国民健康保険を滞納するとどうなる?
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国民健康保険を滞納するとどうなる?
市区町村によって様々ですが、国民健康保険料を滞納した場合、一般的にはこのような流れになります。
- 督促状が届く
- 電話や訪問による催告、役所への呼び出し文書などが届く
- 「被保険者証」ではなく有効期限が短い「短期被保険者証」に切り替わる
- 保険証から「被保険者資格証明書」になり医療費が一旦全額自己負担になる
- 高額療養費、出産育児一時金などの給付制限がされる
- 財産(銀行口座や生命保険、給与など)を差し押さえられます
医療費が全額自己負担になった場合、病院に行くとどうなる?
滞納が続けば市区町村によっては約1年で保険証が証明書に代わり、医療費が全額自己負担になります。(後日申請することで支払い医療費の7〜9割が滞納分に充てられます)
風邪を引いて病院に行くと、今まで3000円程度だったものが10,000円にも増額することになります。普段から病院に縁のない人にとっては、そんなに痛手ではないかもしれません。
しかしそういう時に限って病気や怪我は突然やってくるもので、頼れる身内もいなければ大変なピンチに陥ります。
延滞金はいくらぐらいかかる?
以前に比べ利率は低くなりましたが年利9%は低いとは言えません。
単純に10万円の納付に対して6か月期限を過ぎれば約3,900円の延滞金が発生することになります。(平成29年の場合。1か月を30日として計算)
市区町村により計算方法が異なるので、詳しくはお住いのホームページ等で確認してください。
延滞金のほか、督促状発付にかかる督促手数料50〜100円程度が必要になる市区町村もあります。次の支払いも次々来ますので保険料は1日でも早く支払うべきです。
延滞金の割合
納期限後一ヶ月間 | その後 | |
---|---|---|
平成25年12月31日まで | 年4.3% | 年14.6% |
平成26年1月1日〜平成26年12月31日 | 年2.9% | 年9.2% |
平成27年1月1日〜平成28年12月31日 | 年2.8% | 年9.1% |
平成29年1月1日から | 年2.7% | 年9.0% |
滞納している国民健康保険料に時効はある?
法律上は督促によって時効が停止するので、そのまま支払いを放置していれば時効が来てなくなるということはなく、むしろ放置することで延滞金は膨れ上がりとんでもない金額になります。
ただし「不能欠損」はあり得ます。
滞納分を分割で支払っている人の場合、その間に現年度分の保険料も加算されていきますので、どこかで一括で払わない限りは支払額がどんどん増えることになります。国保は「現年度分優先」という原則があり、分割を何年も続けている間に古い年度分のものが取り残されて役所で「徴収不能」と判断されて時効を迎えることがあります。
これが不能欠損と呼ばれるものですが、最初からこれを狙うのは危険で、延滞金がかさむばかりで現実的ではありません。財産も仕事もなく、病気で家族もいないとなれば話は別ですが、積極的に差し押さえをする自治体が増えていますのでまず滞納金からは免れられないと考えるほうがいいです。
免除や減額はしてもらえる?
保険料の全額免除は制度としてはありますが、災害などの場合などの特殊な場合に限られるので現実的には不可能に近いでしょう。
全額免除は難しくても一部軽減や減免は状況によってありえます。リストラにあった、廃業したなど特殊な事情がある場合、市町村によっては国民健康保険料が安くなることもあります。
役所で相談した結果、保険料そのものは無理でも延滞金を減額してもらったという強者もいますが、市区町村によって運用は様々ですし、個々の事情によるところが大きいのであまり過度に期待はしないことです。
なんらかの救済措置がほしい場合もまず早めに自分から役所に相談することが大事です。
滞納したらとりあえず分割相談してみる
督促状が届いてしまったら、支払うお金はなくてもまずは役所に出向きましょう。
現在の家計の状況を包み隠さず話し、払えない証拠となるような書類を提出できれば分納が認めてもらえるかもしれません。
その後、きちんと計画どおりに支払いをすれば差し押さえられる可能性もかなり低くなります。
役所で相談する際のポイント
- 払えないと分かった時点ですぐに役所に出向いて相談する
- 誠実な態度で接し、嘘をつかず正直に答える
- 最低限の生活費を確保できるよう分納の額については自分の考えをはっきり主張する
- 努力して最後まできちんと支払う意思があることを示す
- 保険料を軽減できそうな要素(リストラなど)があれば自分から聞いてみる
- 一度断られても諦めずに粘り強くお願いしてみる
役所の職員も人間ですから、横柄な態度で接すればこちらが損することもあり得ます。
滞納していること自体がマイナスなので、始めから戦闘態勢に入らないよう注意しましょう。相談したら希望する額の分納であっさりと決まることもあります。
ただし分納が決まっても、その後にまた滞納すれば差し押さえの可能性が高まること、滞納分とは別に保険料の支払いそのものはこれからもずっと続くということをお忘れなく。
言うまでもなく、延滞金のことを考えれば一括で先に払ってしまう方が断然お得です。
生活保護を受けたり自己破産すれば支払いはなくなる?
生活保護受給者になれば医療費はかかりませんし、滞納の支払い義務がなくなることもありますが、生活保護を受けるには資産0など厳しい条件が必要なので事情がない限りあまり考える道ではありません。また、自己破産した場合でも国民健康保険の納付義務は消滅しません。
引っ越しで滞納から逃げられる?
引っ越した場合は新しい市区町村の健康保険に加入することになるので、健康保険証が発行されます。ただし転居前の市区町村での滞納がなくなることはありません。昔は転居を繰り返し、ずっと滞納しながらも保険証を確保していたブラックな人がいたそうですが、今はマイナンバーも整備されていますし非常に難しい裏技でしょうね。まず転居費用の方が高そうです。
一番やってはいけないのは「放置」。差押えが近づく!
やってしまいがちですが、一番危険なのは役所からの通知を無視してそのまま放置することです。国民健康保険の支払いに時効はあっても督促すれば時効停止になりますから、放置していても延滞金が膨れ上がるばかりでいいことはありません。
納期限から1ヶ月後には督促状が届き、実際に銀行口座などが差し押さえられる前に「差押え予告通知」が来ますが、本人から何も音沙汰がなければ当然役所の行動も早まると考えられます。
突然口座を差し押さえられて怒り狂い、役所の窓口で大声を出して暴れる人を目撃したことがありますが、痛々しいですしそうなってからでは遅いですね。給与を差し押さえられたら会社での信用もがた落ちですし、差し押さえられる前の早めの対策が肝心です。