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生活保護は母子家庭でも受けられる|母子加算の詳細と注意点

 2020/12/01 お金に関する豆知識   366 Views

母子家庭で収入が足りずに困っている方は多いでしょう。
また、今は問題なくても今後の収入に不安を感じる人もいるかもしれません。

そんな時は、生活保護を受けるのも1つの方法です。

しかし、いくら公的な制度ではあってもメリットばかりではありません。
デメリットに感じることも少なからずあります。

保護を受ける前に、全体像をキチンと理解しておく必要があるでしょう。

そこで今回は、母子家庭が受けられる生活保護の内容について解説します。併せて、保護を受ける場合のデメリットや注意点についても解説します。

母子家庭の現状は厳しい

母子家庭では、じつに半数が貧困状態におかれているとされています。

厚生労働省の2019年「国民生活基礎調査」によれば、全世帯の貧困層が15.8%であるのに対し、ひとり親世帯の貧困率は実に48.2%にのぼります。

参考:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査

平成28年度「全国ひとり親世帯等調査」によると、父子家庭の平均年収が420万円のところ、母子家庭では平均年収が243万円です。約180万円の開きがあることが分かります。

父子家庭より貧困率が高い現状があるのは、就業状況の違いが原因の1つです。

平成28年度「全国ひとり親世帯等調査」では、父子家庭の正規雇用68.2%であるのに対し、母子家庭の正規雇用は44.2%、パート・アルバイト等が43.8%と正規雇用と非正規雇用がおよそ半々の比率です。

参考:平成28年度「全国ひとり親世帯等調査結果報告」

女性は結婚や出産を機に正社員を退職して、婚姻期間中は専業主婦やパート社員であったケースが多く、離婚したからといって簡単に正社員を目指せません。

パートナーがいないと子どもが体調不良になった場合に休んだり、学校行事に参加する必要があったりと、雇用側も正規雇用に踏み切れない事情も関係しているでしょう。

生活保護とは

生活保護とは、困窮の程度に応じた必要な保護によって「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度です。

資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度

引用元:厚生労働省|生活保護制度

ただ保障を行うのではなく、自立した生活を送れるように援助を行うのが目的で運用されています。

保護の要件

生活保護は、申請した全員が受けられるわけではありません。以下の4つの要件を満たすことが条件です。

  • 試算の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養

資産の活用

生活保護を受ける場合、必要最低限以上の資産を持つことはできません。生活に使っていない土地・建物、貴金属などは売却して現金に換え、生活費に充てる必要があります。

能力の活用

働くことが可能であれば、その能力に応じて労働する必要があります。

母子世帯や子どもが成長した場合、子どもが働ける状態になったのであれば、働く必要が出てきます。

あらゆるものの活用

生活に困窮している人が受けられる制度は、生活保護以外にもあります。分かりやすいのが年金です。

これらの公的制度の給付は優先して受け取るのが原則です。

年金等が最低生活費を上回ると、保護は受けられません。

扶養義務者の扶養

仮に同居をしていないとしても、親族等から援助を受けられる場合は扶養に入るなどの方法で援助を受ける必要があります。

扶養に入れる場合は原則として保護は受けられません。しかし、あくまで任意のため、親や兄弟が扶養することを断ることもできます。

これら4つの条件を満たして、なお最低生活費に満たない場合、生活保護費の支給が認められます。

生活保護は誰でも申請することができる

生活保護は、日本国憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するためのものです。

やむを得ない事情で働けなかったり、働いても最低限の生活を送るための収入を得られなかったりする国民に最低限度の生活を保障し、自立を支援します。

前項で紹介した条件を満たせば年齢や性別、さらには国籍を問わずに受けることが可能です。
既婚歴も関係ないため、誰であっても保護を受けることができます。

ただし、全ての人が利用する権利があるものの、申請すれば全員が保護を受けられるわけではありません。

条件を満たしていない(最低生活費以上の収入がある等)場合は対象になりません。

母子家庭の生活保護の現状

厚生労働省の平成29年度「生活保護制度の現状について」によれば、生活保護を受給している母子家庭は平成24年の11.4万世帯が最も多く、そのほかの時期も基本的に10万世帯を維持しているのが現状です。

生活保護の受給者は近年、減少傾向にありました。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染による非常事態宣言を受けて、申請が急増している経緯があります。

2020年4月の申請件数は2019年よりも24.8%増えており、新型コロナウイルスによって職を失った人が急増したことが原因とされています。

その後は国の支援制度の拡充もあって5~7月の申請数は再び減少に転じてはいるものの、今後も感染の拡大によって実体経済がダメージを受ければ急増する危険はあるでしょう。

一方で、申請者が増えても自治体の予算が劇的に増えるとは限りません。

審査がますます厳しくなり、本当に生活に困っている人が保護を受けられなくなることも考えられます。

生活保護を受けるまで、長い戦いになることは覚悟する必要があるでしょう。

母子加算とは

「一方の配偶者が欠ける状況にある者が児童を養育しなければならない」といった場合に支給される加算です。

支給要件

生活保護を受けている世帯がひとり親家庭の場合に支給されます。
ちなみに、「母子」という名称を使ってはいますが、父子家庭であっても加算されます。

児童扶養手当と連動しているため、以下のような関係性となっています。

  • 児童扶養手当がもらえる=母子加算は行われる
  • 児童扶養手当がもらえない=母子加算が行われない
ただし、児童扶養手当と母子加算はあくまで別制度ですから、児童養育手当がなくても母子加算が行われることは考えられます。

加算額

母子加算の加算額は、住まいの地域の「級地」によって異なります。

具体的には以下のとおりです。

【1級地】

  • 児童1人の場合=20,300円
  • 児童が2人の場合に加える額=3,900円
  • 児童が3人以上1人増えるごとに加える額=2,300円
【2級地】
  • 児童1人の場合=18,800円
  • 児童が2人の場合に加える額=3,600円
  • 児童が3人以上1人増えるごとに加える額=2,200円
【3級地】
  • 児童1人の場合=17,500円
  • 児童が2人の場合に加える額=3,300円
  • 児童が3人以上1人増えるごとに加える額=2,000円
参考:2020(令和2年)年4月1日施行 生活保護実施要領等|35P

級地は、厚生労働省の公式webサイトにて確認ができます。また、給付額は常に更新されるため、具体的な給付額はケースワーカーに確認を行いましょう。

支給期間

母子加算は、下記の1~3いずれかの条件に当てはまる限り支給されます。

  1. 児童が18歳に達する日以後の3月31日まで
  2. 障がい者加算の対象になる児童の場合は20歳になるまで
  3. 1や2に関係なく児童の親が再婚(事実婚を含む)するまで

生活保護を受ける場合のポイント

母子家庭は父子家庭に比べて収入が少なくなることが多く、生活保護は最低限の生活を送るうえで重要な役割を持ちます。

しかし、メリットばかりではありません。場合によってはデメリットに感じることもあります。

ここでは保護を受けるにあたっての注意点を解説します。

  • 児童扶養手当の金額によっては生活保護費は減額される
  • 生活保護の申請を断られる場合がある

児童扶養手当の金額によっては生活保護は減額される

母子家庭は、生活保護を受けていなかったとしても受けられる公的制度があります。「児童扶養手当」がそれにあたります。

このような公的手当を受けていたとしても、なお生活が苦しい場合に生活保護の適用を受けることが可能です。

公的な手当ては収入という扱いですが、児童扶養手当などの手当と生活保護を同時に受給することはできます。

ただし、公的手当が収入の分だけ、支給額は減額されることが注意点です。最低生活費から児童扶養手当を含めた収入を差し引いた残りが、受け取れる生活保護費になります。

公的手当だけで最低生活費を上回る場合は、生活保護の対象から外れてしまいます。

生活保護の申請を断られる場合がある

母子家庭であっても、申請した全員が保護を受けられるわけではありません。すでに紹介した4つの要件を満たさない限り、原則として生活保護は受けられません。

  • 換金できる資産を所有している
  • 働ける状態にもかかわらず働いていない
  • 他の公的制度の金額だけで最低生活費を上回っている
  • 親族の扶養に入ることができる
このような人の場合、申請は却下されます。本当に自分が最低生活費以下の収入しか得られないのかが大きな焦点になるでしょう。

生活保護を受ける場合の4つの注意点

母子家庭だけに限った話ではありませんが、生活保護を受ける際にはデメリットもあります。

以下で紹介する注意点・デメリットを理解した上で申請するようにしてください。

  • 親族・元夫に連絡がいく
  • 資産形成ができなくなる
  • ケースワーカーと定期的な面談が必要
  • 世間体がストレスになることも

親族・元夫に連絡がいく

生活保護を申請すると、福祉事務所から親に対して「この人を扶養できませんか?」と連絡が入ります。

親や兄弟姉妹だけでなく、子どもにとって親である元夫にも連絡が行くのです。

親や兄弟はともかく、元夫に連絡がいくのは知っておいた方が良いでしょう。
場合によっては新しい口論の火種になりかねません。

ただし、離婚の原因が元夫によるDVである場合は連絡をしないような配慮がされます。
生活保護を相談する時に必ずDVがあったことは伝えましょう。

資産形成ができなくなる

生活保護を受ける場合、最低限の生活費を超える分の貯金ができなくなります。

最低生活費を受け取ることで、毎日の生活は何とか送ることはできるでしょう。しかし、大きなイベントのためのお金が捻出できません。

子どもが大きくなった場合、大学の入学費用などのお金を捻出できなくなります。奨学金制度を利用して通ってもらうことになり、子どもに借金をさせることになるでしょう。

塾や習い事に通わせてあげられないことで、子どもが教育を受ける機会を奪うことにもなりかねません。

生活保護を受ける時は貯金ができないことを前提に、今後の人生の歩み方を考えていかなければいけません。

子どもが充実した学校生活を送ることを考えれば、一刻も早く脱却する方法を考えるべきです。

ケースワーカーと定期的な面談が必要

ケースワーカーとは、生活保護の受給の調査を行ったり受給者に制度の説明をしてくれたりする担当者のことです。

生活保護を受けている人は、定期的にケースワーカーとの面談を実施する必要があります。

ケースワーカーは生活保護から脱却することをサポートするのが仕事ですから、時には受給者に厳しい態度で接することがあるでしょう。

人によっては担当のケースワーカーと相性が合わず、揉めてしまう可能性も考えられます。

世間体がストレスになることも

生活保護は、国が認めた正当な制度です。生活に困窮しているのであれば、誰もが受ける権利があります。

しかし、テレビやSNSで生活保護のニュースが取り上げられることで悪いイメージがついているのも事実です。不正受給が横行してしまっていることが、さらに悪感情を助長させています。

生活保護を受けているという事実にストレスを感じる人もいるでしょうし、周囲から心ない言葉をかけられてしまうことも少なくないでしょう。

生活保護を受けようとする場合は、「誰もが賛同してくれるわけではない」ことを前提に覚悟を決めて手続きする必要があります。

生活保護は母子家庭でも受けられる|母子加算の詳細と注意点 まとめ

今回は、母子家庭が生活保護を受ける際の加算の内容やポイント・注意点について解説しました。

母子家庭では父子家庭より収入が少ないケースが多く、生活保護は最低限の生活を送る上で大きな助けになります。一方で、貯蓄がしにくいことで子どもの夢を諦めさせることになる可能性も否定できません。

いずれは生活保護から脱却できるように、保護を受けつつも収入を増やす方法を模索していきましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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