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葬祭扶助とは|生活保護を受けている遺族が受け取れる扶助の紹介

 2021/03/04 お金に関する豆知識   204 Views

生活保護は、憲法第25条で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を送れない人を保護する制度です。

そのなかに生活保護の受給者が喪主になった時などに支給される「葬祭扶助」があります。

しかし、生活保護を受けていれば誰でも利用できるわけではなく、一定の条件があることに注意が必要です。

ここでは生活保護の中でも「葬祭扶助」にスポットをあてて、制度の概要と利用上の注意点を解説します。

葬祭扶助とは

葬祭扶助は、生活保護を受けているなどで経済的に困窮している人に対して、葬儀の費用を自治体が支給する制度のことです。

遺族が生活に困窮していて葬儀の費用を出せない場合、あるいは遺族以外の人が葬儀を手配する場合に利用できます。

生活保護を受給している人は葬儀費用を用意できないことが多く、こうした問題の解決策の1つになっています。

ただし、受け取れる金額は最低限の葬儀が行えるだけの分のみです。

僧侶による読経もなく、香典返しの費用も含まれません。
いわゆる「直葬」という火葬だけの式になります。

なお、葬儀社によっては「生活保護葬」「福祉葬」などと呼ばれることもありますが、全て同じ内容の葬儀です。

生活保護法の原文

生活保護法では、第18条に葬祭扶助のことが書かれています。

第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 検案
 死体の運搬
 火葬又は埋葬
 納骨その他葬祭のために必要なもの
 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
なお、自治体が葬儀をするときは「政教分離」の原理が働くため、特定の宗教儀式にはかかわれません。
そのため、火葬のみのシンプルな形式になります。

葬祭扶助を受けられる条件

葬祭扶助を受けるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。

ここでは、万が一のことが発生したときに自治体の扶助を受けるための条件を見ていきましょう。

具体的には、以下のような条件をクリアすることが必要です。

  • 遺族(喪主)が生活保護を受けている
  • 遺族以外の人が葬儀を行う場合(民生委員)
なお、自治体が葬儀をするときは「政教分離」の原理が働くため、特定の宗教儀式にはかかわれません。

そのため、火葬のみのシンプルな形式になります。

遺族(喪主)が生活保護を受けている

故人の遺族が葬儀を執り行う場合、遺族も生活保護を受けるなど経済的に困窮していることが考えられます。それが支給の条件です。

故人が生活保護を受けているといっても、遺族が葬儀費用を賄えるだけの収入や資産を持っているなら扶助は受けられません

最低限度の生活を維持できない人が対象

生活保護制度には、全部で8つの扶助があります。

その全てが「生活のための最低限度の水準を維持できない人」のための制度ですが、生活保護の種類で基準が異なるため、最終的にケースワーカーの判断にゆだねられます。

ほかの扶助を受けられる人であっても、必ず認められるわけではありません。

なお、生活保護を受給していない人は「葬祭扶助だけ」を受給することもできます
これは通常の生活保護とは分けて「単給」と呼ばれます。

遺族以外の人が葬儀を行う場合(民生委員)

故人に扶養義務者がいない、いわゆる「身寄りがない」という状態で、かつ葬儀費用に充てられるだけの資産を残していない場合は、遺族や親族以外の第三者(家主・民生委員など)が葬儀を手配することになります。

民生委員などが葬儀を執り行う場合も支給の対象です。

亡くなった人の金品で葬祭を行う費用を満たせない場合、基準額の範囲内で葬儀に不足する金額をカバーできます。

もう1つ、故人の身寄りを見つけたとして、故人とほとんど面識がない遠縁では、遺骨の引き取りをしてくれない可能性があります。

そのような場合でも民生委員などが葬儀を執り行うため、同じく葬祭費用の支給を受けることが可能です。

自治体が葬儀を行う場合はどうなる?

扶養義務者が存在しても、必ず葬儀を行うと決まったわけではありません。

亡くなった人と同居していた場合、扶養義務者は葬儀を行う必要がありますが、同居していない場合は葬儀を行う義務はありません。

自治体から葬儀を行うように求められて拒否したとしても、罪に問われることはないのです。

誰も葬儀を行わない場合、自治体が葬儀を行うのが義務です。

その場合の費用は自治体の負担になります。

支給される金額

葬祭扶助の基準額は、以下のとおりです。

  • 大人=206,000円以内
  • 子ども=164,800円以内
基準額の範囲内は自治体ごとに上限額が定められており、住所地の自治体が定めた上限額の範囲で実際に葬祭に要した費用が支給されます。

ただし、自治体によって異なる場合があるため、気になるのであれば福祉事務所に相談しましょう。

葬儀の内容は限られる

生活保護法18条では、葬祭扶助でカバーできる内容として以下の4種類が記載されています。

  1. 検案
  2. 死体の運搬
  3. 火葬又は埋葬
  4. 納骨その他葬祭のために必要なもの
そのために必要な最低限度の金額が支給されます。

たとえば以下のような金額について、費用の中に含まれています。

  • 寝台車
  • ドライアイス
  • 仏衣一式
  • 霊柩車
  • 骨壺・骨箱
  • お別れ用の花束
  • 自宅飾り
  • 白木位牌 など

生活保護を受けていたとしても香典は受け取れる

葬祭扶助から援助を受けた場合でも、香典を受け取ることは可能です。

香典は非課税で贈与税も所得税もかかりません。

相続税に関しては、そもそも香典は相続財産ではないため支払う必要はありません。

生活保護葬の流れ

葬祭扶助を使って葬儀を行う場合は、葬儀社のプランを利用して葬儀を行うことになります。

葬儀社によっては生活保護受給者専用の「0円葬儀」を用意しており、これを利用することで葬祭扶助の範囲内で費用負担なしの葬儀を実現可能です。

葬儀社で行うことで、実質的に利用者の負担が不要で最低限の葬儀を行えます。

生活保護葬(直葬)の流れは、以下のように進んでいきます。

  • 市役所で葬祭扶助が受けられるか確認
  • 葬儀会社に電話
  • 葬式施行の手続き申請

市役所で葬祭扶助が受けられるか確認

葬祭扶助を利用したお場合は、適用が問題ないのかについて対象者の住民票がある市役所に電話をします。

注意点として、葬祭扶助は事前に申請しなければ受けることはできません。

葬儀社に依頼するまえに、自分で必ず自治体に確認しておくことが重要です。

葬儀会社に電話

自治体のサポートが受けられると分かった段階で、対応している葬儀会社に連絡しましょう。
担当者が打ち合わせに訪れます。

一般的なお葬式では200~300万円前後の費用がかかることもありますが、直葬(生活保護葬儀)の場合は葬儀負担実質0円で葬儀を受けられるプランもあります。

直葬

直葬は、文字通り直接火葬してしまう方式です。

亡くなった場所から安置施設まで寝台車で移動し、火葬の日まで安置します。

火葬当日に故人を棺に納棺しして火葬場に霊柩車で移動、火葬して骨壺に遺骨を納めます。

葬式施行の手続き申請

葬儀に要した費用に関しては、請求書が葬儀会社から福祉事務所へと提出されます。

その内容に間違いがないか精査され、問題なければ福祉事務所から葬儀会社に対して支給が行われます。

葬式が終わったあとは、葬儀社が申請を行ってくれます。
自治体から直接葬儀社に振り込みがあるため、利用者側の利用負担は0円で済みます。

利用者である生活保護の受給者に費用が手渡されるわけではなく、葬儀会社に対する支払いが福祉事務所によって肩代わりされる制度である、と覚えておきましょう。

葬祭扶助が適用されないケースもある

葬祭扶助は、故人が生活保護の受給者であれば絶対に扶助を受けられるというものではありません。

故人が通常の葬儀をまかなえるだけの預貯金を残している場合は支給されません。

また、親族の誰かが葬儀費用を支払える場合も同様です。

支払い義務があるのは、扶養義務者である子どもや父母、孫、兄弟姉妹です。

あるいは、そのような血族でなくても葬儀費用の負担を申し出る人がいるのであれば支給されません。

ケースワーカーの判断次第でNGになることも

生活保護の受給者に関する判断は、福祉担当であるケースワーカーが行います。

さまざまな面から支給要件の確認が行われ、ケースワーカーが支給不可と判断する場合は費用の支給は行われません。

申請が遅れた場合はどうなる?

葬祭扶助にとって、申請のタイミングがもっとも重要と言っても過言ではありません。
申請は葬儀開始の「前」に行う必要があります。

後から申請して間に合うだろうと考えていたとしても、葬儀のあとでは福祉事務所に申請が受理されることはありません。

実際に葬儀費用を支払えてしまっているため、「葬儀費用を問題なく払えるだけの蓄えがあったのだろう」と判断されても仕方がありません。

生活保護葬では葬儀社選びが大切になる

全ての葬儀社で生活保護葬に対応しているわけではありません。

そのため、近くの葬儀社や懇意の葬儀社に「生活保護葬に対応しているか」の確認が必要です。

さらに、扶助を受けられるとしても生活保護葬を積極的に実施していない会社もあります。
なかには雑な対応を受けてしまうケースもあるようです。

葬祭扶助による葬儀が得意な葬儀社は、公式webサイトで「0円葬儀」などの名称を使って大々的に宣伝していることが多いのが特徴です。

懇意の葬儀社で生活保護葬に対応していない場合、居住区のエリアをカバーしているなかでもっとも生活保護葬に詳しい葬儀社を選びたいものです。

自分自身が生活保護を受給している人にとっても、自分の身体に何が起きても不思議ではありません。

あらかじめ家族が心配しないように葬儀社を見つけておくことも大切になるでしょう。

そもそも生活保護とは

葬祭扶助は、生活保護の制度の1つです。大元である生活保護の理解をしておくことも大切でしょう。

生活保護とは、資産や能力、その他あらゆるものを活用しても最低限度の生活に満たない暮らしをしている人に対して必要な保護を行うことで、健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。

住まいの地域の福祉事務所が担当しています。
ただし「生活が厳しいなあ……」と感じている全員が受けられるわけではありません。

「受給の要件」を全て満たすことが条件です。

受給の条件

生活保護では、受給の条件として4つの要件が定められています。

これらの要件を満たしてなお生活に困窮している人に限り、最低生活費と収入の差額を受け取れます。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養

資産の活用

使っていない土地や家屋、宝飾品など自分が持っている資産があれば売却して生活のために利用する必要があります。

能力の活用

働く能力がある限り、働くことが必要です。

生活保護は働きたくても働けない人を保護する制度ですから、働く能力があっても働かない場合は保護の対象外になります。

生活保護をもらい始めた時は働けないとしても、少しでも回復したら能力が許す限り働くのが原則です。

あらゆるものの活用

年金や公的手当などを受け取る場合、まずはそちらを優先して受け取る、という要件です。

生活保護を受けられるとしても、受け取れる金額は最低生活費からこれらの収入を差し引いた残りです。

たとえば生活保護の上限を超えて年金を別々に受給できるわけではありません。

扶養義務者の扶養

扶養義務者が扶養できるのであれば、生活保護を受ける前に扶養を受けるのが原則です。

ただし、扶養義務者といっても絶対に扶養しなければいけないという決まりはありません。
扶養することで生活が苦しくなるなら断ることもできます。

そうなった時はじめて、生活保護を受けられる可能性が出てくるのです。

生活保護の権利と義務

生活保護は条件を満たすかぎり、誰でも無差別平等に受けることができます。

正当な理由がない場合は、すでに決定された保護を不利益に変更されません。

また、保護費については税金が課されることもありません。

これらの権利は、生活保護の受給者として保障されています。その反面、義務を守ることも必要です。

具体的には以下の3つの義務が課されることになります。

  • 資産・能力を生活のために活用する
  • 能力が許す限り働き、支出を節約して生活の向上に努める
  • 福祉事務所からの指導・指示には従う
もし財産を隠して生活保護を申請して受給していた場合、その事実があきらかになれば不正受給に該当します。

そのほか福祉事務所に指示を受けた際、従わないと内容次第で生活保護を取り消されることもあります。

まとめ

葬祭扶助は生活保護を受けている遺族が喪主を務めるときのほか、身寄りがいないことで民生委員などが葬儀を執り行う時にも利用できます。

ただし、喪主が生活保護の受給者であっても必ず支給を受けられるとは限りません。

通常の葬儀費用を捻出できるのであれば支給は行われない可能性があり、あくまで最終的にはケースワーカーの判断です。

また、利用には利用者の側から葬儀前に相談する必要もあります。
詳しい手続き内容を理解してから申請を行いましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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