医療ローン(メディカルローン)とは|高額な医療費に対応するオススメのローン
急な病気やケガで治療が必要になった時は原則として健康保険が適用されますが、それでも高額な医療費を請求されることがあります。
一方、レーシックや審美歯科などの一部の医療は保険適用外のため、30~100万円以上の高額な請求がされることも珍しくありません。
そこで活用できるのが「医療ローン」です。
今回は、「医療ローンとは何なのか」「メリット・デメリット」などについて解説します。
このページの概要
医療ローン(メディカルローン)とは
医療ローンは別名「メディカルローン」とも呼ばれており、医療行為を受けるためのローンのことです。
カバーできるのは入院費用だけではありません。
人間ドック、歯科のインプラントなど、あらゆる治療を受ける患者の金銭的な負担を最小限にするためのローンです。
病院・クリニックと提携している信販会社や銀行が主な借り入れ先になります。
「目的別ローン」の一種であり、医療行為以外には利用できません。
医療ローンの対象は?
実際に医療ローンを利用しようとした際「自分の行いたい治療内容を医療ローンで支払えるの…?」という人は多いでしょう。
実は医療ローンは診療項目が多岐に渡り、一概に「ここには対応している・いない」と言えません。
あくまでも一例ですが、医療保険の範囲に含まれる治療を見てみましょう。
- 美容整形
- 脱毛
- レーシック
- 審美歯科
金利分の利息と元金を返済する
医療ローンを借り入れた場合は元金と合わせて、所定の金利から計算される利息を支払う必要があります。
一般的に、医療ローンの金利は実質年率で4~10%程度です。
もしカードローンで借りた場合、銀行カードローンで2.8~15.0%、消費者金融で3.0~18.0%程度の金利になります。
目的別ローンである医療ローンは、使途自由なカードローンやフリーローンと比較して金利が低いのです。
ただし、金利が低い分だけ審査は厳しい傾向にあることは知っておく必要があります。
医療ローンをメインで考えつつも、審査に落ちた時のための代替案としてフリーローンやカードローンも一緒に考えておく必要があるでしょう。
利息の計算方法
利息の計算は複雑です。実際の利息は各記金融機関のホームページにある「返済シミュレーション」に入力するほうが、早く確実に返済金額が分かります。
ただ、利息の計算方法の考え方を知っておくことは大切です。基本的な計算方法は以下の通りになります。
利息=借入残高×金利(実質年率)÷365×借入日数
10万円を金利5%で借りて30日後に返済する場合、元金に加えて「411円」の利息を支払うことになります。
金利はフリーローンやカードローンより低い
一般的に、医療ローンの金利はカードローンやフリーローンといったほかのローンよりも低いとされています。
東京スター銀行の医療ローンを例に、大手消費者金融「プロミス」のカードローンとイオン銀行のフリーローンと比較してみましょう。
金融機関名・ローン名 | 金利 |
---|---|
東京スター―銀行
「医療・介護ローン」 |
2.8~7.8% |
プロミス
「カードローン」 |
4.5~17.8% |
イオン銀行
「フリーローン」 |
3.8~13.5% |
こうして金利を比較してみると、目的別ローンである医療ローンの金利がもっとも低いのが分かります。
これは、ローンとしての利便性と関係があります。
目的別ローンは特定の目的以外では借りたお金を使用することができません。
追加の借り入れもできず、もし追加で借りたい場合はもう一度審査を受け直す必要があります。
その利便性の低さと引き換えに低金利になっているとも考えることができるでしょう。
一方のカードローンは利用使途が自由で、現金を借り入れる時も利用使途を報告する必要はありません。利用限度額まで追加の借り入れも自由自在です。
この利便性の高さと引き換えに、他のローンと比べて金利は高くなっています。
医療ローンのメリット
ローン商品には他にも「フリーローン」「カードローン」などがあります。ここでは他のローンにはない医療ローンのメリットを解説します。
- 高額な医療費を分割払いできる
- 保険適用外でも利用できる
高額な医療費を分割払いできる
最大のメリットは「高額な治療費を分割で支払えるようになる」ことでしょう。
ひとくちに医療と言っても料金はさまざまです。
特に「先進医療」「自由診療」では健康保険が適用されないため、高額な治療費がかかります。
イメージしやすいのは歯科治療の「インプラント」です。1本につき30万円以上かかることも珍しくありません。
ほかにも、がん治療に使われる先進医療の「陽子線治療」「重粒子線治療」なども高額になります。
それぞれ1件あたり300万円前後の治療費が発生するため、簡単に払うことはできません。
この治療費を一括で支払うとなると大変なことです。がん保険の先進医療特約を契約していれば保険金で支払えますが、そうでない場合は自己負担になってしまいます。
保険適用外でも利用できる
医療費は何となく保険が効きそうなイメージがありますが、自由診療の場合は保険が適用されません。
審美歯科や美容整形などが該当します。
どちらも治療内容によって治療費は千差万別です。特に歯科の場合、一度施術したら終わりではありません。
1つの歯を治療が済んだら、隣の歯も治療が必要になることもあります。そうして治療期間が伸びるほど。費用が高額になっていくのです。
そのような長期に渡る自由診療においては、医療ローンという選択肢が有効です。
医療ローンのデメリット
一方で、ほかのローンと比較してデメリットに感じることもあります。以下のデメリットを把握しておきましょう。
- 銀行では即日融資はできない
- 融資までは自分で支払う
- 転院する場合は全額返済を請求される可能性
銀行では即日融資はできない
これは医療ローンに限定した話ではなく、銀行ローン全体のデメリットです。
銀行では現在、ローンの申し込みを受け付けた際に警察庁のデータベースにアクセスして「申込者が反社会的勢力の関係者ではないか」の確認を行う義務があります。
この作業に1営業日以上の時間がかかるため、即日では融資できません。
2018年1月から施行された比較的新しい制度で、それ以前では銀行でも即日融資を受けることができていました。以前に銀行から即日融資を受けていた人は注意です。
目的別ローンは慎重に審査されるため、1週間以上の時間を要することが珍しくありません。
一方のクリニック提携の医療ローンは信販会社が提供しており、ローンの審査は柔軟に行われることがあります。
最短1時間以内に審査の結果通知が届くこともあるため、申し込んでからすぐに施術を受けることが可能です。
融資までは自分で支払う
紹介したように、銀行の医療ローンは即日融資ができません。
クリニック提携の医療ローンのように、即日審査を終わらせて即座に支払いを済ませるということはできないのです。
審査を通過するまでの数週間に費用が発生した場合は借り入れることができず、融資を受けるまでは自己負担になってしまいます。
転院する場合は全額返済を請求される可能性
クリニックで契約するタイプの信販会社の医療ローンの場合、病院・クリニックと契約を結ぶことになります。
施術や対応の不満があって「やはり別のクリニックにしよう…」と思っても、キャンセルして転院することは簡単ではありません。
病院を変えると返済先も自動的に新しくなる、というわけではないのです。
どうしても転院という場合でもキャンセルできず、借り入れた全額の返済を請求されることもあります。
一度治療が始まると、最後まで同じクリニックになることを覚悟する必要があります。
その意味において、ローン選びよりも最初のクリニック選びが重要です。
医療ローンの手続き
申し込みの流れ
基本的な申し込みの流れはどの金融機関でも変わりませんが、手順や方法に若干の違いがあります。
あくまで一般的な流れとしては以下の通りです。
- 申込
- 必要書類の提出
- 審査(銀行は仮審査・本審査に分かれる)
- 契約
- 融資
まずは申込時、限定された情報で簡単に審査する仮審査を行い、そのあとは必要書類が出揃った情報を使って本審査に入ります。
仮審査は簡易的な審査ですから、通過できたからと言って必ず本審査を通過できるとは限りません。
しかし、仮審査を通過できないと本審査には絶対に受かりません。仮審査に落ちた場合は自分の信用情報に事故情報が記録されている等、致命的な欠点があることが考えられます。
必要書類
借入先の金融機関によって必要な書類は異なるため、まずはクリニックや銀行に確認しましょう。
一般的に必要とされている書類としては、以下の書類があります。
- 本人確認書類
- 銀行通帳・キャッシュカード
- 銀行届出印
- 収入証明書類
資金使途証明書類とは、クリニックから受け取った見積書など「治療費がいくらかかるのか」を証明する資料のことです。
目的別ローンは、治療目的以外にお金を使うことができません。融資される金額は資金使途証明書類に記載された額までとなります。
医療ローンを組む時の注意点
未成年が借りるには条件がある
ローンそのものに申し込むための条件をクリアしないと、審査を受けることができません。
絶対に求められる申し込み条件は「年齢要件」と「収入要件」です。
銀行の医療ローンの場合、原則として「20歳以上」で「安定した収入がある人」しか申し込むことができません。
一方、クリニックと提携している信販会社の医療ローンは未成年でも利用が可能です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 年齢が満18歳以上
- 安定した収入がある(アルバイトでも可)
- 信用情報に傷がない
18歳以上20歳未満の未成年は自分の名義で申し込むことができますが、両親のいずれかに連帯保証人になってもらう必要があります。
一方で18歳未満の人は本人名義で申し込むことができません。両親名義での申し込むのが原則です。
審査では在籍確認のクリアが必須
医療ローンは社会人として正社員・契約社員などで働いている人がほとんどでしょう。
そこで心配になるのが「在籍確認」です。
在籍確認とは文字通り、「企業への在籍を確認する」作業です。申し込みフォームに記載された企業に間違いなく在籍しているかを確認するために行われます。
方法は「電話がけ」が原則です。
担当者が個人名で企業に電話をかけ、「●●様(申込者の名前)はいらっしゃいますか?」と尋ねます。
本人に代われば簡単な内容の質問で審査は終了します。あるいは電話を受けた人が「●●は席を外しております」と答えてくれるだけでも完了できます。
電話がけによって「医療ローンを利用することが周囲にバレてしまうのか…」と気にする人は多いでしょう。
絶対に会社バレしたくないという気持ちがあるために、それが怖くて申し込めない人もいるのではないでしょうか?
原則として、電話の内容が原因でバレることはありません。金融機関名ではなく個人名でかかってくるためです。
電話の目的を聞かれても、銀行の担当者が「医療ローンの審査です」と正直に答えることはありません。
在籍確認が原因で会社バレするかもしれないケース
解説したように、会社への在籍確認の電話そのもので医療ローンの利用がバレることはありません。
ただし、その後の対応次第でバレてしまうことがあります。
分かりやすいのは上司から「今の電話、何?」と聞かれる場合です。
外部から個人的な電話を厳しく制限している企業の場合、上司に電話の内容を問いただされることは考えられます。
電話後に質問を受けても無難に返せるように、受け答えをイメージしておくことが必要になるでしょう。
医療ローンとは|高額な医療費に対応するオススメのローン まとめ
医療ローンはデンタルローンなどの類似商品と異なり、医療行為であれば幅広く使えるメリットがあります。一方、医療行為以外の趣味などに使うことはできません。さまざまな用途に使いたい場合はフリーローンやカードローンが適します。
また、「歯科治療に使うお金だけが足りない」といった特定の目的がある場合は、デンタルローンなど別のローンの方が金利が低くなる可能性もあります。
どんな用途で必要なのか、しっかりと見極めてから申し込みを行いましょう。