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子どもの養育費が支払えない|離婚後の養育費を免除・減額できるのか?

 2020/12/20 お金のトラブル   311 Views

養育費は、親権を失ってしまったほうの親が子どもに対して支払う義務があるお金です。

離婚したからといって親である事実は変わらないため、養育費は何とかして支払う必要があります。

しかし、毎月数万円単位の負担になることも事実です。どうしても払えないと感じることもあるでしょう。

そのようなとき、支払いを免除してもらうことは可能なのでしょうか?

そもそも「養育費」とは

養育費の定義について、法務省では以下のように解説されています。

養育費とは,子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には,子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し,衣食住に必要な経費,教育費,医療費などがこれに当たります。

引用元:法務省|養育費

子どもを看護している親は、もう片方の親から養育費を受け取ることができます。

離婚によって親権者ではなくなった人であっても、子どもの親であることは紛れもない事実です。
親として養育費を相手方に支払う義務があります。

養育費の相場

養育費の相場は「個々の状況」によって異なるため、一概に「この状況では〇円」と言い切ることはできません。

ただし、何かしらの目安は必要です。
養育費の金額相場を算出するには「養育費算定表」を使って計算することができます。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

例えば離婚した相手が養育する子どもの人数が1人(0~14歳)の場合、会社に勤めている人であれば「2~4万円」自営業者なら「4~6万円」が相場です。

とはいえ、あくまで相場です。
双方の合意次第では大幅に多い・少ない金額でも設定することは可能です。

養育費は生活環境に関係なく支払う義務がある

離婚したあとは、本人・元配偶者それぞれに生活があります。
時には出費が激しく「養育費が支払えない…」と悩んでしまうこともあるかもしれません。

「生活が苦しい」という理由で養育費の支払いを拒否できるのでしょうか?

結論を言うと、法律の上では生活苦だから払わないということはできません。
養育費は子どもへの扶養義務の一環であるためです。

養育費を支払うことで自分の生活レベルが著しく低下するとしても、子どもに養育費を払う義務があります。

養育費を支払わない場合

養育費を払わない場合、親権をもった相手方は裁判所に申し立てることで支払いを請求することができます。

法的拘束力の違いで、裁判所が出す勧告・命令は以下の3つに分かれます。

  • 履行勧告
  • 履行命令
  • 強制執行

履行勧告

養育費が払われない場合、家庭裁判所から義務を履行するように勧告されるのが「履行勧告」です。

簡単な手続き請求できるうえに低コストですが、履行勧告には法的拘束力がありません。
あくまで「払ってくださいね?」という勧告に留まります。

履行命令

家庭裁判所から養育費の支払いを命令する制度が「履行命令」です。

正当な理由がないのに命令に従わない場合は10万円以下の罰金に処されます。

参考:調停完全ガイド

とはいえ、罰金覚悟であれば支払わないことができてしまいます。そういう意味では法的効力はまだ弱いといえるでしょう。

強制執行

債権者の側が裁判所に申し立て、養育費の支払いを強制的に執行させる制度です。

主に差し押さえられるのは「給与」であり、執行されると毎月の給与から一定の金額が差し引かれます。

また、給与差し押さえの際は会社にも連絡が入るため、社内で「養育費を払っていない」という事実は知られてしまいます。

給与以外にも差し押さえの対象として、自宅などの「不動産」、車や貴金属などの「動産」も対象です。

強制執行まで進んでしまうと、養育費の支払いは確実に履行されます。給与が差し押さえられてしまうと自分の今後の生活にも影響するでしょう。

養育費の支払いからは逃れることはできません。ここまで話がこじれてしまう前に、必ず養育費を払いましょう。

刑事罰に問われる可能性

従来は養育費を払わなかったといっても刑事罰が科されることはありませんでした。

しかし、2020年4月の民事執行法改正以降は、養育費を払えないと懲役刑・罰金刑が科される可能性があります。

改正民事執行法では裁判所の「財産開示手続き」も協力しなかった債務者に適用される刑事罰が新設されています。

財産開示手続きとは、債務者の財産内容を確認するために債権者が裁判所に申し立て、裁判所から債務者へ財産の開示を促すものです。

財産開示命令を無視したり虚偽の報告をしたりする場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

養育費が払えないことで裁判所からの財産開示請求を無視すると罪になり、最悪の場合は懲役刑になってしまうのです。

養育費の免除は認められる?そのパターンとは

相手が免除に合意した

養育費は、当事者間での同意が優先されます。

親権者が養育費を請求しないことに合意すれば、支払い義務が免除されるのです。

ただし、親権者の合意が必要な以上は一方的に放棄することはできません。

合意したとしても、そのままでは後日「言った・言わない」の水掛け論に発展してしまいます。
合意の内容は必ず書面で、それも公正証書など公的効力がある書類で作成しましょう。

生活保護を受けている

養育費は「子供に対して親と同水準の生活を提供するための義務」です。
養育費を支払う人に収入が全くない場合、免除の対象になる可能性があります。

例えば病気で働けなくて生活保護を受給するようになったケースです。

相手が再婚して子どもが養子縁組した

子どもが養子縁組をしたケースでは、子どもを養育する義務は養親が負います。

債権者である前妻が再婚して新しい配偶者が養親になったケースでは、養育費を払う義務はなくなる、あるいは減額になる可能性があります。

離婚した場合、養育費の支払い以外は相手と一切連絡をとらないことも珍しくないでしょう。

時折連絡し、現状について確認してみると「実は再婚していた」といったケースもあるかもしれません。

ただし、もし再婚相手と再度離婚した場合は子どもの養子縁組が解消され、養育費の支払い義務が復活します。

養育費の減額は可能?そのケースとは

相場より明らかに高い養育費を払っている

養育費の相場はすでに紹介した通り、「養育費算定表」を使って算出することができます。

計算してみて、自分の年収・職種(会社員か自営業か)・相手の収入の相場よりも多くの養育費を払っているような場合、減額できる可能性もあるでしょう。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

やむを得ない事情で収入が減ってしまった

どんなケースでも、絶対に養育費の減額が認められないということはありません。

病気やケガ、会社都合のリストラなどの「やむを得ない事情」で収入が減った場合、養育費の減額請求が可能です。

ただし、養育費を払いたくないというような理由で、わざと仕事を減らすことで収入が下がっても減額は認められません。

あくまで「本人はどうしようもない、やむを得ない理由」が必要です。

再婚した

養育費の支払い義務がある人が再婚して家族が増えた場合、養育費の減額を求めることが可能です。

新しい家族の扶養義務が生じる一方、収入はいきなり増えることはありません。

限られた収入で新しい家族を養うため、前妻との子に支払う養育費は減額せざるを得ないのです。

こんな時は減額が認められない

一見すると減額されそうな理由であっても、減額が認められないケースがあります。
どのようなケースで減額が認められないのでしょうか?

面会させてくれない

離婚後にありがちなトラブルとして挙げられるのは「子どもと面会させてくれない」というトラブルです。

「子どもに会えないなら養育費は払えない!」という主張は認められるのでしょうか?

法律では、子どもを面会させなければいけないという決まりはありません。
相手が子どもとの面会を拒否しても、養育費は支払う義務があります。

条件が悪化すると分かったうえでの転職

すでに解説した通り、養育費は収入が減少すると減額を求めることができます。
しかし、それはあくまで「やむを得ない事情」で収入が下がった場合です。

2020年に日本でも脅威となった新型コロナウイルスで会社の業績が悪化した、給与が削減されたなどの状況であれば減額に値するでしょう。

一方、自分の意思による行動で収入が減額したとしても、養育費は減額されません。

収入が減ると分かって転職をしたケースなどが該当します。

わざと仕事しない

わざと仕事をせずに収入がないとしても、養育費が減額される理由にはなりません。

たとえ無職であっても、働ける状態であると認められた場合は減額されないのです。

相手方から調停を申し立てられると、平均賃金から養育費の相場を算出して支払い命令が出る可能性があります。

自己破産した

養育費は決して少ない金額ではないですから、ひょっとすると養育費の支払いのために借金をして、払えなくなって自己破産してしまうケースがあるかもしれません。

自己破産は裁判所に許可を得ることで借金をゼロにする制度ですが、養育費は免除にはなりません。

自己破産に関する法律である「破産法」の第253条に養育費は対象外である旨がしっかり定められています。

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

~中略~

 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務

引用元:e-Gov|破産法

減額手続き開始の流れ

まずは話し合い

養育費の減額を求める場合、いきなり「収入が減ったから払わない」と一方的に通達しても了解をもらえることはないでしょう。元パートナーに正直に相談して、相手が減額を受け入れてくれる場合は養育費の削減が可能です。

もし話し合いによって合意が得られた場合、後からトラブルにならないように合意内容を公正証書など法的効力がある書面で記録しておきましょう。

解決できない場合は「調停」

「相手が話し合いに応じてくれない」「減額の提案に応じてもらえない」といった場合は家庭裁判所で「養育費削減請求調停」を申し立てることができます。

当事者2人に加えて調停委員または裁判官と話し合って解決を図る制度です。

調停委員が両者の間に入ることで意見を調整し、相手側の希望する金額を提示してくれます。双方が納得すれば調停は成立です。

調停で解決しなければ「審判」

調停で解決できない場合は自動的に裁判所による「審判」に移行され、裁判所によって新しい養育費が決定されます。

減額すべき事由があるのなら、裁判所が減額後の金額が提示されれば減額が可能です。

減額が認められたらいつから減額?

減額請求が認められたといっても、実際はいつから減額されるのでしょうか?

家庭裁判所の実務としては「減額の請求時点」「調停の申込時点」になります。

ただし、家庭裁判所の裁量にゆだねられています。実際にいつから減額になるのかは調停や審判の結果を見てみないと判明しません。

悩む場合は法律の専門家に相談

どうしても支払えない場合でも、支払わないという選択肢ではなく「減額で払えないか」を検討しましょう。
自分にも相手方にも生活がありますから、何とか落としどころを見つける必要があります。

調停や審判を行う場合は必要な書類を準備するだけでなく、「減額してもらう理由」を立証しなければいけません。
仕事や私生活をしながら、これらの業務を行うのは辛いでしょう。

弁護士に依頼することで、これらの業務を代行してもらうことが可能です。報
酬は発生するものの、初回の相談は無料のケースがあります。とりあえず相談してみることも、解決するためには必要なことです。

子どもの養育費が支払えない|離婚後の養育費を免除・減額できるのか?まとめ

今回は、「養育費が払えない時に免除・減額を受けられるのか?」について解説しました。

基本的に養育費の支払い義務から逃れることはできませんが、「やむを得ない事情で収入が激減した」「相手方が同意した」などの理由があれば免除・減額を受けられる可能性はあります。

ただし、自分の意思で収入を減らしたり嫌だからと払わなかったりすることは許されません。

養育費を支払えない正当な理由がある時に限って、相手方に相談できることを覚えておきましょう。

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ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

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