リースバックとは?メリット・デメリットを徹底解説!
不動産を活用した資金調達としては「不動産を担保として借入する」「不動産を売却する」の2通りがあります。しかし近年、社会や経済情勢の変化に伴い、資金調達手段も多様化しており、様々な商品サービスが登場しています。
いったん売却してもそのまま住み続けることができる「リースバック」というサービスも、最近注目を集めています。CMなどでも紹介されている「リースバック」の仕組みと注意点について考えてみましょう。
このページの概要
リースバックとは?
リースバックとは、自宅などの不動産を不動産会社などに売却し、その売却先(買主・オーナー)に対してリース料(家賃)を支払うことで、引き続きその不動産を利用できるサービスです。
一般的に買取代金は一括で支払われます。「今までの所有者」は「賃借人」という立場に代わります。
住宅ローンなどのローンの一括返済だけでなく、まとまった現金が必要なときにも利用可能なサービスです。
「第三者(不動産会社など)に不動産を買ってもらう」「その買主」から不動産を貸借する」という、仕組み自体は非常に単純なものですが、近年登場した新しいサービスとして注目を集めています。とくに次のような場合に利用されています。
- 年金の不足など老後の生活費を補う場合
- 子どもの教育費の捻出
- 病気の治療費の捻出
- 住宅ローン以外の借金返済
- 事業資金としての活用
リースバックの契約方式
リースバックで設定される賃借契約は、通常「定期借家契約」となります。一般的な「普通借家契約」との違いを確認しておきましょう。
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
---|---|---|
建物賃借期間の上限 | ・200年3月1日より前の契約→20年まで ・上記以外の契約→制限なし |
制限なし |
契約更新の有無 | 正当事由がない限りは更新される | 更新されす、期間満了をもって契約が終了する |
1年未満の建物賃貸借契約の効力 | 期間の定めのない賃貸借契約とみなされる | 1年未満の契約を締結することも可能 |
中途の解約 | 中途解約の特約がある場合はそれに従う | ・床面積が200㎡未満の居住用建物でやむをえない事情により生活の根拠として使用することが困難となった借主からは特約がなくても中途解約できる ・上記以外は中途解約の特約があればそれに従う |
賃料増減に関する特約の効力 | 特約にかかわらず、当事者は賃料の増減を請求できる | 賃料増減に関する特約の定めに従う |
ここで特に注意しておきたいのが「契約更新の有無」の項目です。
定期借家契約では「契約更新はされないで、定められた期間が終了したら立ち退きとなってしまう」のです。つまり、契約期間が終了後も住み続けたいのであれば「再契約」が必要となります。
この時点で賃料の滞納などがあれば再契約は困難になりますので注意が必要です。
リースバックのメリット
①引っ越しをしないで住み続けることができる
賃料を支払うことで、売却物件をそのまま使用できます。自宅の場合は引っ越しする必要がありません。お子様の転校も避けられますし、通勤ルートなども変わりませんので、この点が最大のメリットといえるでしょう。引っ越しには数十万の費用も発生することから、住み続けることで無駄な出費を抑えることもできます。
②買主を探す必要がないので現金化までの期間が比較的に短い
不動産会社が物件をそのまま現金で買い取ります。早ければ数週間でまとまった資金を入手することも可能です。
③所有者としての費用負担がない
「固定資産税」「都市計画税」「修繕費」など不動産所有者の費用は、買取先である不動産会社の負担となります。
④売却したことが近隣にバレにくい
そのまま住み続けることができることで、近所の方に不動産を売却したことがバレにくくなります。
④将来的に買い戻すことが可能
一定の条件を備えていると、不動産の買戻しが可能な場合もあります。
リースバックのデメリット
①名義が変わる
物件を売却することで、物件の所有権は売却先の不動産会社などになります。自宅を将来お子様に相続したいと考えている方にとっては大きなデメリットとなります。
②売却価格が周辺相場よりも安くなるケースが多い
リースバックでは売却価格が周辺相場に比較して低くなるケースがほとんどです。特に抵当権などの担保設定がある物件の売却価格は低くなる傾向が強く、場合によってはローンなどの残債が完済できる金額となることもあります。
③毎月のリース料(家賃)が周辺の家賃相場よりも高くなることがある
反して、毎月のリース料(賃料)は近隣の相場よりも高くなる傾向があります。リースバックでは年間のリース料(賃料)の目安は、売却価格の8~10%であるとされていますが、その金額が近隣相場に比較してかなり高額となるケースも多くなっています。
④買い戻しは可能だが、その費用は売却価格よりも高くなる場合が多い
リースバックでは、条件次第で売却物件を再度買い取りすることが可能です。しかし買取価格や費用は売却時に比較して高くなろケースがほとんどです。
⑤住める期間が限られる
先述した通り、リースバックの契約は「定期借家契約」となります。「定期借家契約」では契約更新は自動更新ではなく、期間満了によって契約が終了します。そのため「再契約」を行わなければ、立ち退きしなければいけません。
リースバックを利用できる条件
リースバックを利用するには、いくつかの条件があります。取り扱う不動産会社などにより異なりますが、一般的な条件は次のようなものがあります。
①安定した収入があること
リースバックでは、自宅の売却では、家賃を支払って住み続ける取引となります。当然ですが毎月の家賃を継続的に支払うことが必要になりますので、最低限の安定した収入があることが条件となります。
ただし、カードローンや不動産担保ローンなどのようにお金を借りるわけではなく、あくまで住宅を売却した代金を受け取る取引なので、職業や年収などによる制限は厳しくありません。年金収入のみの人やパートや派遣者の人も利用可能とされるケースも多くあります。
②不動産の名義人すべての同意が必要
不動産の所有権は変更されますので、売却する不動産の名義人、全員の同意が必ず必要です。となります。具体的には、共有名義人となっている人全員に、不動産の売買契約書に署名・捺印を求められることになります。
③売却価格が住宅ローンの残債を上回ること
リースバックは住宅ローンの残債が残っている場合でも利用することができます。しかし、原則としてその不動産の売却価格が、ローンの残債を下回る利用することができません。住宅ローンの支払いが残っているということは、金融業者などがその不動産の売買の権利となる「抵当権」を所有している状態です。売却代金によりローンを完済できなければ、通常は「抵当権」の抹消には応じてもらえません。
リースバックの活用例
①借金整理
- 住宅ローンの返済が厳しい
- 自宅を競売にかけられてしまった
- カードローンやフリーローンなどの借金が払えない
高額の借金を抱えている方は、不動産売却により一気に借金整理を進めることも可能です。
②老後の資金確保
- 年金だけでは生活費が不足している
- 老後はゆとりを持って生活したい
- 家を相続する人間がいない
将来の生活に不安を感じる方にとって、売却資金で余裕のある生活もおくることができるでしょう。
③事業資金や教育費の捻出
- 事業資金を用意したいが不動産担保ローンはすでに利用している
- こどもの進学のためにまとまった資金が必要
- ケガや病気のために治療費が必要
不動産売却によりまとまった現金を入手でき、資金不足の危機を乗り越えることも可能です。
ハウスリースバックのトラブル事例
「ハウスリーズバッグ」は自宅を売却した後も住み続けることができるサービスです。債務整理などにも利用されていますが、トラブル事例も報告されています。活用を検討されている方は、どのようなトラブルが発生しているのかも確認しておきましょう。
①買取額が安い
ハウスリースバックは、普通に不動産を売却したときりも売却額が低くなるのが一般的です、通常の不動産売却と比較すると売却額は2割~3割低くなってしまいます。。
「住み続けさせなければならない」
「買戻しに応じなければならない」
買主である不動産会社などでは、このような制限を抱えながら買取に応じる必要があるためです。近隣の相場などと比較して、納得したうえで利用するようにしましょう。
②家賃が高い
売却した自宅に対する家賃は買取価格から逆算して決定されます。ただし「貸す人が限られる」ハウスリーズバッグでは、売却額が低くなる半面、家賃は高く設定されるのが一般的です。近隣の同物件に比較して高い家賃を支払う必要があることを知っておく必要があります。
③家賃が支払えない
ハウスリースバックは、賃貸借契約(定期賃貸借契約)を締結することで家賃を支払う必要があります。当然、「家賃の未払い」が続けば「退去」を求められ、「退去」にも、応じなければ、「明渡訴訟」を起こされて、裁判となります。
先ほども申し上げましたが、ハウスリーズバッグでは家賃が周辺相場よりも、高く設定されてる傾向が強いので、支払が継続できない可能性も、通常の賃貸物件よりも大きくなってしまいます。
また、近隣の家賃相場というものは、年々、新築物件が建っていくことで築年数が古くなれば、下がっていくものです。対してずっと同じハウスリースバックの家賃は、相対的に割高になっていくのです。
年々、割高になる家賃に耐えられず、家賃の未納から、退去しなければならなくなるトラブルも発生する可能性も高いといえます。家賃の支払い計画に合わせて、少しでも家賃の提示が安いハウスリースバック業者を利用することも重要になります。
④相続人とのトラブル
ハウスリースバックは、収入が減少する高齢者が利用するケースも多くなっています。しかし「自宅に住み続けることができる」ということは「売買の当事者以外の方には、分からない可能性が高い」ということです。この点が相続人である子供や孫、ご兄弟に対してのトラブルとなることもあります。相続を期待していた相続人との関係をこじらせる結果ともなりかねませんので注意しましょう。
⑤予定通りに「買戻し」ができない
ハウスリーズバッグでは条件を満たすと、売却した自宅を買い戻すことができます。ただし買戻しの資金を貯めることができず、家賃を支払い続けるという方も多いようです。買戻しを前提としてハウスリーズバッグの利用を検討されている方は、支払い家賃と買戻し金額、諸費用のバランスをしっかり考えるようにしましょう。事前の念密な計画が大切です。
⑥業者の倒産
ハウスリースバックは、2~3年の定期賃貸借契約を結んで、2年ごと、3年ごとに更新するスタイルの契約が一般的です。希望すれば何年でも延長可能できるケースも多くあります。
しかし、ハウスリースバック業者が倒産した場合は、話が違ってきます。この場合、債権者がハウスリースバック業者が保有する財産を差押えしてしまいます。競売や任意売却で売却されてしまう可能性も高くなってしまいます。
こうなると住み続けることができるかどうかは、買主次第となってしまいます。強制的に退去を迫られるリスクもありますので、ハウスリーズバッグを利用する場合は信頼できる業者(知名度の高い、企業規模の大きい)業者を選ぶようにしましょう。
人気の高いハウスリーズバッグ業者
ここでは人気の高い「ハウスリーズバッグ」取扱の業者を紹介します。「ハウスリーズバッグ」とは個人の自宅を対象としたリースバックのことです。
①株式会社セゾンファンデックス
・対応エリア:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)
・資金化までの日数:最短2週間
大手信販グループである「クレディセゾン」グループの傘下が取り扱うサービスで安心して利用できます。首都圏に限定されていますが「セコムのホームセキュリティー」と連携した「高齢者見守りサービス」など顧客に満足して頂けるサービスが充実しています。
②株式会社ハウスドゥ
・対応エリア:全国
・最短審査スピード:訪問査定後1週間
・資金化までの日数:最短20日、平均40日
・再購入禁止期間:契約開始より6ヶ月間
・定期借家契約期間:2年
年間9,000件を超える相談実績を誇っています。安心コールサービス・定期訪問サービスなどの顧客向けサービスも充実
③株式会社インテリックス
・対応エリア:東京、北海道、仙台、横浜、名古屋、大阪、広島、博多
・最短審査スピード:訪問依頼から1週間~10日
・資金化までの日数:半月から1ヶ月前後
・再購入禁止期間:契約開始より3年
・定期借家契約期間:3年
累計20,000戸以上のリノベーション住宅施行・販売実績を誇る不動産業者です。ハウスリーズバッグは主要都市に限定されていますが、人気の高いサービスを取り扱っています。
④SBIエステートサービス株式会社会社
・対応エリア:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)(東京、北海道、仙台、横浜、名古屋、大阪、広島、博多
・最短審査スピード:2~3営業日
首都圏に限定されていますが、審査時間も短く急いでいる場面でも安心して利用きます。万が一の場合の「引っ越しお祝い金制度」などお客様の立場にそったサービスが充実しています。
リースバックは法人でも利用できる?
リースバックは自宅を売却しても、そのまま住み続けることができるサービスです。このサービスは法人でも利用できる先が多くなっています。つまり法人所有の土地や事務所などの不動産を売却した後も、その不動産を使用できるサービスです。
例えば高額の借入で事業継続が難しい一方、自社ビルを事務所だけでなく、店舗やクライアントなどのテナントとして賃料収入を得ている法人のケースを考えてみましょう。リースバック契約を利用して、法人所有の自社ビルを売却し、その資金を事業立て直しに使うという方法が当てはまります。自社ビルに対するテナント賃料収入は売却先である不動産会社などが入手することになります。一方、ビルのメンテナンスや固定資産税などの諸費用は、売却先である不動産会社などが負担しますので、これまで事業継続のうえで負担となっていたこれらの費用負担の軽減を図ることができます。
もちろん自社の事務所として利用している以上、自社の賃料も新しいオーナーである売却先に支払う必要ありますが、売却資金で事業立て直しなども行うことができます。多額の借入などに悩まされている事業者などは、一度専門家に相談してみるのも、一つの手段でしょう。
リースバックとリバースモーゲージの違いは?
リースバックによく似た方法として「リバースモーゲージ」があります。この2者はよく比較されますが、その違いはどこにあるのでしょう。
まずリバースモーゲージとは、以下のような仕組みを指します。
「一定以上の高齢者が老後資金を捻出するため、自宅を担保にして金融機関から借り入れをする。毎月の支払は利息のみで、元本は債務者の死後に自宅を売却して返済する。」
借入資金の資金使途は自由ですが、事業資金や投資資金としての利用はできないとされえちます。また利用可能年齢が「50歳以上」「55歳以上」「60歳以上」といった、比較的高齢となっています。
リバースモーゲージを利用する場合の問題点には、次のようなことが挙げられます。
- 将来、金利が上昇してしまうと、利息だけでも高額になる
- 不動産の価値が下落してしまうと、予定していた元本の完済ができなくなる
- 借主が想定以上に長生きしてしまい、結局資金が足りなくなる
- 前提としての相続人の同意が得られない
次に「リースバック」と「リバースモーゲージ」の違いを一般的なケースで見てみましょう。
比較項目 | リースバック | リバースモーゲージ |
---|---|---|
仕組み | 不動産を売却し、売却代金を一括で受け取る。賃貸借契(一般的には定期借家契約)を契約、賃料を支払う | 不動産(自宅)を担保にし、融資枠内で融資を受ける。 |
現金受け取り方法 | 一括 | 融資枠内で、毎月一定額・一括・枠内で随時受け取りなど |
転居 | 不要 | 不要 |
対象物件 | 一戸建て・マンション・事務所・店舗・工場など | 一戸建て(マンションは不可の場合もある) |
所有権(名義) | 買取会社(不動産会社など) | そのまま |
資金使途 | 自由 | 事業・投資資金は不可 |
上限年齢 | 制限なし | 制限あり(50歳以上、55歳以上など高齢のケースがほとんど) |
収入 | 制限なし | 制限あり |
固定資産税の納税義務 | なし | あり |
家族の同居 | 可能 | 原則配偶者のみ |
住宅ローンの有無 | 抵当権等が設定されていても利用可 | 抵当権等が設定されていると利用できない |
担保の設定 | 不要 | 必要 |
契約終了後 | 再度購入可能 | 契約終了後(死亡後)に売却または相続人による一括返済 |
そもそもリバースモーゲージは「高齢者の老後資金調達のための商品」であるといえます。そのため「ローンの返済を目的としたリースバックの利用」とは、取扱ケースが全く異なっていることを理解しておく必要があります。
リースバックとリバースモーゲージの使い分けは?
ではこの2つのサービスはどのように使い分けするべきなのでしょうか?
まずひとつの目安となるのが「年齢」です。リースバックの場合は、一般的に買い戻しが可能です。したがって、現在お金がなくても近い将来大きな収入の目途があるのであれば、買い戻しを視野に入れてリースバックを利用するという選択もできます。
リースバックを事業の運転資金として利用して、事業が軌道に乗ったら買い戻すという事業計画も有効でしょう。このようにリースバックは、買い戻しを見据えるという意味では、ある程度若い人が向いているといえるかもしれません。
リバースモーゲージの場合は、そもそもある程度高齢でないと利用できない商品が多くなっています。利用目的は、年金の補てんや老人ホームへの入居費用といった、老後生活を補う目的で利用されています。
また、返済は死亡後に一括なので毎月の生活に影響がありません。この点は年金生活者にとって大きな魅力です。したがって、リバースモーゲージは高齢者向けのサーボスといえます。
リースバックと任意売却
リースバックでは不動産を第三者(不動産会社など)に売却します。住宅ローンなどの担保物件となっている不動産の場合、ここでの売却はいわゆる「任意売却」に似た取扱となります。
「任意売却」とは?
「任意売却」という言葉は次のような意味を持ち、よく「競売」と対になって使われます。
「債務者が現在困窮していること(抵当権をつけている金融機関にローンを全額返済できないこと)を前提として、裁判所による競売によらずに自ら担保不動産を売却する手続き」
任意売却は競売よりは物件が高く売れることが一般的です。しかしそれでも金融機関に対する住宅ローンが残っている場合、その残債全額を返済できないケースも多くあります。この場合「本当は全額返済しなければ抹消できない抵当権を、金融機関との交渉で抹消してもらう」わけです。つまり金額の折り合いをつける交渉だけでも通常の売却より大変となります。
任意売却した家をリースバックできるか?
ここで問題となるのが「任意売却により手放した物件をリースバックできるのか」ということです。その物件に住み続けたい方の場合、「リースバックを前提として任意売却を行う」選択肢なってきます。
しかし、「物件の価格」「賃料設定」などで「売主」「買主」「金融機関」それぞれの利害関係がありますから、折り合いをつけることはかなり困難となることも予想されます。何よりも「任意売却するまで追い込まれてしまった債務者」が、今までの家の適正な賃料を支払い続けること自体、かなり無理があると判断されてしまいます。
悪徳業者の中には、次のような宣伝を掲げている先があります。
「リースバックは任意売却の発展形です!」
「マイホームに住み続けながら債務整理を行う方法があります!」
実際にはリースバック成立の見込みが薄い案件なのに自社と契約させようとする悪質業者の手法です。一見魅力的な条件に思えますが、高額な賃料で契約させられるだけでなく、契約時に高額な手数料なども請求されることになります。
詐害行為になる危険もあるので注意
住宅ローンなどの残債務を抱えている状態での売却には、悪徳業者の勧誘に合わせて破産手続きにおける「詐害行為」にとられる危険もあります。それは次のような事情です。
市場価格よりも著しい安い価格で売却すると「詐害行為」といって、本来なら債権者に返済するべき財産を不正な方法で減らしたということになってしまいます。
たとえば、破産手続により本来「破産財団」に組み入れるべきだった不動産を不適切な価格で売却した場合、売却そのものが破産管財人によって「なかったことにされる」可能性もあるということです(これを「詐害行為の否認(破産法160条)」といいます。
これにより任意売却はなかったものとしてとらえられ、財産を元に戻し、改めて破産資産に組み込まれることになります。
リースバックは「車」でも利用できる?
リースバックには、車(マイカー・事業用車)を対象としたサービスもあります。通常の「マイカーリース」とはリース会社に月々の利用料金を支払い乗る方法です。リース期間中に発生する税金や保険料などの諸費用、メンテナンスにかかる費用を負担しなくてよいので、近年人気が拡がっています。
一方、現在、車を所有している方で、マイカーリースに切り替えたいけど出来れば今まで自分が乗っていた車をそのまま乗り続けたい、と考える方もおられます。こういう方もいるでしょう。
このような要求に応じることができるのが「リースバック」です。
所有していた車に乗り続けることができるだけでなく、リース会社に買い取ってもらうので、売却代金が入ってきます。リースに切り替えた後は、次回の車検や税金、メンテナンスにかかる費用はリース会社は負担します。
リース料を支払い続けることで、今所有している車をそのまま使い続けることができるだけでなく、維持費の負担がないとあって、近年人気を集めています。
大手の自動車メーカーでも、最近取扱を開始した先も多いので、興味のある方はディーラーなどに問い合わせてみるといいでしょう。
まとめ
リースバックの最大のメリットが「売却後も住み続けることができる」という点です。仮に自己破産を行っても住み続けることができます。
しかし、自己破産を検討しなければいけないほど返済に困窮している方は、リースバックによる賃料支払いが困難なケースもあるでしょう。そもそも売却資金で借金すべてが整理できるとも限りません。
リースバックを宣伝する業者の中には、このような利用者の状況に付け込む悪徳業者も少なくありません。借金整理を目的としたにリースバックの利用は慎重に行う必要があるでしょう。ま
ずは弁護士などに相談し、今後の方針を慎重に決定するようにしましょう。