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追証が払えない場合はどうなる?追証が発生する仕組みと対策を解説

 2020/12/30 お金のトラブル   839 Views

自己資金だけの投資に慣れてきた人の中には、証拠金を差し入れることで多くの金額を動かせる「信用取引」にチャレンジする人もいるでしょう。

しかし、もし損失が発生して差し入れた証拠金の価値が一定以下になってしまう場合は「追証」の支払いを求められます。

追証が払えない場合、どうなってしまうのでしょうか?

今回は追証を払えない場合のお金の借り方と、どうしてもお金を借りられないときの債務整理について解説します。

証拠金(委託証拠金)とは

証券会社からお金や株を借りて行う取引のことを「信用取引」と呼びます。

証券会社は貸したお金・株が返ってくる保証がないとお金や株を貸してくれません。
そこで、本人の信用を証明するものを金融業者に現金や株を担保として提供する必要があります。

この担保が「委託保証金」です。

委託保証金を差し入れれば信用が担保され、現物のお金以上の取り引きができるようになります。

証券会社からお金を借りて株を買う(信用買い)、証券会社から株を借りて売る(信用売り)のような取引きが可能です。

信用取引で購入したものを買い建玉(かいたてぎょく)、売ったものを売り建玉(うりたてぎょく)といいます。

委託保証金があると自己資金以上の取引ができる

信用取引は証券会社からお金を借り、そのお金で取引ができる方法です。

証券会社次第ですが、日本の株は一般的に自己資金に対して3.3倍の大きさの取引が可能です。
これを「レバレッジ取引」と呼びます。

330万円の自己資金があれば、1,000万円の取引が可能です。

通常は330万円の自己資金で10%の利益を得た場合は「33万円」が利益になりますが、3.3倍のレバレッジを効かせられれば利益も100万円に跳ね上がるのです。

330万円の自己資金だけで、1,000万円の投資に値する利益を得られます。

ただし注意があります。
当然、リターンだけが大きい美味しい取引ではありません。リターンが3.3倍であれば、リスクもそれだけ大きくなります。

3倍のレバレッジを効かせて株価が20%下がる場合、信用取引の損失は60%になることを意味します。

信用取引は、「ハイリスク・ハイリターン」の代表的な取引といえるでしょう。

追証とは

信用取引で株の値動きに損失(含み損)が出る場合、その額が委託保証金から差し引かれて委託保証金の価値が下がります。

信用取引の担保である委託保証金が不足した場合は追加の担保を入れる必要があります。

これが追証(おいしょう)、正式な名称は「追加保証金」です。

追証が発生する仕組み

買い建玉や売り建玉の合計金額に対する委託保証金の割合は「委託保証金維持率」といわれており、この委託保証金維持率は建玉に対して20%~30%を維持しなければいけないのが一般的です。

20%~30%を下回った場合は、追加で保証金を入れる必要があります。(水準は証券会社によって異なります)

例を用いて計算してみましょう。

委託保証金200万円で買い建玉1,000万円の場合、100万円の含み損がでると、委託保証金の価値は「200万円-100万円」で100万円になります。

委託保証金維持率は10%であり、追加保証金が必要です。

下記の割合が一定基準未満になると追証が発生します。

(保証金-含み損)÷信用取引で売買した株等の金額=委託保証金維持率

追証ラインとして定められている20%~30%を下回ると追加で保証金が必要であり、多くの場合は追証を払って委託保証金維持率を上げるように連絡がきます。

期日までに支払わない場合、強制的に含み損を抱えた建玉が決済されます。

期限は取引業者によって異なりますが、翌営業日~翌々営業日であることが一般的です。
そして、強制決済後も追証が解消されない場合、取引業者から足りない分の入金を求められます。

追証が発生した時の選択肢

今のポジションの決済

追証が払えない場合、今あるポジションが強制的に決済されます。

必ずしも追証を入れることが最善ではないことは覚えておきましょう。

追証を入金しても株価が下がってさらにマイナスになる可能性もあります。その場合、新しく入金した追証を含めて決済されてしまうわけです。

マイナスのままポジションを決済すると損失が確定してしまうため、悔しいと思うことは普通の感覚です。
しかし、追証を重ねることでかえって傷が大きくなっていくこともあります。

「ここで我慢したら絶対に株価は上がるはずだ」という主観的な思い込みは捨てることが大切です。
結果的に、最初に決済してしまう場合の損失のほうが小さいこともあります。

専門機関への相談も検討する

強制決済後でも不足金があるとお金を追加で納める必要がありますが、すぐに払えないこともあります。
まずは相談して分割で支払う方法を考えますが、それでも現実的に難しいのであれば専門機関や専門家に相談してみましょう。

まず、弁護士などの法律専門家に相談する方法です。

相談料が必要になりますが、専門家の意見を聞けることで次にどうするべきかを考えるきっかけになります。

ほかにも例えば「国民生活センター」では消費生活者の苦情・問い合わせに対応しています。
どうしても払えない場合は、相談してみるのも1つの方法です。

追証が払えない人はどうなる?

追証を解消するまで請求が終わらない

追証発生後に利用者に入金を求めても応じない場合、金融機関からの請求は終わりません。
メール・電話での督促がずっと続くことになります。

また、取引業者によっては遅延損害金を請求されることがある点にも注意が必要です。
遅延損害金は簡単にいうと支払いが遅れたことに対する罰金にあたります。

遅延損害金が発生するかどうかは証券会社によって対応が異なりますが、場合により年10%を超える遅延損害金が発生することもあります。

遅延損害金が発生する場合、未入金額に対して日割りで発生するため、未入金額が大きいほど多額になります。

裁判所から一括請求が届く

委託保証金以上のマイナスによる追証の支払いを無視し続けた場合、最終的に裁判所を通じての一括請求もあり得ます。

それでも払えない場合は、最終的には財産の差し押さえも考えられるでしょう。どうにかして支払える方法を考える必要があります。

追証を払えない場合の対処法

追証を払わずに決済したほうが良い場合もありますが「これから株価が上がる」と判断した場合は追証を払いたいと思うでしょう。

そんな時に追証をどうしても払えない場合、どのような対処法があるのでしょうか?

代表的な対処方法を紹介します。

分割払いを相談してみる

追証解消の請求するためには、基本的に「すぐ一括で入金してください」という求めになることがほとんどです。

しかし、数十万円以上の金額をすぐに集めるのは難しいのも事実でしょう。

そこで、分割払いを金融業者に相談してみましょう。

ただし、あくまで「一括」での支払いが原則です。相談しても応じてもらえないことの方が多いはずです。

払えないと困るのは自分ですから、ダメもとで相談してみるしかありません。

身内に相談してみる

自分の資金では支払うことができない場合、身内に相談してみるというのも1つの方法です。

家族や親しい友人なら困っていることを相談すれば貸してくれる可能性があります。

ただし、家族や友人から借りることができたら絶対に決めた期限までに返済しましょう。
もし返済できないと人間関係にヒビが入ってしまう可能性があります。

金融機関からお金を借りる

資金を用意することがどうしても難しい場合は、金融機関から一時的にお金を借りて追証の支払いに充てることも考えます。

追証は1~2日以内に全額を入金するように言われることがほとんどですから、即日でお金を借りられるようにしなければいけません。

選択肢は以下のようなものがあります。

消費者金融カードローン

カードローンは、専用のローンカードを使ってATMから借り入れができるサービスです。銀行でも扱っていますが、即日融資を希望するなら「消費者金融」のほうが有効です。

銀行が即日融資に対応していないのに対し、消費者金融は申し込みから融資まで最短で1時間、審査時間だけなら最短30分で終わります。

契約時に利用限度額が設定されるため、その限度額の範囲内で何度でも借り入れが可能です。もし利用限度額の残りがゼロになった場合でも、返済した分だけ利用限度額の枠が復活します。

仮に追証を払った後、後日また追証が発生するケースでもカードローンなら対応可能です。

フリーローンなど一回きりの借り入れの商品の場合、またお金を借りようとする場合は申し込みと審査を最初から行わなければいけません。

カードローンであれば、利用限度額が残っている分に審査不要で借入れができます。

質屋

即日でお金を借りたい場合「質屋」も選択肢になります。

質屋は、ブランド品などの担保を差し出すことでお金を借りられる貸金業者のことです。

担保を差し入れる必要がある代わり、返済できないとしても担保を放棄すれば返済を求められることはありません。

銀行や消費者金融は過去に61日以上の返済遅れや自己破産などをした経歴がある、いわゆる「ブラック」では借り入れることができません。事故情報が消えるまでは5~10年がかかります。

一方の質屋であれば、そんなブラックの人でも借り入れが可能です。

代わりに、返済して担保の商品を取り戻そうとする場合に求められる利息がカードローンよりも大きいデメリットがあります。

消費者金融の金利は最大で年18.0%程度ですが、対する質屋は最大で年109.5%の金利になることが質屋営業法という法律で定められています。

どうしても払えないなら「債務整理」も

どうしてもお金がない場合、分割払いでも難しいことがあります。その場合は「債務整理」も視野に入れて検討します。

個人再生

個人再生は、民事再生法に則って裁判所に返済不能を申し立て、借金を大幅に減額する方法です。

住宅ローン以外の債務を大幅に減らしたうえで、原則3年で返済する計画をたてます。債務が最大で5分の1まで減少することで返済しやすくなるのがメリットです。

全額が免除にならない代わり、マイホームなどの財産を処分する必要がないことが自己破産と比べたメリットです。

デメリットは全額が免除できず、返済を続けていく必要があることです。個人再生では借金の総額に対して最低限返済しなくてはいけない額が決まっており、借金を5分の1くらいまで減額できますが、100万円以下に抑えることはできません。

返済の必要がある「最低弁済基準額」は以下のとおりです。

最低弁済基準額
借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1500万円以下 借金総額の5分の1
1500万円超3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 借金総額の10分の1

出典:裁判所|個人再生手続き利用にあたって

自己破産

個人再生と違い、裁判所から支払いができないと認められたうえで借金を免除してもらう制度です。

一部を除いた全ての財産を債務の支払いに充て、それでも債務が残る場合は裁判所が免責を認める形で債務がすべて免除になります。

「督促から解放される」のもメリットです。自己破産を弁護士や司法書士に依頼することで、債権者である金融機関などに「受任通知」が郵送されます。

これは、「債務については今後は私に連絡してください」という通知で、これが金融機関に送付されると今後は本人に請求・督促が届かなくなります。

一方のデメリットは、自分が持つ財産が処分されて返済に充てられることです。マイホームを持っている場合は手放さなければならなくなります。

また、免責が決定するまでの3~6ヶ月間は警備員や生命保険募集人、弁護士、税理士などの一定の職業に就くことができなくなります。

追証が払えない場合はどうなる?追証が発生する仕組みと対策を解説 まとめ

投資の含み損によって委託証拠金の割合が下がった場合、追証が必要になります。

追証が払えないと強制決済で損失が確定するため、「分割払いを依頼する」「金融機関からお金を借りる」などの方法で支払っていきましょう。

一方、追証を払うことが最善策であるとは限りません。損失が止まらない場合は追証分も強制決済されて損失が大きくなります。

追証を払うのか最初から強制決済を選択するのか、冷静に判断していきましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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