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生活保護で稼げる収入はいくらまで?収入の基準と申告について

 2020/10/22 お金に関する豆知識   1,511 Views

生活保護は、国が定めた一定の条件を満たした「最低生活費に満たない収入」の人の自立をサポートするために生まれた制度です。

条件以上の収入を得ている人には支給されないのが原則ですから、支給要件になる収入金額を把握しておくことが大切になります。

また、得た収入は金額の大小にかかわらずケースワーカーに申告が必要な点も、併せて抑えておきましょう。

今回は生活保護と収入の関係について解説します。

生活保護受給者の収入条件

生活保護を受給するためには、一定の条件を満たす必要があります。収入についての必要条件について解説します。

最低生活費に満たないこと

生活保護を受けるための条件は、「現在の収入が厚生労働大臣が定める基準である『最低生活費』に満たないこと」です。

厚生労働省では生活保護の要件として、以下のように説明しています。

生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。

引用元:厚生労働省|生活保護制度

生活保護を受けるためには、まず持っている資産を売却する必要があります。
自家用車や貴金属、家財道具など価値のある財産はもちろん、住宅ローンが残った住宅も売却の対象です。これは、生活保護費で借金の返済が認められていないことによります。

住宅ローン完済前の自宅を持っている人は、覚悟を持って生活保護の申請をする必要があるということです。

また、ケガや病気で働けない人は別として、働けるなら能力を最大限活用して働くことも求められます。
そのほか、年金などの公的な支給を受けている場合は、生活保護に優先するのが原則です。

これらの収入を全て合わせても最低生活費に満たない場合に、生活保護の支給対象になります。

最低生活費とは

最低生活費とは、日本国憲法第25条で保証されている「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために必要な費用として、厚生労働省が毎年設定する生活費の基準のことです。

最低生活費と生活保護受給者の実際の収入認定額を比較して収入認定額のほうが少ない場合に、不足する部分を生活保護費で補うのが生活保護の基本的な考え方になります。

生活保護の扶助は全部で8種類

生活保護で支給される扶助は、以下の8種類に分けられます。

  • 生活扶助
  • 住宅扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 出産扶助
  • 生業扶助
  • 葬祭扶助
これらの扶助を各家庭の生活環境の現状から基準額を適用して算出し、合計したものが最低生活費になります。

「いくらまでなら働いていい」という上限はない

生活保護者は「いくらまで働いても良い」という上限額が決められているわけではありません。

生活保護の認定を受けた時点での生活状況にもとづいて生活保護費(=最低生活費)が定められているため、その額を下回る収入しかない場合は差額を受け取れます。働いたうえで得られた収入が最低生活費を上回る場合は、生活保護を受け取ることができません。

収入申告の方法

例えばアルバイトを始めることが決まって、収入を得ることを報告するとしましょう。

まずは、「どこで働くかを」ケースワーカーに報告することが必要です。報告内容を書く用紙(雇用内容申告書)をケースワーカーに提出しましょう。

お給料を受け取った場合は、速やかに給与明細(コピーでもOK)をつけて申告を行います。

なお、収入申告は給料を受け取るたびに毎回提出する必要があります。
最初に申告すればあとは申告しなくて良いというわけではない点には注意が必要です。

市役所では、世帯全員が申告そた収入を合計して生活保護費を計算します。
収入として認定する金額は世帯に生活費として消費してもらう必要があるため、個人で得た収入であっても生活費として使うことが原則です。

得た収入の全額が生活保護費から除外されることはない

働くには、さまざまな費用がかかります。
スーツなどの服を買って身なりを整えるだけでなく、仕事に必要な知識や情報を得るのに参考書代などの支払いが必要です。社員同士の付き合いで昼ごはんや退勤後の夕ご飯で外食することもあるでしょう。

仕事をする上でさまざまな「必要経費」が発生するわけです。それを見込んで収入認定から一定金額を除外するのが「基礎控除」です。

会社員として働いた場合は通勤の交通費や手当を含めた総額から基礎控除額を算定し、生活保護費の計算の際に収入金額の金額を調整します。

以下、収入と基礎控除の一部を目安として紹介します。

収入金額区分 控除額
0~15,000 収入額と同額
15,001~15,199 収入額と同額
15,200~18,999 15,200
19,000~22,999 15,600
23,000~26,999 16,000
27,000~30,999 16,400
31,000~34,999 16,800
35,000~38,999 17,200

収入に応じて細かく段階が決められているのがお分かり頂けるでしょう。
実際には39,000円より上も細かく控除金額が決められています。

15,200円未満の収入金額の場合、全額が基礎控除として控除されます。
一方で15,200円以上の収入がある場合、収入が上がるごとに控除額が少しずつ減って(=手取りの割合が減る)いきます。

手取り額の割合が小さくなるのは、生活保護は「最低生活費に足りない分を補う」という目的による制度であるためです。稼ぐ能力が上がってくれば、生活保護から受け取れる金額が減るのは仕方ないところでしょう。

なお、基礎控除は年々変わっていきます。最新の基礎控除はケースワーカーに必ず確認してください。

生活保護を受ける上で受けられるその他の控除

生活保護の受給者が収入から差し引ける控除は、基礎控除だけではありません。
基礎控除以外にも、受給者の家庭の状況次第で以下のような控除が適用可能です。

  • 未成年控除
  • 必要経費(実費控除)

未成年控除

未成年が働いている場合は、基礎控除とは別に控除が行われます。金額は月に11,400円です。

高卒の正社員だけでなく、中学生や高校生のアルバイトも対象で、基礎控除と組み合わせると収入の全額がカウント外になることも珍しくありません。

ただし、未成年であっても単身の場合や、配偶者や自分の子どもとだけで生活している場合は対象外です。

必要経費(実費控除)

働くために必要な経費は、収入認定から除外されます。
通勤の交通費や年金、健康保険などの社会保険料、各種税金、労働組合費などさまざまな経費が対象です。

雇用されて働く場合は、収入から基礎控除を算定して必要経費を収入から除外することになります。

不正受給にならないようにするために

生活保護を受けていくためには、得た収入を余さず申告する義務があることはすでに紹介した通りです。もしこの義務を怠ると、どうなるのでしょうか。

ケースワーカーが把握していない収入があるのに今まで通りの生活保護を受け取っていた場合は「不正受給」となり、生活保護の停止などの処分が下されます。

そうならないために、生活保護の受給者に課された義務を改めて確認していきましょう。

2つの収入申告義務

生活保護中の受給者は、未成年者や世帯分離(住民票に登録されている1つの世帯で2つ以上の世帯に分けること)の人を含めて世帯員全員の収入を申告する必要があります。

「就職先が決まった」「年金をもらうことに決めた」「子どもがアルバイトを始めた」など、収入に関することは余すことなく申告することが原則です。

大きく分けて以下の2点について収入申告を行います。

  • 働いたことで得た収入
  • 働いかないで得た収入

働いたことで得た収入

働いて得た収入は、文字通り会社や自営業で働いて得た収入(給与・事業収入・賞与など)のことです。申告すると交通費、社会保険料などの必要経費を控除することができるほか、基礎控除などで収入金額を引き下げることができます。

未成年が得た収入は未成年者控除が適用されるほか、大学へ進学する際の進学費用の控除も受けることが可能です。

また、高校生のアルバイト(中学生が「新聞配達」などのアルバイトをしている場合も含む)は、収入の認定から除外されることもあります。

もともと未成年は未成年控除や基礎控除が適用されるため、よほど多額の収入を得ていない限り大きな収入認定につながることはありません。もし未成年控除などを超える収入であったとしても、金額次第では収入認定されないこともあるということです。

もし申告をしない場合、不正受給これらの控除によるメリットを享受することができないだけでなく、すでに受け取った費用の返還を求められることもあります。

働かないで得た収入

自分の能力を使って働いていないのに手に入れた収入のことです。たとえば「年金」や家にあるお金に換えられる財産を売却して得た収入などが該当します。

申告をしない場合、見つかると不正受給として罰則や生活保護費の返還の対象です。

さらに注意点として、生活保護中は「借金」をすることは認められません。借金は返済義務があるにもかかわらず、原則として収入としてみなされて保護費が減額になります。

とはいえ、全ての借金がダメというわけではありません。子どもが大学に通う際の奨学金など、一部に関しては認められる場合もあります。

やむを得ず借金しようとする場合、必ず事前にケースワーカーに相談してください。

収入認定されるかはケースバイケース

働かずに得たお金であっても、「必ず収入に認定されて生活保護費から差し引かれる」とは限りません。

例えば2020年、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で生活苦に陥った人が多いことで全世帯に支給された「特別定額給付金」があります。

世帯員1人につき10万円が支給されたものですが、これについては収入として認定されないことになりました。新型コロナウイルスによる生活苦を乗り切るために国民全員に支給されたものであるためです。

収入認定されて生活保護費が減らされると、生活保護受給者だけ実質的にもらえないことになってしまいます。

このように、収入認定されるかはケースバイケースですが、少しでも収入があれば正直に申告してください。

場合によっては収入として扱われず、生活保護費に影響を与えないこともあります。

不正受給とは

上記のような申告義務を怠ると、不正受給として扱われます。そもそも不正受給とは何なのでしょうか。

生活保護を受けている場合、世帯員の収入については漏れなく、速やかに正しい届け出が必要です。

手に入れた収入を正しく届け出ないと、不正受給と扱われます。

そのほか、不正な手段で生活保護を受けようとすることも不正受給です。不正な手段とは労働で得た収入やその他の収入を全く申告しない、あるいは過少に申告することのほかに偽装離婚で実質的な離婚をせずに受け取っていることも該当します。

暴力団の関係者が生活保護を受給することも不正受給です。

不正受給になったらどうなる?

中には生活保護の仕組みを理解しておらず、悪意なく結果的に不正受給に該当することもあるかもしれません。程度にもよりますが、生活保護の受給停止や今までに支給された保護費の返還といった処分が下されることになります。

さらに、不正受給が意図的に行われたもので悪質と判断できる場合、告訴を含めた処分が下されます。生活保護法第85条によれば、不正受給の罰則は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定められています。

しかし、刑法が適用される場合は刑法の罰則が優先されます。詐欺などの悪質な事例と判断された場合、刑法によって懲役3年を大きく超える刑に処される可能性もあるのです。

不正受給に認定されないためには、どんな些細な収入であっても、手に入れたらすぐにケースワーカーに報告することが大切です。

生活保護で稼げる収入はいくらまで?まとめ

今回は、生活保護と収入の関係について解説しました。原則として、収入を得た分は生活保護費から差し引かれると覚えておきましょう。

得た収入を申告した分は生活保護費から差し引かれますが、一定の金額は基礎控除や経費として差し引くことが可能です。逆に申告をしない場合は控除を受けることができず、不正受給として保護費の返還を求められる可能性もあります。

金額の大小にかかわらず、手に入れた収入は全てケースワーカーに申告しましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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