1. お金借りるトリセツ
  2. お金に関する豆知識
  3. 生活保護受給者は借金できない!今までの借金はどうする?

生活保護受給者は借金できない!今までの借金はどうする?

 2020/10/22 お金に関する豆知識   357 Views

生活保護を受けようと考えている人の中には、すでに借金で首が回らないという人も少なくなくありません。

しかし、すでに借金がある人が生活保護を受けることはできるのでしょうか?
また、生活保護費を借金返済に充てることはできるのでしょうか。

今回は、生活保護と借金の関係について解説します。
すでに借金があって生活が苦しいと感じる人は、ぜひ読み進めてみて下さい。

生活保護とは

生活保護とは、生活が困窮している人に対して国や地方自治体が保護をする制度のことです。
最低限の生活を保障しつつ、困窮した生活の立て直しによる自立を支援しています。

生活保護の目的

生活保護が存在する意味は、何なのでしょうか。答えは日本国憲法第25条に書かれています。

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

引用元:e-Gov|日本国憲法第二十五条

今は問題なく日常生活を送れている人も、今後はどうなるか分かりません。

地震などの災害や、直近でいえば新型コロナウイルスが原因の倒産など、いつ生活が困窮するかは誰にも分からないのです。

そこで、生活に困窮している人を保護し、自立を促すことを目的として活用されているのが生活保護というわけです。

生活保護の支給額は、「最低生活費」と同額とされており、最低生活費は生活扶助+住宅扶助に、個人ごとの加算を加えて計算されます。

申請時の借金の有無は調査に影響を与えない

結論としては、借金があっても生活保護は受給できます。

生活保護の受給条件を見てみましょう。生活保護の受給条件は以下の通りです。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
「資産の活用」とは、預貯金や生活に利用していない土地・家屋などがあれば売却して生活費に使うことです。
「能力の活用」は、働くことができるなら働いて収入を得ることを求めています。

最後の「あらゆるものの活用」は、年金や児童手当など生活保護以外で使える公的な補助制度があれば、それらを優先して活用することです。

3つを活用してみても生活が困窮する場合は、生活保護の支給対象になります。

借金に関する条件はない

前述の通り、生活保護の要件で問われることは「国が定める最低生活費に収入が満たないこと」であり、借金に関する記載は存在しません。

よって、借金をしていても生活保護を受けることは可能です。

生活保護を受ける際は福祉事務所による調査を受けることになりますが、保護を受けられるか否かの判断について、借金の有無は判断材料になりません。

【重要】生活保護を受けても借金は減らない

「借金をしていても生活保護は受けられる」と聞いて「生活保護を受ければ借金がチャラになるのでは?」という勘違いをしてしまう人もいるかもしれません。

しかし、それは全くの誤解です。
生活保護を受給しても借金は減ったり、消えたりすることはありません。

借金には返済する義務があるため、生活保護を受給していようとも借金は無くならないのです。

借金を放置すると・・・

借金を放置し続ければ利息がどんどん積みあがり、最終的には裁判所から訴状が届いて資産の差し押さえといったことにつながります。

生活保護費を差し押さえられることはないとしても、返済に充てられそうな資産はことごとく差し押さえられると思っていた方が良いでしょう。

生活保護の受給中にしてはいけないこと

借金をしていても生活保護を受けること自体は不可能ではありません。
しかし、いざ生活保護を受けたあとに「やってはいけないこと」があります。

以下の行為は、生活保護中はNGと覚えておきましょう。

  • 生活保護費で借金は返済できない
  • 新しく借入れするのはNG

生活保護費で借金は返済できない

生活保護費を使っての借金返済は、明確に禁止されています。

生活保護は最低限の生活を扶助するための制度であって、借金返済のためのお金ではありません。
考えてみれば至極当然の理由です。

また、生活保護費は国民が納めた税金で構成されています。
当たり前のことですが、国民の税金を個人の借金返済に使うことは想定されておらず、許される事でもないのです。

生活保護で扶助される8項目

以下に、生活保護で支給される扶助を紹介します。

  • 生活扶助=日常生活の費用
  • 住宅扶助=アパート等の家賃
  • 教育扶助=子どもに必要な学費
  • 医療扶助=医療費
  • 介護扶助=介護サービス費
  • 出産扶助=出産費用
  • 生業扶助=就業に必要な技能の習得費用
  • 葬祭扶助=葬祭費用
いずれにも「借金の返済」に関する項目はありません。

生活保護費で借金返済は「不正受給」

借金返済のためのお金ではない生活保護費を使って借金を返済することは「不正受給」に該当します。

保護費で借金を返済していることがバレると、生活保護の打ち切りにつながることを覚えておきましょう。

「黙っていればバレないのでは・・・」というのは甘い考えです。

福祉事務所は金融機関の口座を調査する権利があるため、不審なお金な流れは直ぐにバレてしまいます。

不審な点が見つかった場合、福祉事務所からの厳しい追及を受けることになるのです。

新しく借入れするのはNG

借金がある中で生活保護を受けていたとしても、生活保護費を借金返済に充てることはできません。

すると、「新しく借りてしまおうか・・・」と考える人もいるかもしれません。

生活保護には新しく借り入れることに対する規定はない(現実としては生活保護を受けている人にお金を貸してくれる銀行・消費者金融はほとんどありません)ため、借り入れること自体は不可能ではありません。

しかし、新たな借り入れは「収入」としてみなされる点に注意が必要です。

生活保護の減額対象に

生活保護は「最低生活費に満たない人」が対象です。
支給される金額の上限は最低生活費の範囲内と決められています。

つまり、収入とみなされるものがあれば、その分は減額されるということです。

働いて得る給与と違い、借金は利息を加えて返済する義務があります。加えて生活保護費が減額になってしまうため、良いことは何もありません。

すでに受け取っている生活保護費のうち、収入とみなされた分の金額の返還義務も生じます。

新しく借り入れたところで、唯一の収入が生活保護費であった場合は返す当てがなくなり、ますます生活が苦しくなることが予想されます。

禁止されていないとしても、絶対にNGと覚えておきましょう。

生活保護前に借金の整理をする場合【債務整理】

借金をしても生活保護を受けることはできます。
しかし、生活保護費で返済することはできず、新しく借り入れることもできず、返済せずに放置することもできません。

原則として、生活保護を受ける前に「債務整理」で借金をゼロにしておくことが必要です。借金をした状態では、自治体の側からも自己破産を進められるケースもあります。

ここでは、債務整理の3つの方法を紹介します。

  • 任意整理
  • 自己破産
  • 民事再生(個人再生)

任意整理

任意整理は、将来支払う利息をカットしたり返済期間を延長したりすることを、弁護士を通じて貸金業者と交渉する方法です。

利息をカットすることで借金の総返済額を減らすことができるほか、月々の負担を減らして返済しやすくすることが可能になります。

自己破産や個人再生と違って裁判所を介さないため、デメリットや生活への影響が少ないことも特徴です。

任意整理に向いているのは「まだ生活保護を受けていない人」です。
ある程度の安定収入があって借金を返済することが可能な人であれば、任意整理による借金完済を目指すことができます。

生活保護を受けずに生活が元に戻るなら、それに越したことはないでしょう。

借金を完済してもなお生活が苦しくなってしまった場合に限り、生活保護を検討するようにしましょう。

任意整理のデメリット

任意整理を行うと、個人信用情報機関に事故情報が記録され、5年間は新しく借入れすることができなくなります。

また借金の全額が免除になる「自己破産」や最大で9割近い借金の減額につながる「個人再生」と比較すると、任意整理は利息の再計算による総返済額の減少に留まります。

毎月の返済が多少は楽になりますが、根本的に借金がなくなるわけではありません。

ゆえに、生活保護をすでに受けている状態で任意整理を受けても効果は薄いのです。

任意整理を選ぶなら、生活保護を受ける前に行うのが必須です。

自己破産|生活保護受給者におすすめの方法

自己破産は、裁判所の手続きを経て借金が全額免除になる手続きのことです。

借金があってすでに生活保護を受けている場合は、自己破産を使って借金を無くすのがセオリーになります。

というのも、生活保護を受けるほどに生活に困っている人は多重債務(複数の金融機関からお金を借りて返済に困窮していること)に陥っている可能性が高いためです。

自己破産であればデメリットはあるものの、借金を全てなかったことにできます。

借金問題を解決してから生活保護を受ければ、返済のために新しく借り入れてしまうといったドツボにはまることはないでしょう。
督促に応じる形でついつい生活保護費で返済することもなくなくなります。

自己破産によるデメリット

自己破産は、信用情報機関に事故情報として記録されます。
自己破産の情報は最長で10年程度は残り続けるため、記録があるうちは、カードローン等による借り入れができなくなります。

とはいえ生活保護の身ですから「無用な借金をしなくて良くなる」と前向きに捉えることもできるでしょう。

あとは「車や自宅」が維持できない可能性もあります。
ローンが残っていないとしても、破産管財人によって処分の対象になることがあるのです。

処分の対象は「生活に必要ない高価な財産」で、具体的には現在価格が20万円を超える財産や、99万円を超える現金が対象になります。

民事再生(個人再生)

個人再生は、裁判所に個人再生の申し立てを行うことで借金の減額や返済方法の変更を行う方法です。
借金の金額次第ですが、最大で9割程度の借金を減額させることが可能です。

利息のカットにとどまる任意整理に比べ、大幅に借金を圧縮できる点もメリットになります。

民事再生のデメリット

民事再生(個人再生)を受けると、自己破産と同じく事故情報として記録されます。

民事再生の場合は自己破産と違って財産を処分されることはありませんが、住宅ローンが残っている住宅の場合は処分される可能性もあります。

また、手続きに時間がかかるのもデメリットです。

債務整理の中でも難しい手続きが必要とされているため、弁護士を介しても法的な手続きが煩雑で時間がかかります。

裁判所への申し立てには厳格な様式が必要で、必要書類も多岐に渡ります。再生計画の立案も必要になることから「弁護士を立てずに個人で行う」ことは無理があるといえます。

弁護士・司法書士への報酬を念頭に入れておくことも必要でしょう。

過払い金の請求はできる?

過払い金の請求とは、債務整理を進める中で「払い合う過ぎた利息の一部」を返還してもらえる手続きのことです。

生活保護を受けている状態であっても、過払い金の請求はできます。
しかし、過払い金は手元に残せるとは限りません。

過払い金は「所得」に該当するため、一定以上の過払い金が返還されれば生活保護が打ち切られる可能性があるということです。

過払い金を受け取る場合、必ず福祉事務所に連絡が必要です。

所得に該当すると、その分生活保護費は少なくなります。過払い金が生活保護費(=最低生活費)を上回る場合、生活保護は停止となります。

過払い金が60万円で毎月20万円の生活保護費を受け取っている場合、3ヶ月間は支給が停止されるのが原則です。

過払い金の受け取りを福祉事務所に報告しない場合は不正受給に該当し、今までもらってきた生活保護費までさかのぼって請求される危険もあります。

過払い金の請求は「生活保護を抜け出したあとの方が有利」ということです。

生活保護受給者は借金できない まとめ

今回は、生活保護と借金の関係について解説しました。

原則として、借金があっても生活保護を申請することは可能です。しかし、生活保護の費用を個人の借金返済のために利用することができません。

生活保護で借金を返済すると「不正受給」に該当し、さかのぼって生活保護費の返還を求められる場合があります。また、生活保護中の新たな借り入れは「収入」に該当することも忘れてはいけません。

生活保護を受ける前に借金を完済しておくことが望ましいですが、難しい場合は「自己破産」等の活用を検討しましょう。

\ SNSでシェアしよう! /

お金借りるトリセツの注目記事を受け取ろう

NO IMAGE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

お金借りるトリセツの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

関連記事

  • 生活保護の金額・支給額はいくら?計算式から解説

  • 【FP解説】食費節約のコツと1ヶ月の理想の食費

  • Appleローンは学生が親に内緒で利用できる?保証人の注意点

  • お金の振り込み方の種類は何がある?銀行振り込みと郵便の特徴を解説

  • エアコンの電気代が安くなる14の方法をFPが徹底解説!

  • セゾンファンデックスの借り方(申込〜借入・返済方法まで)