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生活保護は外国人でも受けられる?申請前の注意点はある?

 2020/10/16 お金に関する豆知識   37 Views

日本の生活保護制度は、日本国憲法に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するためにあります。

日本国憲法の対象者は「国民」ですが、生活保護では外国人も制度の「準用」という形で保護されます。

しかし、外国人が生活保護を受けることについて、厳しい意見があるのも事実です。

今回は、生活保護と外国人の関係について解説します。

生活保護は外国人でも受給できる

生活保護法によれば、生活保護は原則として「日本国民」を対象としています。

しかし、永住者などの在留資格で滞在している外国人は税金を払っていることもあり、また人道上の観点からも、生活保護法が準用されるのが原則です。

外国人であっても、生活保護と同等の保護を受けることは可能です。

外国人に求められる在留資格

日本で生活保護を受けることができる外国人の在留資格は「特定活動」にあたる永住者です。
定住者や永住者、日本人や永住者の配偶者、難民認定された人がそれにあたります。

一方で就労目的の在留資格の場合、生活保護を受給することはできません。
永住者には関係ありませんが、その他の在留資格で生活保護を受けている状態が長く続いた場合、更新時に影響が出る可能性も考えられます。

生活保護の「準用」とは

「準用」とは法律用語のひとつで「本来の対象ではないが内容が似ている対象に条文を適用する」ことを指します。

たとえば民法165条には「前条の規定は、163条の場合について準用する」と書かれています。
これはどういう意味でしょうか。

「前条」は、所有権に関する時効中断を定めた内容です。
「163条の場合」についてとは、所有権以外の財産権について取得時効が認められる場合のことを指します。

法律用語で少々分かりづらいですが「所有権に関する時効中断理由は、所有権以外の時効中断自由でもある」という意味で捉えてください。

所有権以外の時効中断に対して、必要な修正を加えて所有権の時効中断を適用しているのです。

生活保護も、上記と同様に準用されています。

生活保護法は日本人が対象のため、生活保護法で外国人を直接保護することは出来ません。
しかし、一定の基準を満たした外国籍の人に対しては、生活保護法の規定に修正を加えて当てはめています。

国籍別の受給人数

日本には、世界中でさまざまな国の人が生活しています。
どのような国籍の人が、生活保護を受けているのでしょうか。

国籍別の生活保護受給世帯数について、2011年の数字は以下の通りです。

  • 韓国・北朝鮮=28,796世帯 542,182人 5.3%
  • フィリピン=4,902世帯 203,294人 2.4%
  • 中国=4,443世帯 668,644人 0.7%
  • ブラジル=1,532世帯 209,265人 0.7%
  • その他=3,806世帯 423,964人 0.9%
左から「国籍」と「世帯数」、「被保護者の人数」と「生活保護受給世帯数を在留外国人で割った数字」です。

世帯数では韓国・北朝鮮国籍の人が最多ですが、これは特別永住者も含まれる数字です。
フィリピンの場合、日本人と結婚後に日本国籍を持つ子供を養育しているケースがあるようです。

外国人への生活保護には問題もある

外国人へ生活保護が準用されることについて、どのような印象を抱きますか?

恐らく多くの人が、あまり良い感情を抱かないのではないでしょうか。
それは、外国人による不正受給のニュースが頻繁に扱われることが大きい要因です。

中国国籍の方による「集団保護申請」

大阪市であった事例です。
中国国籍の人が入国したあと、外国人登録が認められた直後に生活保護申請を集団で行いました。

所定の手続きを経て入国し、定住が認められた外国人には生活保護の制度が準用されます。
すでに入国管理局が入国を許可したことから、生活保護の要件が整っているとして保護の決定をすることに決まったようです。

しかし、大阪市では「生活保護制度の準用」に問題があると認識、今回の件を含めて厳正な対処を行うことを決定しました。

厚生労働省に働きかけを行った結果、厚生労働省より「身元保証人の保証の実態がない」など結果的に生活保護目的の入国と認めざるを得ない時は、生活保護を準用しないとの回答を得ています。

集団申請を受けた大阪市の対応

この問題に対して大阪市は最終的に「生活保護法の準用を取り消し、支給した保護費の返還を求める」という決定を下しています。

判断に至ったのは、以下のような調査結果によります。

  • 46人いる対象者の身元保証人の数が2人で、対象者に生活支援を行った記録がないこと
  • 大阪市の調査で上陸から生活保護相談まで日数が平均9日で申請したにもかかわらず「資産申告書」には「預貯金が全てなし」「扶養義務者申告書」に仕送りできる親族の記載がなかったこと
このような背景を総合的に判断し「生活保護目的の入国」と認められたために法律の準用を取りやめました。

国側の対応

平成23年8月17日付で厚生労働省から「外国人からの生活保護の申請に関する取扱いについて」という通知が各自治体に行きわたりました。

同通知で、以下のことが定められています。

  • 入国して間もない外国人から生活保護の申請があった場合、申請者に対して入国管理局へ提出した資料の提出を求める
  • 申請者が提出を拒む場合は、生活保護の申請を却下できる

ハイペースで増え続ける外国人受給者が問題に

生活保護の規定が準用して適用されることから、外国人であっても保護を受けることができるのはすでに説明した通りです。

生活保護の基準はあくまで日本国憲法に定められた日本国憲法の条文ですから、国民つまり日本人が対象です。

在日外国人は国籍上は日本人とは言えません。
しかし、合法的に日本に定住して税金を納めている外国人は、保護に値すると考えるべきでしょう。

在日外国人への保護問題視されているのは「外国人だから」ではなく、生活保護を受給している外国人がハイペースで増加しているためです。

日本に永住・在留する外国人は減少傾向にある一方、生活保護を受ける世帯は急増しています。

平成24年の調査では生活保護を受ける外国人世帯は4万5,634世帯と、10年前から倍増しています。
年に5千件というハイペースで増加していることになるのです。

リーマンショック以降、失業した外国人の生活保護申請が急増していることが一因と考えられます。

外国人の生活保護における注意点

外国人が生活保護を受けるのは、人道上の観点からも違法ではありません。
しかし、生活保護を受ける上で外国人が知っておきたい注意点はいくつかあります。

  • 日本人側の国民感情は良くない
  • オーバーステイ等では適用できない

日本人側の国民感情は良くない

日本に住む外国人に生活保護の規定が準用されることに対して、快く思わない日本人が少なくないのが現状です。

日本で永住したり日本人と結婚したりすれば、日本で働いて税金を納めることになります。
人道的な観点からも「外国人だから」という理由で保護を受けられないのは適当とは言えません。

しかし、前述の中国人国籍の人による集団申請のような問題が多く耳に入ることで、国民感情が悪くなってしまうのです。

Twitterでの炎上事件

2019年3月「日本の最高裁判所が外国人への生活保護は違法と判決を下した」という話題がSNSの1つ「Twitter」で広がったことがあります。

これま全くの誤報です。
しかし、Twitter上では瞬く間に拡散されてしまい、多くの「いいね」「リツイート」を集めました。

もともとの裁判は、2014年7月18日のものです。

外国人の生活保護が違法という判決が出されたのではなく「永住外国人が生活保護法の対象外」という内容の判決でした。

同裁判では、以下の通り外国人と生活保護のかかわりを明示しています。

  • 外国人は行政庁の通知に基づく行政措置によって保護の対象になり得る
  • 生活保護法に基づく保護の対象ではない
つまり、外国人は生活保護の対象ではないが、保護される対象にはなり得る、という判決です。

外国人に対する何らかの保護を否定しているわけではありません。

現在でも行政措置として、生活保護法を準用する形で外国人に対する保護は行われています。

このような誤報ツイートの真実が確かめられないまま拡散されてしまうのは、ひとえに日本人が「外国人に対する生活保護」という問題に敏感になっていることが原因と言えるでしょう。

オーバーステイ等では適用できない

外国人に対する生活保護の準用は、身分・地位に基づく在留活動がみとめられるもの(日本人の配偶者等、永住者、定住者)に限って認められます。

短期留学、就学のほか、オーバーステイでは適用されません。

外国人がよく抱く生活保護への疑問

この記事の最後に、外国人が生活保護に抱きがちな疑問をQ&A形式でまとめました。

  • 生活するための収入がなく、相談できる場所が分かりません
  • 外国籍でも保護を受けることができますか?
  • 生活保護費はすぐにもらえますか?
  • 家族や親族に連絡されるのはなぜですか?
  • 一度支給が決まればずっともらえるのですか?

Q.生活するための収入がなく、相談できる場所が分かりません

お住まいの市役所の「福祉課」が受け付けをおこなっています。申請以外にも「相談」も受け付けているため、生活が苦しい場合はまず相談しましょう。

生活保護以外にも、解決方法のアドバイスを受けられる可能性もあります。相談の段階であれば、持ち物はとくに必要ありません。

Q.外国籍でも保護を受けることはできますか?

生活保護法が直接適用されるわけではありませんが、生活保護と同等の保護を受けることは可能です。

生活保護を受けるための在留資格「永住」「定住」「日本人と結婚した配偶者」などが該当します。

Q.生活保護費はすぐにもらえますか?

生活保護を申請すると、申請内容に不備がないか、売却できる資産が残されていないか等を確認する「調査」が実施されます。

調査には1ヶ月の時間を要するため、申請したからといってすぐに生活保護費を受け取ることはできません。

Q.家族や親族に連絡されるのはなぜですか?

生活保護を申請した場合、親兄弟や一定範囲の親族に「扶養の照会」が行われます。
理由は「経済的な援助をしてもらえませんか?」という確認をするためです。

生活保護はあらゆる公的支援・融資が受けられない場合の最後のセーフティーネットですから、ほかの人の扶養に入れる場合は生活保護を受けることができません。

ただし、親兄弟の扶養は強制ではありません。親や親族がいたとしても、扶養の意思がない場合は生活保護の対象になります。

Q.車は処分しなければいけないのか

生活保護は、必要以上の資産がある場合は受けることができません。
換金できる資産は資産は売却し、お金に換えて生活費に使うことが求められます。

車も資産に含まれるため、生活保護を受ける場合は原則として売却が求められるのです。

ただし「車を使わないと仕事先までの通勤に時間がかかりすぎる」といった特別の条件がある場合に限り、生活保護を受けながら車の使用を認められることもあります。

詳しくは、福祉事務所の「ケースワーカー」に相談しましょう。

Q.一度支給が決まればずっともらえるのですか?

生活保護は、支給が決定しても一生もらえるとは限りません。

生活保護の要件に当てはまらなくなった場合は保護を打ち切られます。

例えば「資産申告」。
1年に1回以上、保有する資産について申告をする必要があります。この時に保護の要件を上回る現金を保有している場合、保護が打ち切られる可能性があることに注意が必要です。

あるいは、虚偽の申告があった場合も生活保護は打ち切られます。
資産申告の内容は、市役所側は簡単に調べることが可能です。

虚偽の申告があった場合、生活保護は取り消しになります。
虚偽の申請をする人の再申請は、認められることはありません。

生活保護は外国人でも受けられる?まとめ

今回は、生活保護と外国人の関係について解説しました。

裁判によって「外国人は生活保護制度の対象外」と判例が示されましたが、人道上の観点から一定の条件を満たした外国人には生活保護制度が準用されて保護の対象となります。

外国人の受給に対する風当たりが強いのも事実ですが、不正受給は日本人の間でも起きています。国籍に関係なく、生活保護を正しく利用することが全員に求められています。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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