1. お金借りるトリセツ
  2. お金のトラブル
  3. 相続税が払えない!ケース別の対処法とメリット・デメリット

相続税が払えない!ケース別の対処法とメリット・デメリット

 2020/12/11 お金のトラブル   325 Views

人は必ず亡くなりますから、誰でも相続を経験する可能性があります。
しかし、人生で相続を経験するのは1~2回がせいぜいであり、税金については専門家でなければ詳しくないのが実情です。

相続によって発生する税金として代表的なものに「相続税」がありますが、相続財産の状況次第では非常に高額になることも考えられます。

相続税を払えない場合は、どのような対策があるのでしょうか?

今回は、相続税を払えない人が取れる対策と注意点について解説します。
将来の相続に不安をお持ちの方、ぜひ読み進めてみてください。

相続税とは

相続税とは、文字通り相続が発生した場合に税務署に収めるべき税金のことです。
のちほど紹介する一定の非課税枠を超えた場合に納税の義務が発生します。

相続税は納付期限が決まっており、期限は相続税申告書の提出期限と同日です。
申告は被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内と決まっています。

令和3年1月1日に亡くなった場合は、令和3年11月1日が納税期限(申告期限)となります。

もし税金の納付が遅れると延滞税が発生するため、たとえ高額でもどうにかして現金を集めて納付するか、払えない場合は「延納」などの対策を講じることになります。

相続税が払えなくなるケース

相続税を払えなくなるケースは家庭の事情によってもさまざまですが、大きく分けて以下の2つに大別できます。

  • 相続税を払うだけの現預金がない
  • 遺産分割がまとまらない

相続税を払うだけの現預金がない

遺産の大半が現金であれば、その一部を使って相続税を納めることは難しくないでしょう。

しかし、家庭によっては現金ではなく、ほとんどがすぐに換金できない不動産などの資産であることも考えられます。

相続税は金銭による一括払いが原則であり、相続税額が大きい場合でも納期限までの一括納付の原則は変わりません。

遺産の中で現預金が占める割合が少ない場合、納付のための資金を相続税の納期限までに用意できないことが考えられるでしょう。

遺産分割がまとまらない

被相続人(亡くなった人)が遺言を残していればその通りに分割すればいいため、受け取った財産で速やかに相続税の支払いができます。

しかし、遺言が残されていない場合は相続人同士の遺産分割協議を行わなければいけません。法定相続分で全員が納得すれば良いのですが、1人でも合意してもらえないと遺産分割協議が終わりません。

相続人同士で揉めて決着がつかない場合、相続税の納付期限までに財産を受け取れない可能性が出てきます。

被相続人の口座は死亡が判明した時点で凍結され、遺産分割協議がまとまるまで原則として法定相続人でも現金を引き出せません。

相続人が受け取れる財産の大半が現金だとしても、口座から引き出せない以上は使うことができないのです。

相続税を納付できない場合の対処法

上記のような理由で相続税を納付できない場合は、そのままにして納期限を過ぎると延滞税が加算されます。
どうすればいいのでしょうか?

一括納付できない場合の手段には「延納」「物納」があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

延納を利用する

延納とは、相続税を一括で払うことができない場合に分割で納めることができる制度です。

延納できる期間は原則として5年以内ですが、相続財産に現金が少なく、不動産の占める割合が大きい等の一定条件を満たせば最長で20年までの延納が認められます。

国税庁の公式webサイトに記載されている、延納が認められる要件は以下のとおりです。

  1. 相続税額が10万円を超えること。
  2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
  3. 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
    ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
  4. 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

引用元:国税庁|No.4211相続税の延納

相続人が個人的に金融資産を持っていて、それを使えば納付できる場合には要件を満たせません。

また、延納を選択する場合は一部を除いて担保の提供が必要です。(納税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は、担保は必要ありません。)

延納の場合に担保にできるものは最初から決められており、以下の資産を延納の担保に利用できます。

  1. 国債及び地方債
  2. 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
  3. 土地
  4. 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
  5. 鉄道財団、工場財団など
  6. 税務署長が確実と認める保証人の保証

引用元:国税庁|No.4211|相続税の延納

延納のメリット

延納にすることで多額の相続税が発生した場合に分割納付にすることができ、一括での納付を避けることができるのがメリットです。

相続税に回すお金が少なくなることで家計に余裕ができるでしょう。

延納のデメリット

延納が税務署によって認められたとしても、「利子税」の納付が必要になります。年3.6~6.0%を余分に支払うことになるため、延納の期間が長ければ長いほど納付する総額も大きくなります。

表はスライドしてご覧いただけます
区分 延納期間
(最高)
延納利子税割合
(年割合)
特例割合※
不動産等の割合が75%以上の場合 1動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.1%
2不動産等に係る延納相続税額(3を除く) 20年 3.6% 0.7%
3森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.2%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合 4動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.1%
5不動産等に係る延納相続税額(6を除く) 15年 3.6% 0.7%
6森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.2%
不動産等の割合が50%未満の場合 7一般の延納相続税額(89及び10を除く) 5年 6.0% 1.3%
8立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(10を除く) 5年 4.8% 1.0%
9特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 5年 4.2% 0.9%
10森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 5年 1.2% 0.2%
引用元:国税庁:No.4211|相続税の延納

物納を利用する

物納とは、現金ではなく「相続した不動産」をそのまま直接相続税として納められる制度です。

税額が高額にもかかわらず相続する現金がほとんどなく、土地や建物といった不動産ばかりというケースのために設けられた制度です。

物で税金を納められる物納は、相続税だけに設けられています。
贈与など、相続に関係するほかの税金には物納制度はありません。

ただし、いきなり物納を選択することができないのがルールです。
基本は現金による一括納付、それができないなら延納、延納による分割でも納付が困難と認められる場合に初めて物納を選択できます。

物納財産は被相続人から相続したものに限られるため、もともと持っている不動産は物納の対象外であることも注意点です。

また、物納できる資産は最初から決まっており、以下のとおりそれぞれに順位が指定されています。

第1順位 ① 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)

② 不動産及び上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第2順位 ③ 非上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)

④ 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第3順位 ⑤ 動産

引用元:国税庁|No.4214相続税の物納

物納できるのは順位が高いものから順番であるため、例えば①の国債証券を持っているのに⑤劣後財産を先に物納することはできません。

さらに、所在が日本国内にあることも必要です。

物納のメリット

通常では自分以外の人に不動産を譲渡した場合は譲渡所得税がかかりますが、国へ譲渡した場合は譲渡所得税が発生しません。

ただし相続税を上回った金額は還付された場合にその還付には譲渡所得税が課されます。

物納のデメリット

物納の注意点として、物納財産は「相続税評価額」で評価されることが挙げられます。

相続税評価額は時価の0.8掛け程度の評価になるため、時価より低い価額でしか納付できません。

小規模宅地等の特例を適用した宅地では適用後の減額された評価額で評価されるため、物納ではなく時価で売却して手に入れた現金で納税する方が良いでしょう。

何かを売却して資金を確保する

延納や物納ではなく、相続財産などを売却して納税資金を確保することも1つの選択肢です。

相続税の申告期限までに売却手続きをして換金できるなら、この方法での納付もできるでしょう。

株式や債券などの有価証券なら流動性が高く、売却して現金にすることも簡単です。

しかし、不動産の場合は立地条件などによって買い手が見つからないことも考えられます。

また、売却によって譲渡所得税などの別の税金も発生します。税額を計算して手取りを把握し、納税額に足るかをチェックする必要があるでしょう。

預金が凍結されたままの時の対処法

納税資金分だけ遺産分割協議をする

凍結財産を解除する有効な方法として、相続人同士で話し合い、さしあたって納税分の分割協議を終わらせて口座の凍結を解除するというものがあります。

相続人2人で相続税が500万円ずつといったケースで、凍結財産のうちの500万円ずつ取得するような「一部遺産分割協議」も可能です。

金融機関へ払い出し請求

相続が発生した場合、被相続人の口座は金融機関による凍結が実施されます。

凍結されてしまうと、遺言書がある場合を除いて相続人間の遺産分割協議が整わないと預金を引き出せません。

このような場合、金融機関に払い出し請求をすることで法定相続分の払い出しを受けることが可能です。

ただし、法律に詳しくない人が金融機関と交渉しても難航してしまうことが考えられます。

相続を専門とする弁護士などの専門家に依頼しましょう。

とはいえ弁護士報酬が別途で発生するため、ほかの方法とどちらが適しているのかはしっかり試算しないと分かりません。

弁護士は相談であれば無料ですから、まずは相談してどのように納税を進めるかアドバイスをもらいましょう。

相続税の非課税枠について

相続税には「非課税枠」が存在し、相続財産が一定金額の場合は相続税が発生しません。

非課税枠は「3,000万円+600万円×相続人の人数」です。

つまり、相続する人が1人しかいない場合でも最低3,600万円は非課税になります。
2人なら4,200万円、3人なら4,800万円までは相続税を納める必要がなくなります。

また、配偶者には「配偶者控除」があり、1億6,000万円または法定相続分のいずれか高い方までの金額に相続税が発生しません。

それぞれの制度を利用することで、相続税を大幅に抑えることが可能です。

ただし、「1億6,000万円も非課税になるのなら・・・」とほとんどを妻が相続するのは危険です。

二次相続で子どもが相続する際はそのような特例はなく、多額の相続税が発生する可能性があります。

相続放棄をするという選択肢もある

相続税の支払いだけでなく、相続財産に借金が多く含まれる場合等のケースでは相続放棄を選択するほうが良い場合もあります。

相続放棄は相続に関する一切の権利を放棄することです。相続を放棄すれば相続税を納める必要はなくなり、借金などのマイナスの財産とも無縁になります。

ただし「特定のマイナス財産だけ放棄する」といったことはできません。プラスの財産を含めて一切の権利を放棄することになります。

いずれにしても、相続に関しての対応は個人で決めず、税理士などの専門家に依頼するのが大切になるでしょう。

相続税が払えない!ケース別の対処法とメリット・デメリット まとめ

今回は、相続税を払えない場合に取れる対応策について解説しました。

相続税は現金による一括納付が原則ですが、支払いが難しいと認められれば分割払いによる「延納」、それでも納付できないようであれば不動産を直接納付する「物納」も認められます。

しかし、細かく条件がついているため、あらかじめ把握しておく必要があります。

借金の割合次第では「相続放棄」も選択肢に入ります。

いずれにしても、税理士などの専門家に相談して最適な方法で納税を進めましょう。

\ SNSでシェアしよう! /

お金借りるトリセツの注目記事を受け取ろう

NO IMAGE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

お金借りるトリセツの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

関連記事

  • お金がなくて歯医者の治療費が払えない場合の対処法

  • 身分証明書なしでお金を借りれる?

  • 遅延損害金の計算方法と返済が遅れる時の注意点

  • 代位弁済とは?わかりやすく図解で解説

  • 彼女にお金を借りる彼氏の心理状況とは?ダメ彼氏対応方法まとめ

  • 子どもの養育費が支払えない|離婚後の養育費を免除・減額できるのか?