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生活保護と生命保険は両立できる?解約しなくてもいい条件とは

 2020/11/29 お金に関する豆知識   146 Views

生活保護の申請を検討していて、すでに生命保険に加入している人も多いのではないでしょうか。

生活保護を受ける場合は原則的に生命保険は解約する必要がありますが、一定の条件を満たせば加入したまま生活保護を受給できる可能性があります。

そこで今回は、生活保護を受けている人が生命保険に加入するための条件と注意ポイントについて解説します。

生活保護とは

生活保護は生活保護法に基づいて、生活に困窮している人が健康で文化的な最低限度の暮らしができるように保障する制度です。

申請は個人単位ではなく世帯単位です。
世帯員全体で資産や能力など、最低限の生活維持に活用できることは全て利用する必要があります。

具体的には、以下の4つの要件が定められることを覚えておきましょう。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養
まず、預貯金や生活に利用していない土地・家屋があれば売却して現金に換え、生活費に充てる必要があります。
このような資産を持ったままで生活保護を受けることはできません。

「能力の活用」とは、働くことが可能ならその能力に応じて働く、ということです。
もちろんケガや病気で働くことができない人であれば、その限りではありません。

あらゆるものの活用とは、年金や手当など生活保護以外に給付を受けられる公的な制度がある場合はそちらが優先されることです。

例えば児童扶養手当などが該当します。受け取った金額や収入を差し引いた残りが生活保護費として支給されます。

最後は扶養義務者の義務です。
生活保護の申請が行われると、扶養義務がある人に対してケースワーカーから扶養の可否を確認されます。

誰かの扶養に入ることができた場合は、生活保護は受けられません。とはいえ、扶養するのは強制ではありません。

誰の扶養にも入れないのであれば、生活保護を受けられる可能性がありません。

生命保険とは

定期保険に代表される「掛け捨て型」

掛け捨て型とは文字どおり、支払った保険料が戻らないタイプの保険のことです。
代表的な保険はいかのようなものがあります。

  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 医療保険
  • がん保険
貯蓄型と比較して保険料が安いのがメリットです。
掛け捨て型では満期や解約などの際に返ってくるお金がないため、その分だけ保険料が安くなります。

終身保険に代表される「貯蓄型」

貯蓄型とは、万が一に備えながら将来のために貯蓄をする保険のことです。

代表的なものとしては、以下のような保険があります。

  • 終身保険
  • 養老保険
  • 個人年金保険
  • 学資保険
終身保険は被保険者が亡くなったときには死亡保険金を、解約すると解約返戻金を受け取れる保険です。

学資保険は契約者である親が死亡した場合、そのあとの保険料の支払いが必要なくなります。満期保険金や祝い金は予定通り受け取ることが可能です。

いずれも保険料払込期間を超えて加入していることで、原則として支払った保険料よりも受け取れる満期保険金や解約返戻金が高くなります。

保障と貯蓄の両方を行える保険です。

原則:生活保護を受けながら生命保険には加入できない

生活保護は、それを受ける人が「その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用する」ということが条件です。

生活保護を受けている場合は、原則として生命保険には加入できません。
これは、生活保護の原資が国民の税金であるためです。

他人が支払った税金で生活保護者が「生命保険という名の資産」を形成することを防ぐため、このようなルールが設けられています。

生活保護を申請して生命保険の加入が明らかになると、生命保険の解約を求められるのが原則です。生命保険を解約した時に生じる解約返戻金があれば、生活が維持できるとみなされます。

解約によって生じる解約返戻金が底を突くことで、初めて生活保護の申請が認められるのです。

生活保護を受ける際は医療費や葬祭費の負担がなくなるというのも、生命保険に加入するメリットが薄い要因とされています。

例外:生活保護を受給しながら保険に加入できるケース

原則としては生命保険は解約の対象です。
しかし、絶対に解約しなければいけないということではありません。

一定の条件を満たすと、加入しながらの生活保護受給が認められる場合があります。

「解約返戻金が少額かつ保険料がその地域の一般家庭と均衡を失わない」限り、生命保険を解約しなくても生活保護を利用することは可能です。

ここでは、生活保護を受けながら生命保険に加入できるケースを解説します。

  • 危険目的の保険であること
  • 毎月の保険料が低額であること
  • 解約返戻金が低額であること

危険目的の保険であること

死亡や障害などの危険対策を目的とした保険であることが最初の条件です。
最近はさまざまな種類の保険が登場しており、保障と貯蓄性の両方の機能を持つ保険も珍しくありません。

このような貯蓄性の高い保険は加入することができないことを覚えておきましょう。代表例が「終身保険」や「養老保険」です。

終身保険には満期という概念がなく、一生涯保障の保険です。解約に応じて解約返戻金を受け取ることができます。

一方の養老保険は、終身と違って解約返戻金が設定される保険です。
貯蓄性が目的の保険であり、解約したタイミングによって今まで支払った保険料よりも多くの解約返戻金を受け取れます。

また、満期には満期保険金を受け取ることも可能です。

これが認められてしまうと、国民の税金がその人の生命保険という資産の形成に使われることになります。

一方で掛け捨ての保険(定期保険など)を解約しても満期を迎えても、お金は返ってくることがありません。
純粋に危険死亡保障や高度障害状態を目的としていれば、加入できる可能性があります。

ただし、掛け捨て型の保険ならどんな契約でも可能というわけではありません。ほかの条件も満たしうえで、加入の可能性があるということです。

毎月の保険料が低額であること

保険料が低額であることも必要です。どこまでの金額が「低額」にあたるのかはケースワーカーの判断が分かれるところがあります。

一般的には、各自治体によって定められている最低生活費の10%~15%程度が相場といわれています。

最低生活費が15万円でその10%が毎月の保険料の上限額の場合、保険料の上限は1万5,000円です。

その範囲の保険料である限り、生命保険への加入は認められます。

「保険料がその地域の一般世帯との均衡が必要」という点については、医療扶助を除く最低生活費のだいたい1割が目安です。

解約返戻金が低額であること

解約返戻金を受け取れる保険についても、条件次第では加入できる可能性があります。
ただし、その場合は受け取れる解約返戻金の総額が30万円を下回るか、あるいは「医療扶助を除く最低生活費の3ヶ月分以下」に収まる金額でなければいけません。

解約返戻金を受け取ると収入として申告が必要です。その分は生活保護費から差し引かれます。

生活保護法で「被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があった(中略)時は、速やかに保護の実施期間又は福祉事務所にその旨を届けなければならない」と規定されているためです。

解約返戻金のほかにも、何らかの保険金を受け取った場合はなるべく早く福祉事務所(ケースワーカー)に届け出てください。
それが難しい場合、民生委員を通じて届け出ることも可能です。

ただし、臨時に受け取る保険金のうち「当該世帯の自立更正のために当てられる金額」は収入認定の対象には含めないため、保護費は減額されません。
減額せずに受け取れるとすれば、明確な自立更正計画を立てて福祉事務所と交渉することが必要です。

生命保険を解約するデメリット

生活保護を受けるために、やむなく生命保険を解約する場合には注意するべき点があります。

以下の2つの点は理解した上で、解約を進めて下さい。

  • 再加入時の年齢で保険料が上がる
  • 健康告知の内容次第では加入が難しくなる

再加入時の年齢で保険料が上がる

生命保険で毎月支払う保険料に大きな影響を与えるのは「加入時の年齢」です。

生命保険の契約方法には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • 更新型
  • 終身型
更新型は10年などの一定の期間で再契約になるタイプです。
更新時の年齢で保険料が再計算されるため、若い時に加入すれば終身型より保険料は安くなります。一方、更新を重ねていくと最終的には終身型よりも保険料は高くなる点に注意が必要です。

終身型は最初は保険料は割高ですが、最後まで一定の保険料でいられます。
年齢を重ねるほど死亡リスクが高くなるため、そのリスクに見合った保険料を支払う必要があるということです。

一度解約して生活保護から脱却したあとに再度加入しようとした場合、再加入時の年齢で保険料が計算されます。そのため、以前に加入していた時よりも保険料は高くなるのが原則です。

特に若い時に終身で契約した保険では、できる限り継続できるようにケースワーカーと相談することが望ましいでしょう。

健康告知の内容次第では加入が難しくなる

保険への加入に健康告知が必要です。
生活保護を受ける前は生活が苦しく、なかなか自分の身体のケアができないこともあるでしょう。

告知にひっかかる場合、保険には加入できません。
たとえば「がん保険」では、すでに一度でもがんになった場合は一部の条件が緩い保険を除いて加入できないのが原則です。

保険金を受け取ると生活保護はどうなる?

生活保護費の返還を求められる

生活保護の受給中に保険金や解約返戻金の受け取りがあった場合、必ず福祉事務所のケースワーカーへの「申告」が必要です。

生活保護費は最低限生活していくために必要なセーフティーネットですから、解約返戻金などのまとまったお金が手に入った場合は「その分を生活費に充てることができる」とみなされます。

そのため、保険金などの収入があったことを申告すると、その金額に相当する生活保護の給付金は返還が必要です。

保険から解約返戻金などを受け取ったのに申告しなかった場合はどうなるでしょうか。
この場合は「不正受給」に該当します。

申告の義務を知っていたのに申告をしていないなど悪質と判断された場合や、返還の要請に従わない場合は罰則が科される可能性があるため注意が必要です。

意図的ではなく単なる申告漏れであれば、速やかに返還することで解決します。
ただし、返還する金額の最大1.4倍の返還金が徴収されることを知っておきましょう。

不正受給の金額が高額である場合は告訴され、懲役が付く場合も考えられます。

保険金を受け取らないと不正受給になる可能性

「解約返戻金の受け取りを拒否したら生活保護を受け続けられるのでは?」

このように考えてしまう人もいるかもしれません。

解約返戻金や保険金の受け取りを辞退したとしても、保険に加入した事実は残ります。
保険料や解約返戻金の額によっては解約を求められ、発生した返戻金は収入とみなされるのは変わりません。

生活保護費が減らされるからという理由で保険金や約返戻金を受け取らないような対応をすると、生活保護の不正受給と認識されることもあるでしょう。

生活保護の停止や、最悪の場合は廃止の処分を受ける可能性があります。

名義変更だけで継続可能なこともある

生活保護の受給中は契約者本人になることだけでなく、被保険者としても難しい場合が多くなります。

しかし、中には「名義変更」であれば対応できるケースもあります。

ご存知の方もいると思いますが、保険は途中で契約者の変更ができるのです。

例えば病気の療養中で一時的に生活保護を受けるだけの人は、保険を解約するのがもったいないと感じるでしょう。

そのような場合に、契約者を同一世帯ではない祖父母などに変更することで継続できる場合があります。

ただし、名義変更によって保険を継続できるかはケースワーカーの判断次第です。手続き前に必ず福祉事務所のケースワーカーに相談することを忘れないでください。

生活保護と生命保険は両立できる?解約しなくてもいい条件とは まとめ

今回は、生活保護を受けている人が生命保険に加入するための条件を解説しました。

貯蓄性がある終身保険や養老保険に関しては生活保護受給者は加入することができませんが、定期保険などの「将来の危険」に備えた掛け捨ての保険や、解約返戻金が一定額以下に抑えられた保険であれば加入できる可能性があります。

いずれにしても、保険の継続や加入については受給者の判断ではできません。ケースワーカーと相談しながら進めていきましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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