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生活保護制度とは|制度の概要と基礎知識を解説

 2020/10/09 お金に関する豆知識   533 Views

「働いても働いても、日常生活を送ることができない」

「ケガで働くことができなくなって貯金も底をついた・・・」

このような、毎日の生活にも困窮してしまう人のために用意された、公的なセーフティーネットが「生活保護」です。

今回は、生活保護の基本的な仕組みや支給内容、申請の流れについて解説します。

生活保護制度とは

生活保護とは、最低限の生活を営むことができない人へのセーフティーネットの役割を持つ制度です。

厚生労働省のホームページでは、制度の趣旨について以下の通りに解説しています。

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
引用元:厚生労働省|生活保護制度

「健康で文化的な最低限度の生活」というキーワード、どこかで聞いたことがありませんか?

日本国憲法の第二十五で定められている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」の文言そのものですね。

憲法に規定された最低限度の生活を営むために作られた制度こそ、生活保護制度と言えます。

根拠になるのは「生活保護法」

生活保護法では、あらゆる収入を合わせても国の基準である「最低生活費」に満たない人(生活困窮者と言う)にその差額が支給金額として決定されます。

憲法第二十五条「健康で文化的な最低限度の生活」を体現するための制度ですが、より具体的な内容を盛り込んだ法律として「生活保護法」が定められています。

新型コロナウイルスの影響で申請が増加している

2020年初頭から世界中で猛威を振るっている「新型コロナウイルス」によって、雇用情勢が大きく悪化しています。

2020年7月1日、厚生労働省は「全国の4月の生活保護の申請件数が2万1486件と前年同月に比べて24.8%増えた」と発表しています。

原因としてはやはり、新型コロナウイルスによる4月の「緊急事態宣言」で、生活に困った人が増えたことが大きな要因のようです。

緊急事態宣言では不要不急の外出を避けるようにアナウンスが行われ、消費者の外出が前提だった飲食店、観光業を中心に甚大な打撃を受けたのは記憶に新しいところでしょう。

2020年10月現在では政府の「Go Toキャンペーン」をはじめ、経済を活性化させる施策が始まっていますが、今後の第3波、第4波の動向によっては再び緊急事態宣言が出される可能性は否定できません。

相談・申請窓口

生活保護の申請や制度について分からない場合、以下の機関に相談が可能です。

  • 市区町村の福祉事務所
  • 生活困窮者自立支援の相談窓口
生活保護の申請窓口は、市区町村の福祉事務所です。
申請だけでなく、相談業務にも対応しています。事前相談を経てから申請に移るほうがスムーズです。

また、福祉事務所のある市区町村では生活に困窮している人のための「自立支援窓口」が設置されています。

こちらは生活保護の相談を受け付ける窓口とは異なりますが、話の流れで生活保護の申請のフォロー・アドバイスをしてくれることもあります。

場合によっては「生活保護の受給資格を満たしている」として福祉事務所に連絡を取ってくれることもあります。

要件

生活保護を受けるための要件について、厚生労働省では以下のように解説しています。

生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。

引用元:厚生労働省|生活保護制度

「資産」「能力」「あらゆるもの」を活用することが前提と書かれています。これは、どういう意味でしょうか。

生活保護を申請する前に「預貯金や使われていない資産があれば売却するなどして生活費に充てること」「働く能力があるなら働いてお金を稼ぐこと」「各種手当や年金が受け取れる場合は、まずそちらを活用すること」を行ってみることを求めているということです。

また、最後の一文「扶養義務者の扶養は生活保護法の保護に優先」とは、親兄弟の扶養に入ることで生活できる場合は、そちらから援助を受けて下さい、という意味です。

これらの努力をしても、なお生活が成り立たない場合に、生活保護を申請できるということになります。

世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較され、収入が最低生活費に満たない場合に保護されます。

生活保護は大きく分けて8種類

生活保護の扶助は、大きく分けて8種類に分かれます。

さまざまな条件を考慮し、8種類の扶養が必要に応じて組み合わされて支給されることになります。

扶助の名称は、以下の通りです。

  • 生活扶助
  • 教育扶助
  • 住宅扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 出産扶助
  • 生業扶助
  • 葬祭扶助

生活扶助

生活保護受給者の衣食その他、日常生活の需要を満たすための扶助です。

一般生活費として「基準生活費」「加算」「入院患者日用品日」「一時扶助」に分けられます。

加算とは「母子家庭」や「妊婦」、「障がい者」など特定の状態の人に加算されるお金です。
一時扶助は、「被服費」「移送費」など、特に必要と認められた場合に支給されるものになります。

教育扶助

教育扶助は、義務教育を受けるために必要な学用品費に対する扶助です。

住宅扶助

住宅扶助は、アパート等の家賃を扶助する項目です。
いわゆる「衣食住」のうち衣食は生活扶助、住は住宅扶助で保障されます。

生活保護世帯が持ち家世帯の場合は、改修費用などが支給されます。

医療扶助

生活保護受給者がケガや病気になった際の医療費の給付を行う扶助です。
生活保護法に基づいた指定医療機関の受診による「現物給付」が行われます。

介護扶助

生活保護の受給者が要介護者であった場合、介護に関する自己負担分が給付されます。

出産扶助

生活保護受給者の出産する場合に必要な費用が支給されるものです。
病院での出産は児童福祉法の「入院助産制度」が優先されるため、以下のような場合に限って適用されます。

  • 自宅での出産
  • 指定助産施設以外での出産

生業扶助

保護を必要とする人が自立目的で働く場合、必要な費用を金銭給付するものです。自営業の場合、設備費なども該当します。

葬祭扶助

生活保護を受給していた人が死亡した場合に、葬祭や埋葬にかかる費用が金銭給付されます。

保護受給期間

生活保護を受給すると、どのくらいの期間受給期間が続くのでしょうか。

厚生労働省「平成30年度被保護者調査」によれば、保護受給期間の平均は76.8ヶ月、つまり6.4年間にわたって生活保護を受給していることになります。

しかし、中にはもっと長く受給しているケースもあります。
中でも「死亡」によって保護廃止されるまでの期間が113.5ヶ月と長くなっています。10年近くに渡り生活保護をうけ、そのまま死亡してしまうこともあるようです。

死亡の10年前から生活保護ということは、すでに高齢になってから保護を受けている人が多いはずです。
高齢での生活保護の場合、抜け出すことが難しいことが想像できます。

手続きの流れ

ここからは、生活保護の手続きの流れをご紹介します。

  • 事前相談
  • 保護の申請
  • 調査
  • 保護の要否の決定
  • 保護費の支給

事前相談

まずは自治体の福祉事務所に出向いて、生活保護を申請したい旨を伝える「相談」から始めましょう。

相談の段階では必要書類はありません。手ぶらでも相談すること自体はできます。

とはいえ、預金通帳や給与明細、障がい者手帳、年金額がわかる書類など「生活の困窮具合」が分かる書類を持って行ったほうが、スムーズに話が進むことが期待できます。

保護の申請

自治体の福祉事務所生活支援課では生活に困っている人の相談を受け付けていますが、生活保護を受けようとする場合、受けようとする人からの申請が必要です。

申請は本人だけでなく、同居の親族又は親兄弟などの扶養義務者でも可能です。

調査

申請が受理されると担当者(ケースワーカー)によって、保護が必要かどうかを判断するための調査が行われます。

保護を受けようとする人の家庭(必要であれば病院・医院)を訪問し、調査を通じて生活の困窮具合、資産の活用度合い、働く能力を見定めます。

自宅訪問だけでなく、世帯全員の預貯金口座残高の調査も行われることは知っておきましょう。。

必要に応じて関係書類の提出も求められます。

福祉事務所が法に基づいて行う調査においては、指導・指示には従うのが申請者の義務です。
正当な理由なく故意に拒否する場合は、保護を受けることができなくなってしまいます。

保護の要否の決定

申請から「14日以内」に、福祉事務所が保護の要否を決定します。

結果は書面の送付にて通知されます。

保護費の支給

支給開始時、福祉事務所の担当者から受給についての説明を受けることになります。

生活保護費は月単位で支給されますが、支給方法は福祉事務所によって異なります。

生活保護費は国の基準に基づいて申込者の世帯の最低生活費を計算し、その金額と世帯のあらゆる収入を比べ、足りない分を保護費として支給します。

生活保護申請に必要な書類

生活保護の申請にあたり、必要になる書類は主に以下の4つです。

  • 生活保護の申請書・申告書
  • 本人確認書類
  • 収入に関する書類
  • 資産に関する書類

生活保護の申請書・申告書

生活保護の申請書と申告書は、名前は似ていますが別々の書類です。

申請書は、申請者・世帯員・扶養義務者の情報、申請理由を記載します。

一方の申告書は収入の申告書、所有する資産の申告書の2種類に分けられます。

本人確認書類

本人確認書類とそれに付随する書類として、以下の3つがすべて必要です。

  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど顔写真がついた書類
  • 健康保険証
  • 印鑑

収入に関する書類

給与明細書・賞与明細書のほか、年金受給者は年金手帳が収入に関する書類に該当します。

公的制度から何らかの給付を受けている場合は、それを証明する書類も必要です。

資産に関する書類

最新の通帳記入がなされた預金通帳のほか、車検証や生命保険の保険証券があれば提出します。

生活保護の申請前に|自助努力で生活できないかを考える

生活保護を受けるのは、憲法に規定された「最低限度の生活」を送るための国民の権利です。

しかし、生活保護はあくまで「自立を助ける」制度ですから、「これからもずっと働かなくても生活していける」というわけではありません。一日も早く自立を目指して、立ち直る努力が求められるわけです。

また、申請する前に「本当に自分の力で、どうにかできないのか」を考える必要があります。

生活保護はメリットだけではありません。
ケースワーカーとの定期的な面談に参加する必要があるほか「ぜいたく品を手放す」「生命保険は解約して解約返戻金を活用しておく」必要があるなど、今までの生活で普通にできたこと、あったものがなくなってしまうこともあります。

あくまでも自助努力で生活することを考えるのが、今後の生活を考えた上でも最善です。

生活が困窮する前にファイナンシャルプランナー(FP)に相談する手も

働く能力が残っていて生活が困窮している場合、本人が気づいていない「家計の改善策」によって生活が上向く余力が残されている可能性もあります。

「生活が苦しい・・・」と感じたら、地域のファイナンシャルプランナー(FP)を頼ってみる方法もあります。

FPは、「お金」に関する制度や法律を熟知した専門家です。とくに将来まで見据えた収支を見直す「ライフプランニング」を強みにしています。

  • 家計が赤字にならないように生活設計を見直したい
  • 加入している生命保険を見直したい
  • 税金や不動産の制度、控除などについて仕組みを知りたい
このような悩みをお持ちであれば、FPに相談することで解決できる可能性があります。

また、FPはほかの士業とのネットワークを構築していることが多く、「生活保護に強い弁護士に話を聞きたい」となった場合に紹介してもらえることもあります。

生活保護制度とは|制度の概要と基礎知識を解説 まとめ

今回は、生活保護の基本的な仕組みと申請の流れについて解説しました。

あらゆる財産を処分して能力の限り働いて、それでも最低限度の生活費に満たない場合は生活保護を受給することができます。

一方で、今まで持っていた資産の所有に一定の制限がかかるといったデメリットもあります。

あくまで自助努力による生活改善を考え、どうにもならない時の最後の手段として検討するようにしましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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