあたります。

健康保険・国民健康保険に上乗せして納付することになり、生活保護を受けていない65歳以上の第1号被保険者と同じく、所得に応じて自己負担分1~3割が自己負担です。

65歳以上であれば生活保護受給者でも介護保険に加入する

65歳以上は生活保護を受給していたとしても、介護保険に加入する義務があります。

介護保険に加入して第1号被保険者になっている以上、生活保護受給者にも介護保険の納付義務が生じるのです。

とはいえ、支払う保険料は生活保護を受けていない一般的な収入のある世帯に比べて割安になります。

しかし、割安とはいえ生活保護の受給者では支払えないことが考えられるでしょう。

ただし、実質的に生活保護の受給者には自己負担がありません。

生活保護受給者は介護保険負担が実質ゼロ

65歳以上の生活保護の受給者は生活保護で受け取れる「生活扶助」に保険料が上乗せされて支給されます。

介護保険の支払いのために生活扶助を節約する必要はないのです。

上乗せの支給は「生活保護の対象から外れるまで」または「保険料が年金からの特別徴収になるまで」にわたって続けられます。

年金からの天引きになったとしても、年金収入に介護保険料控除が適用されるため、こちらも実際には負担はありません。

介護保険料を払う場合の注意ポイント

保険料の支払いについて、すでに大枠を解説してきました。

生活保護の受給者は基本的には生活保護費に保険料がプラスされるため自己負担はありませんが、どのような流れで保険料を支払っているのか、そのおおまかな流れは知っておきましょう。

注意点として、以下の2つを解説します。

  • 保険料は生活保護費から天引き
  • 天引きできないケースもある

保険料は生活保護費から天引き

第1号被保険者の保険料の支払いは、本人が保険料を納付する「普通徴収」がかつては一般的でした。

納付するという手間がかかるほか、上乗せで支給されるにもかかわらず滞納する人が後を絶たない問題があったのです。

現在では生活保護費から天引きし、市区町村に収める「代理納付」が行われてます。

天引きできないケースもある

老人ホームに入居している人の住民票が別の市区町村にある場合、福祉事務所としては介護保険料を天引きしての「代理納付」が難しいケースがある点に注意が必要です。

「介護保険の保険者となる自治体」と「生活保護を管理する自治体」が一致しない場合、生活保護費は介護保険料から天引きではなく、現金で支給されることがあります。

気になる人はケースワーカーに確認し、自分の場合は天引きされるのかを把握しておきましょう。

生活保護を受けずに利用できる「生活保護境界層措置制度」

生活保護受給の基準ぎりぎりの困窮の状態にある人は、介護保険には加入しているのに保険料が支払えないということになりがちです。

そのような場合に利用できる「境界層措置制度」があります。

境界層措置とは、本来の所得段階における保険料を支払おうとすると生活保護を必要とする一方、より負担が低い基準を適用することで生活保護を必要としない状態のことです。

福祉事務所より交付された境界層該当証明書をもとに、生活保護を必要としなくなる段階まで保険料やサービス費負担が軽減されます。

この制度を利用することで、保険料や介護施設の食費・居住費負担、介護サービスの負担上限額などの軽減措置が受けられます。

「生活保護の申請が通らないけど介護費用の負担が苦しい」という人はぜひ知っておきたい制度です。

生活保護受給者でも介護保険に加入する!年齢ごとのポイント解説 まとめ

今回は、生活保護と介護保険の関係について解説しました。

生活保護の受給者には保険料が上乗せして支給されるため、支払い能力がなかったとしても65歳なら介護保険に加入、40~64歳なら「みなし加入」となります。

介護費用にお金をかけられない生活保護の受給世帯では、非常に心強いといえるでしょう。

このほかに分からないことがあれば、居住地域のケースワーカーに相談してみてください。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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