リフォームローンの審査基準|流れと重要ポイントを解説
リフォームの金額は工事の規模によってもさまざまですが、数百万円から1,000万円以上が必要になることも珍しくありません。
そこで利用したいのが銀行で提供されている「リフォームローン」です。
高額なリフォーム費用を分割で払えるようになるため、お金の心配なく希望通りのリフォームができるようになります。
ただし、リフォームローンは所定の審査を通過しないと利用できません。
無事に通過できるように、あらかじめ審査の重要ポイントを把握しておきましょう。
そこで今回は、リフォームローンの審査の流れを解説します。
このページの概要
リフォーム審査の流れ
リフォームローンの審査内容は大きく分けて「仮審査」「本審査」の2ステップに分けられます。
両方の審査を通過できて初めて、リフォームローンが契約可能になるのです。
それぞれの審査の流れを解説します。
仮審査
融資元である金融機関が、ローン希望者を大まかに審査するのが「仮審査」です。
多くの金融機関の公式webサイトには、リフォームローンの仮審査申し込みぺージが設置されています。
必要な項目を入力して送信すれば仮審査を受けられます。
申込方法はWEBがメインですが、金融機関によっては電話や郵送でも対応可能です。
リフォーム費用の借入希望額、返済希望期間などの必要情報を記入して送信しましょう。
それをもとに審査が実施され、結果が申込者に通知されます。
仮審査にかかる時間は金融機関によってさまざまですが、大抵は3~4日程度かかることになります。
仮審査に通過したら、次は「本審査」に進みます。
本審査用の書類は自宅に郵送されるため、必要事項を記入したうえで本人確認書類などの必要書類と合わせて担当者に提出してください。
仮審査だけでは審査に通過できませんが、仮審査を受けることで「本審査にも通過できるか」をざっくりと把握できます。
いくつかの金融機関の仮審査を受け、通過できた金融機関から本審査に申し込むローンを決めましょう。
本審査
仮審査後に、希望すれば本審査に進めます。
リフォームローンを借りるために必要な書類(仮審査通過後に手元に届くもの)を送ることで審査が可能です。
融資が可能かどうか、本格的に審査を行いましょう。
必要書類については金融機関から説明があります。
不足したり不備があったりすると審査に通過できないため、間違いがないように慎重に確認しましょう。
本審査は、3営業日~2週間ほどかかるのが一般的です。
さらに時間がかかることも予想されるため、余裕をもって審査に申し込んでください。
リフォームローン審査の重要ポイント
完済時年齢
リフォームローンの審査では、審査の重要項目として「完済時年齢」がチェックされるのが一般的です。
現在の日本人の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳です。(参考:主な年齢の平均余命)
この年齢を超えるほど返済途中に亡くなってしまうリスクが高まります。
そこで多くの金融機関では、完済時の年齢に一定の上限を定めており、一般的には80歳で設定されます。
借り入れる年齢が高くても完済時年齢の上限は変わらないため、毎月の返済金額が高くなることが考えられます。
年収に占める返済額(返済負担率)も上がるため、審査に悪影響をあたる可能性は否定できません。
健康状態
リフォームローンは、申込者の健康状態も重視される傾向があります。
とくに「担保型ローン」では借入可能額が高額のため、万が一の際に借金を肩代わりしてくれる「団体信用生命保険」に加入が必要です。
団体信用生命保険は個人の「定期保険」「終身保険」のように申込者の健康状態が重視されます。
健康状態に問題がある場合は団体信用生命保険に加入できないため、リフォームローンの審査に落ちてしまうわけです。
年齢を重ねるほど病気にかかる可能性が高まるため、その意味でも可能な限り若いうちに審査へ申し込んでおくべきです。
借入時年齢
借入時の年齢は、完済時年齢と同様に審査の重要ポイントです。
一般的には70歳が借り入れ上限とされています。
借入時年齢が定められているのは、完済まで返済能力を維持できるかが金融機関にとって重要になるためです。
30代や40代、50代の働き盛りでは給与による安定した収入が見込めるため、完済まで安定して返済できます。
一方の60代以降では状況が異なります。
定年退職後は年金だけが収入源になるのが一般的で、返済能力に疑問符がつくことが予想されます。
収入が低すぎると返済に苦慮してしまうため、審査は厳しく見られるのが普通です。
仮に審査に通過できても完済時年齢は80歳あたりで決まっているため、毎月の返済額が相対的に高くなる点にも注意が必要です。
年収
審査に通るためには、年収は高ければ高いほど良いでしょう。
一方で、「収入の安定性」も大切です。
例えば以下の2人が審査に訪れた時、どちらのほうが評価されるでしょうか。
- 今年の年収は500万円だが去年は200万円。来年は未定
- 毎年安定して400万円が確約されている
収入が安定している人の方が返済も確実に行えるため、貸し倒れのリスクが低いと判断されやすいのです。
勤続年数
収入の安定性には、勤続年数も関係します。
勤続年数が短い人の場合は「すぐに退職してしまうのでは?」と心配されることも考えられます。
できる限り長く勤めているほうが審査には有利です。
返済負担率
年収に対するローン返済額の割合が「返済負担率」です。
返済負担率に含まれるのは、リフォームローンの返済金額だけではありません。
カードローンやクレジットカードのキャッシング枠なども計算に含まれます。
住宅ローンやマイカーローンを組んでいる人は要注意です。
返済負担率は、一般的に30%以内が理想的と言われています。
自分で計算してみて35~40%以上になってしまう場合は、すでに契約してるローンを完済して返済負担率を下げる必要があります。
とはいえ、住宅ローンなどはすぐに完済できないでしょう。
「カードローン」など、比較的手を付けやすいローンを完済していくようにしましょう。
リフォームローンの審査に落ちる人の特徴
勤続年数が短い
会社員や公務員は、勤続年数が長いほど「仕事を辞めにくい人」と判断されます。
逆に勤続年数が短い場合、評価がマイナスになることも考えられるでしょう。
仕事を辞めてしまうと収入がゼロになるため、返済が滞る可能性があります。
できる限り勤続年数を伸ばしてから申込む方が良いのです。
具体的には、最低でも半年は勤めてから申込むべきです。
1年以上の勤続年数になってからの方がさらに良いでしょう。
返済負担率がオーバーしている
年収に占める返済額の割合である「返済負担率」は、30%を下回るのが理想的です。
できれば35%以内には納めておきたいところでしょう。
40%を超えてしまうと、徐々に審査に悪影響を与える可能性が高くなります。
返済負担率が金融機関の基準をオーバーしてしまうことは、審査落ちの原因になり得るのです。
収入が安定していない
収入が安定している職業の代表例が「会社員」や「公務員」です。
給料は月給制のため、景気の変動に関係なく給料は一定です。
有給休暇などの福利厚生が用意されているため、休んでしまってもある程度の給料は確保されます。
一方、会社員でも審査に通過できないこともあります。例えば「給料に占める歩合給の割合が大きい場合」です。
歩合給は営業成績によって毎月の手取りが大きく異なるため、毎月安定した月給をもらえるスタイルの社員と比べて「景気の変動などによって給与が下がる」というリスクがあります。
そのほか、「安定していない」と評価されがちな職種には、フリーランスや自営業、フリーター、契約社員などが考えられます。
契約社員は月給水準こそ正社員と同等ですが、ボーナスや退職金が用意されないのが一般的です。
契約が更新されないリスクもあり、安定性は正社員より劣ります。
フリーランスや自営業は、年収は正社員を超える場合も珍しくありません。
一方で有給や健康保険の「傷病手当金」がないため、何らかの事情で仕事を休むと収入が激減するリスクがあります。
記載内容に虚偽がある
金融機関の取り引きでは申し込み情報を点数化して合否を判断する「スコアリング審査」が実施されますが、申込者の誠実な態度も審査に関係します。
個人間のお金の貸し借りを想像してみて下さい。
普段からウソをつく人にお金を貸す人はいないでしょう。
金融機関に提出する申し込み内容の中には「少しくらい盛ってもバレないのでは?」と思ってしまう項目があるのも事実です。
しかし、虚偽の申告は必ず判明します。
例えば過去の借入金の延滞情報は「個人信用情報機関」に記録されています。
金融機関は審査時にアクセスしてチェックできるため、嘘をつきとおすことはできません。
他社からの借り入れ情報についても同様です。
いままでの申し込み履歴や返済履歴などは個人信用情報機関詳細に記録されています。
「他者の借り入れはありません」とウソを記入してもすぐにバレてしまいます。
年収についても同様です。
「源泉徴収票を見せなければバレないのでは?」通用しません。金融機関には過去のあらゆる審査の結果がデータとして記録されています。
業界と勤続年数が分かれば、大まかな年収情報が分かってしまうほどの精度です。
そのデータからかけ離れた年収を申告しても、怪しまれるのは当然でしょう。
信用情報に傷がある
信用情報は、過去の金融商品の利用状況のことです。日本には以下の3つの信用情報機関があり、それぞれ提携金融機関の情報を記録しています。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター
過去に61日以上の返済遅れの履歴がある場合、事故情報として信用情報に記録されます。
これがいわゆる「信用情報に傷がある」「ブラック」と言われる状態です。この状態では原則として審査に通過できません。
登録された事故情報は、一定期間を経過するまでは消えないのがルールです。例えば延滞の事故情報は「延滞の状態が解消されてから5年」は残り続けます。
もし過去に自己破産や任意整理などの「債務整理」を行ったことがある場合は、5年から最長10年にわたって記録が残り続けます。
延滞情報になるのはローンの返済遅れだけではない
カードローンやクレジットカードの返済は遅れたことがないのに、信用情報に傷がついている人もいます。それはなぜでしょうか。
信用情報に傷として記録されるのはローンの返済遅延だけではありません。
公共料金や税金の支払い、スマートフォン代金の分割払いも対象です。
カードローンを利用していないから大丈夫、ではないのです。
日頃から、締め切りが決められている支払いが遅れないように十分に気をつける必要があります。
信用情報に傷があるか思い出せない時は「情報の開示」を行う
かなり前に信用情報に傷がつく行為をした場合、思い出せないこともあるでしょう。
気になる場合は信用情報機関の公式webサイトからの申し込みで「信用情報の開示」ができます。
事故情報が記録されている場合、その記録が消えるまで待機することになります。
ただし、詳細な事故情報の内容が消えても「過去に何らかの事故を起こした」という記録は消えません。
審査に通過する可能性を少しでも高めるには、普段から返済の遅れを絶対に発生させないことが肝心です、
全額をローンで支払う人は評価が落ちることも
融資額が大きくなると、当然ですが審査は厳しくなります。
前もって自己資金を多めに用意し、頭金として支払うことで融資を受ける金額を安くすることが可能です。
また、同じ金額を借りる場合も、できるだけ多くの自己資金を用意しましょう。
「お金が全くないから100万円を借りたいです」という人と「50万円は用意したけど不足分の100万円を貸してほしい」という人では、後者の方が審査員の心証も良いと考えられます。
まとめ
今回は、リフォームローンの審査内容について解説しました。
無担保のローンの場合は申込者の返済能力と信用が大きく影響します。
信用情報に傷があるか・ないかは審査で特に重視されます。
過去に一定以上の返済遅れによって信用情報に傷がついてしまった場合、データが削除されるまでは原則として審査を通過できません。
そのほかの重要ポイントもしっかり押さえ、審査に通過できるようにしていきましょう。