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教育扶助とは|生活保護で教育に関する扶助を受けるための条件と注意点

 2021/03/03 お金に関する豆知識   204 Views

生活に困窮している家庭に関して、最低生活費を下回る収入しか得られない場合は、生活保護を受給できる可能性があります。

中でも、義務教育が終わっていない小学生・中学生がいる世帯に支給されるのが「教育扶助」です。

しかし、教育扶助とはいえ全ての学費をカバーできるわけではありません。
例えば高校性の学費は生活保護の対象外です(別の制度で支給は受けられます)。

今回は、教育扶助のポイントと注意点を解説します。

生活保護とは

生活保護は、日本国憲法で規定された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度のことです。憲法の理念が具体化された制度であるといえます。

資産・能力・公的手当などを全て活用しても生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じた保護を実施するのが主旨です。

実際の受給までの流れは「事前の相談→保護の申請→保護費の請求」となります。
受付窓口は地域の福祉事務所です。

なお、ひとくちに生活保護といっても、扶助される内容は以下の8種類に分かれます。

家庭の状況に応じ、対応する扶助が単給または併給されます。

扶助の種類 生活を営む上で生じる費用
生活扶助 日常生活を送るのに必要な費用
住宅扶助 アパートの家賃など
教育扶助 義務教育を受けるのに必要な学用品など
医療扶助 医療サービスを受けるための費用
介護扶助 介護サービスの費用
出産扶助 出産費用
生業扶助 就労にかかわる技能習得のための費用
葬祭扶助 葬祭費用

受給のための4つの条件

生活保護では以下の4つが受給の要件として設定されています。

いずれかの条件を満たさない場合、生活保護を受けられません。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養

資産の活用

生活保護を受ける前に、利用できる財産は全て利用する必要があります。

所有している資産を処分して生活維持のために活用する、ということです。

すでに生活保護を受給している場合は、売却で受け取ったお金は支給を受けた生活保護費の範囲内で返還しなければいけません。

ただし、資産価値が低い居住用の住宅や、仕事で必要な通勤用のクルマに関しては一定の条件を満たした場合に所有が認められるケースもあります。

能力の活用

生活保護は、働きたくてもやむを得ず働けない人のための制度です。

働けるのなら、生活保護を受ける前に世帯全員が力を合わせて、能力の限り働く必要があります。働く能力があるのに働かない場合は生活保護を受け取ることはできません。ケガや病気で働けないのであれば、証明するための医師の診断書が必要です。

また、最初は働けなかったとしても、ケガや病気の状態が良くなれば能力が許す限り働く必要があります。

あらゆるものの活用

「あらゆるもの」とは、いわゆる「他の公的制度」のことです。

老齢年金や障害年金、企業年金、児童手当、傷病手当金など生活保護以外の制度で受け取れるお金は、生活保護に優先して全て活用しなければいけません。

生活保護費はこれらの金額でも最低生活費に満たない場合に差額を埋める形で支給されます。
つまり、生活保護の受給者が受け取れる総額は一緒ということです。

扶養義務者の扶養

扶養義務者(親・兄弟・子どもなど)から援助を受けられないか確認するのが決まりです。

生活保護受給中であっても状況が変わることは考えられるため、身内に援助をしてもらえないか随時確認する必要があります。

生活費全般だけでなく、身内ができる範囲だけでも援助を得られるなら得る必要があります。

申請者の側だけでなく、福祉事務所でも「扶養の照会」として親族に連絡が入ります。

もし「親には迷惑をかけたくない……」と思っていても、生活保護を申請する以上は連絡が入ることを覚えておきましょう。

教育扶助とは

教育扶助は、生活保護制度で定められている生活保護制度の1つです。
義務教育を受けるために必要な学用品日について、定められた基準額を支給します。

対象

教育扶助を受け取れる対象者は、義務教育を受ける子どもがいる生活保護受給世帯です。

義務教育とは小学校・中学校のことで、中学生以下の子どもと言っても保育園や幼稚園に通っている、あるいはそれ以前の乳幼児の場合は支給の対象外であることに注意が必要です。

給付額

教育扶助のお金を受け取る場合、「教育扶助」として一気にお金を受け取るわけではありません。

教育扶助の中でも以下のようにいくつかの項目に分かれており、該当する部分だけが支給されます。

  • 基準額
  • 教材代
  • 学校給食費
  • 交通費
  • 学習支援費
  • 学級費
それぞれの項目について、以下で解説していきます。

基準額

小学生・中学生の子どもがいる家庭では基準額が月額で支給されます。

学用品日(鉛筆、ノート、消しゴムなど)、その他の教育費(遠足や社会見学等)に充てる金額です。

小学生で2,600円、中学生5,000円など、その時に定められている金額が全国一律で毎月支給されます。

教材代

教材に充てるためのお金です。
学校が指定する教材費の全額が実費で支給されます。実費支給のため、利用した分の領収書が必要です。

基本的に年1回の支給であり、必要な金額がまとめて支給されます。

学校給食費

文字通り、給食費に充てるためのお金です。

給食費の全額が実費で毎月支給されます。
学校によって給食費が異なるため、家庭によっては支給される金額に差異があることが考えられます。

交通費

通学のために利用する交通費に充てられる金額です。
通学に必要な最低限度の金額が全額支給されます。特急券料金などはもちろん支給されません。

学生は毎日通学で電車を使うなら定期券の購入が必須です。
さらに定期のなかでももっとも安い6ヶ月定期を選ぶことが求められます。

もっとも安く購入できる手段の金額について、通学のための交通費として実費で支給されます。

学習支援費

いわゆる「クラブ活動費」のことです。

こちらも実費で支給されますが、小学校と中学校でそれぞれ以下のような上限額が設定されています。

  • 小学校等上限額:1万5,700円以内
  • 中学校等上限額:5万8,700円以内

学級費

学級費は生徒会費、PTA会費などの費用に充てられます。
全国一律の金額が毎月支給されます。

臨時的一般生活費とは

入学準備金として「臨時的一般生活費」から一定額が支給されます。

例えば「小学生64,300円」「中学生81,000円」などといった具合です。

教育扶助に関する注意点

子どもの学校に関する費用について、何でも教育扶助で支給されると考える人も少なくありません。

しかし、実際には他の制度と相互にフォローしながら適切な支給が行われています。

教育扶助について、知っておきたい注意点をまとめました。

  • 修学旅行費は「就学援助費」で支給される
  • 高校の教育費は「生業扶助」で支給される

修学旅行費は「就学援助費」で支給される

修学旅行に関しては教育扶助のお金からは支給されません。
修学旅行費や医療費に関しては、教育扶助ではなく「就学援助費」から支給されるのが原則です。

就学援助制度とは、生活保護の受給者や生活保護を受給していなくても生活に困っている世帯が教育費の支給を受けられる制度のことです。

生活保護との併給はできませんが、生活保護の教育扶助の対象外である修学旅行に関しては就学援助制度から全額が支給されます。
ただし、小学生と中学生の修学旅行のみが対象です。

高校生の修学旅行に関しては、アルバイトとして給与収入があるケースに限り、基礎控除や未成年控除と併せて修学旅行の費用を経費として計上できる場合があります。

ただし、あくまで高校生本人の給与収入に関して認められ、両親の給与収入から控除されるわけではない点に注意が必要です。

高校生が働いて給与収入を得ている場合、修学旅行分が控除されるようにケースワーカーに申告を行う格好になります。

つまり、この制度は高校生が働いていることが前提の制度です。
高校生自身が働いていない場合、高校生に対する公的な援助はありません。

生活保護費から全額負担する必要があります。

就学援助制度とは

就学援助制度によって、小中学生の修学旅行費用の援助を受けられることは紹介しました。
ここで、就学援助制度の概要についても知っておきましょう。

学校教育法の19条において、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」とされています。
つまり実施主体は市町村です。

支給の対象は生活保護を受けている「要保護者」のほか、「準要保護者」として生活保護の受給者に準ずる程度に困窮していると認められる人にも支給されます。

高校の教育費は「生業扶助」で支給される

一般世帯では、今やほとんどの家庭で子どもを高校に進学させています。
社会に出て働くことになったとき、中卒と高卒では給与待遇に大きな隔たりがあるのが事実です。

高校に進学することは生活保護受給者の自立に有用のため、教育扶助ではなく「生業扶助」で支給を受けることになります。

小中学生と高校生は支給される制度が生活保護の中でそれぞれ異なることは知っておきましょう。

生業扶助から「高等学校等就学費」が支給される

高校に進学したときは入学準備金として「高等学校等就学費」が支給されます。
ただし、専門学校や短大や大学の学費は支給されません。

これは中学校を卒業して以降は義務教育ではないためです。
生活保護の受給家庭は経済的な自立を目指すため、働くべきという考えが根底にあります。

高校の費用に関しては、あくまで例外的に支給されるということです。

とはいえ、学費については高校無償化の影響もあり、現在は公的支給による援助はありません。

高校生に関する扶助についても知っておこう

すでに紹介したとおり、教育扶助でカバーされる「教育」とは義務教育のことです。

そのため、高校生以上の学費に関してはカバーされません。
しかし、高校を卒業することは社会的な意味が大きく中卒と収入も大きく異なるため、高校の費用に関しては生業扶助で支給が行われます。

高校生に関する扶助についても、把握しておきましょう。

生業扶助とは

生業扶助は、教育扶助と並んで生活保護の8つの扶助の1つに数えられています。

生業に必要な資金、器具または資料、生業に必要な技能の習得、就労に必要なものなどの費用が現金支給されます。

この生業扶助の制度のなかで、高等学校等就学費も支給されることになります。
つまり高校を卒業することを、社会で働いて経済的に自立するための準備と捉えているわけです。

入学料及び入学考査料とは

小学生・中学生までの教育扶助には見られない制度として、高等学校等就学費には「入学料及び入学考査料」が設定されています。

義務教育である小学校・中学校と違い、高等学校などに入学するには受験して合格する必要があります。

そのため公立学校、私立学校のいずれも入学考査(受験)を経ないと入学することはできません。
さらに、入学するためには所定の入学料を支払う必要があります。

そこで生活保護の受給世帯に対し、公立高校の入学料と受験料にあたる金額が支給されることになります。
ただし、支給を受けられるのは公立の入学金・受験料です。

基本的に入学金や学費は公立よりも私立の方が高くなっています。参考になる以下のサイトの資料をご覧ください。

>>文部科学省|平成30年度子供の学習費調査の結果について|9P

高等学校の全日制の平成30年度について、公立の学校教育費は28.0万円です。ここに入学費が含まれています。

一方の私立では、同じ平成30年で71.9万円と2.5倍以上の開きが存在するのです。

入学金を含む教育費用だけでなく、それ以外の「学校外活動費」についても公立の17.7万円、私立学校では25.1万円とこちらも開きがあります。

もし私立に進学を決めたなら、公立でカバーできない入学金は全て自費で準備する必要があります。
自立した生活を継続するためにも、公立を目指す選択肢を常に意識することが重要になるでしょう。

まとめ

今回は生活保護の8つの扶助の中でも、義務教育を終えていない小学生・中学生がいる世帯が受け取れる教育扶助について解説しました。

ひとくちに教育扶助と言っても、幼稚園から大学までの全ての費用を賄えるわけではありません。

保育園や幼稚園は対象外ですし、大学以降は公的制度による援助の対象外です。大学に通う場合は奨学金制度を別途活用することになるでしょう。

子どもに充実した教育を受けさせるためにも、教育扶助と類似する制度の仕組みについてはきちんと理解しておきましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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