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生活扶助とは|最低生活費の算出方法と減額される注意点

 2021/03/03 お金に関する豆知識   126 Views

日本国憲法では25条で「健康で文化的な最低限度の生活」について定められており、生活が困窮している人は国の援助を受けることができます。

主な制度が生活保護で、なかでも日常生活に関する扶助として「生活扶助」を受けられます。

今回は生活扶助の概要と計算方法について解説します。

生活保護制度とは

生活保護制度は、生活が困窮している人に対して困窮の度合いに応じて必要な保護を行う制度です。

憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活を送れない人をサポートし、自立を助長することを目的としています。

利用の条件

厚生労働省の公式webサイトを見てみると「保護の要件」として以下の4つの条件が記載されています。それぞれの詳細をみてみましょう。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養

資産の活用

預貯金や生活に利用されていない土地、家屋、クルマ、生命保険の解約返戻金などは、解約・売却して生活費に充てる必要があります。

能力の活用

働くことが可能であれば、能力に応じて働くことも必要です。
生活保護を受け取れるからといっても、能力があるのに働かなくても良くなるわけではありません。

あらゆるものの活用

年金や手当などの公的給付を受けられる場合、まずはそれらを先に活用することも求められます。

公的手当を受け取れる分についての生活保護費は減額になるため、生活保護と公的年金を同時に受け取れるといっても、純粋に手取りがアップするわけではありません。

扶養義務者の扶養

生活保護の申請を行うと、申請者の両親・親戚などに「扶養照会」が行われます。

「この人を扶養してあげられませんか?」という内容の連絡で、扶養に入れる場合は生活保護を利用せずに生活することになります。

これらすべての条件を満たし、それでもなお生活が困窮する場合は世帯収入と「最低生活費」を比較して収入が最低生活費に満たない時には差額が支給されます。

生活保護の種類は8種類

ひとくちに生活保護といっても、家庭の状況によって支給される内容はさまざまです。生活を続けていくうえで必要な各種費用に対して、以下の「扶助(ふじょ)」の中から必要な項目分が支給されます。

扶助の種類 生活を営む上で生じる費用
生活扶助 日常生活を送るのに必要な費用
住宅扶助 アパートの家賃など
教育扶助 義務教育を受けるのに必要な学用品など
医療扶助 医療サービスを受けるための費用
介護扶助 介護サービスの費用
出産扶助 出産費用
生業扶助 就労にかかわる技能習得のための費用
葬祭扶助 葬祭費用

生活保護相談の流れ

手続きの流れは、大きく分けて以下の3つです。

  • 事前相談
  • 保護の申請
  • 保護費の支給
生活保護を受けたいと思ったら、まずは地域の福祉事務所に相談を行います。

窓口では生活保護制度の説明を受けるだけでなく、生活保護の前に利用できる制度の説明を受けます。

説明を受けて納得できれば、実際に「保護の申請」を行います。

日本国民であれば、たとえホームレスであっても申請は可能です。
ただし、冒頭で紹介した4つの条件の全てを満たさないと、申請を却下されることは考えられます。

条件を満たしているかの確認のため、申請後は家庭訪問、資産調査、親族への扶養照会、給与収入の調査などが行われます。

そのうえで保護が決定されれば、生活保護費が支給されます。

生活扶助とは

生活扶助とは、被保護者の衣食など日常生活の需要を満たすための扶助のことです。

「基準生活費」「加算」などに分かれています。

基準になるのは最低生活費

生活保護の支給額は基本的に「最低生活費」を基準にして算出されます。

どの程度の金額が支給されるか、まず自分の最低生活費を把握することが重要です。

最低生活費は誰でも一律な金額ではありません。

「居住地」「年齢」「持ち家の有無」などで金額が変わり、計算は複雑です。

まずは、以下の大まかな計算の流れを確認してみましょう。

  1. 第1類(飲食費・被服費など)を計算
  2. 世帯員数による逓減率を掛ける
  3. 第2類(家族で共通の部分)を計算
  4. 各種加算をプラスする

生活扶助の計算式

ここでは、生活扶助の計算式を解説します。

計算は「居住地の級地」を確認し、そこに基準額や逓減率、加算額を当てはめていくことで進められます。

最初に居住地の「級地」を確認する

最低生活費は、居住地区の「級地」によって支給額が変わってきます。

そのため、まずは自分が住んでいる地域がどの級地にあたるかを確認することが必要です。

>> 厚生労働省|お住まいの地域の級地を確認

ご覧のとおり、級地は1級地-1から3級地-2までの6段階で分かれており、基本的に大都市ほど級地の等級が高くなります。

たとえば東京度23区は全域が「1級地-1」、そのほか大阪市や名古屋市、京都市、神戸市、さいたま市など日本の主要な地区の多くが1級地-1に定められています。

1級地-2は札幌市や千葉市、姫路市、広島市、福岡市など地方の主要都市です。

お住まいの級地が分かったら、次の計算に移ります。

基準額は3つの要素から計算される

基準額は第1類、逓減率、第2類の3つの要素で計算されます。

第1類はご自身の年齢、第2類は家族の人数でそれぞれ金額が当てはまります。

ご自身の状況に合った部分の金額をメモしてみましょう。なお①と②の両方ともそれぞれ確認が必要です。

生活扶助費(第一類・基準額①)

年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0-2歳 21,820 20,830 19,850 18,860 17,890 16,910
3~5歳 27,490 26,260 25,030 23,780 22,560 21,310
6~11歳 35,550 33,950 32,350 30,750 29,160 27,550
12~17歳 43,910 41,940 39,960 37,990 36,010 34,030
18~19歳 43,910 41,940 39,960 37,990 36,010 34,030
20~40歳 42,020 40,140 38,240 36,350 34,460 32,570
41~59歳 39,840 38,050 36,250 34,470 32,680 30,880
60~64歳 37,670 35,980 34,280 32,590 30,890 29,200
65~69歳 37,670 35,980 34,280 32,590 30,890 29,200
70~74歳 33,750 32,470 30,710 29,530 27,680 26,620
75歳~ 33,750 32,470 30,710 29,530 27,680 26,620

逓減率①

上記の基準額①に以下の「逓減率」を適用して乗算します。

人数 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 1% 1% 1% 1% 1% 1%
2人 1% 1% 1% 1% 1% 1%
3人 1% 1% 1% 1% 1% 1%
4人 0.95% 0.95% 0.95% 0.95% 0.95% 0.95%
5人 0.9% 0.9% 0.9% 0.9% 0.9% 0.9%

生活扶助費(第二類)①

年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 45,320 43,280 41,240 39,210 37,160 35,130
2人 50,160 47,910 45,640 43,390 41,130 38,870
3人 55,610 53,110 50,600 48,110 45,600 43,100
4人 57,560 54,970 52,390 49,780 47,200 44,610
5人 58,010 55,430 52,800 50,210 47,570 44,990

生活扶助費(第一類・基準額②)

年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0-2歳 44,630 43,330 41,190 41,190 38,340 36,940
3~5歳 44,630 43,330 41,190 41,190 38,340 36,940
6~11歳 45,640 44,320 42,140 42,140 39,220 37,780
12~17歳 47,750 46,350 44,070 44,070 41,030 39,520
18~19歳 47,420 46,030 43,770 43,770 40,740 39,520
20~40歳 47,420 46,030 43,770 43,770 40,740 39,520
41~59歳 47,420 46,030 43,770 43,770 40,740 39,520
60~64歳 47,420 46,030 43,770 43,770 40,740 39,520
65~69歳 45,330 44,000 41,840 41,840 38,950 37,510
70~74歳 45,330 44,000 41,840 41,840 38,950 37,510
75歳~ 40,920 39,730 37,780 37,780 35,160 33,870

逓減率②

人数 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 1% 1% 1% 1% 1% 1%
2人 0.8548% 0.8548% 0.8548% 0.8548% 0.8548% 0.8548%
3人 0.7151% 0.7151% 0.7151% 0.7151% 0.7151% 0.7151%
4人 0.601% 0.601% 0.601% 0.601% 0.601% 0.601%
5人 0.5683% 0.5683% 0.5683% 0.5683% 0.5683% 0.5683%

生活扶助費(第二類)②

年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 28,890 27,690 27,690 27,690 27,690 27,690
2人 42,420 40,660 40,660 40,660 40,660 40,660
3人 47,060 45,100 45,110 45,110 45,110 45,110
4人 49,080 47,040 47,040 47,040 47,040 47,040
5人 49,110 47,070 47,070 47,070 47,070 47,070

生活扶助費(第1類・第2類)①と生活扶助費(第1類・第2類)②を算出する

「生活扶助基準第一類」に世帯人数に応じた「逓減率」を掛け、「生活扶助基準第二類」を足して生活扶助基準(第一類+第二類)を①と②でそれぞれ算出します。

生活扶助の合算

地域、年齢、世帯人数をもとに基準となる金額が出たら、基準額を下の計算式に当てはめます。

(「生活扶助基準(第1類+第2類)①×0.855」又は「生活扶助基準(第1類+第2類)②」のいずれか高い方+生活扶助本体における経過的加算

加算額

必要に応じて各種加算を加えます。

【障がい者】

条件 1級地 2級地 3級地
障害1・2級に該当 26,810 24,940 23,060
3級に該当 17,870 16,620 15,380

【母子家庭】

条件 1級地 2級地 3級地
児童1人 18,800 17,400 16,100
児童2人 23,600 21,800 20,200
3人以上の場合1人あたり加算額 2,900 2,700 2,500

ほかの扶助と合算したものが最低生活費になる

今までに計算されたのが生活扶助となります。それに加えて「住宅扶助」「教育扶助」「医療扶助」などを足した合計額が「最低生活費認定額」になります。

たとえば教育扶助では、小学生から高校生まで以下の金額が加算されます。

小学生 中学生 高校生
基準額 2,600円 5,100円 5,300円

このほか、必要に応じて教材費、クラブ活動費、入学金などの実費が計上されます。

収入がある分は生活保護費が減る点に注意

これまでに紹介した計算式で導き出される金額が最低生活費になりますが、実際に計算するのは大変です。

実際には福祉事務所での計算を待つことになるでしょう。

注意点は、収入がある分は生活保護の支給額が減る点です。

仮に最低生活費が20万円だった場合、収入が何もなければ20万円の全額が支給されます。

一方でアルバイト収入として10万円を受け取っていたり年金で5万円受け取っていたりといった収入があった場合、20万円から収入分の金額が差し引かれて支給されます。

つまり、総支給額には変わりがありません。

生活扶助とは|最低生活費の算出方法と減額される注意点 まとめ

ひとくちに生活保護といっても扶助の内容は8種類に分かれており、中でも日常生活に関しては「生活扶助」が支給されます。

生活扶助は生活保護で支給される「最低生活費」の多くを占める項目であり、計算方法を覚えておくと生活保護の検討の際に役に立つでしょう。

計算方法に不安があれば、福祉事務所のケースワーカーに相談を持ち掛けてみるのも1つの方法です。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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