カードローンを利用している場合の住宅ローン審査の影響について
「カードローンを使っていたから住宅ローンに通らないかも知れない・・・」
このように悩まれている人は少なくありません。
カードローンを使っていた過去があると、住宅ローンを組むことはできないのでしょうか?
今回は、カードローンと住宅ローンの関係性について解説します。
このページの概要
カードローンとは
カードローンとは、銀行や消費者金融などの金融機関が提供している「個人向けの融資サービス」のことです。
無担保・保証人なしでお金を借りられる特性上、利用者の「信用」が融資できるかの判断にかかわってきます。
家にいながらにして借り入れや返済ができるなど、身軽さがカードローンの魅力です。
インターネットでの申し込みで自分の口座に振り込んでもらう以外にも、コンビニや銀行のATMやキャッシュディスペンサーなど、さまざまな方法でお金を借りることが可能です。
返済は口座からの引き落としが基本ですが、口座振替やATMでの臨時返済にも対応しています。
返済の基本は「リボルビング払い」です。
毎月の支払額は数千円程度で一定で、借入れ限度額さえ残っていれば、返済中に追加での借り入れも可能です。
住宅ローンとは
住宅ローンはその名前の通り、住宅を買ったり、リフォームしたりする場合に金融機関からお金を借りる仕組みのことです。
居住するための住宅購入であれば、どんな物件でも利用できます。
新築やリフォーム以外にも中古住宅の購入や「住宅のための土地の購入」でも融資を受けられます。
購入する住宅に、住宅ローンを借りる金融機関の名義で抵当権を設定するほか、団体信用生命保険に加入するのが一般的です。
両者の違い
同じ「ローン」の名を冠するカードローンと住宅ローンですが、両者の違いは大きいものです。
主な違いとして、以下の4つを解説します。
- 総量規制の対象か否か
- 追加の借り入れができるか
- 利用目的
- 金利の違い
総量規制
カードローンは主に「銀行系」「消費者金融系」に分けられます。消費者金融系のカードローンを利用する場合は、総量規制の対象です。
総量規制とは「貸金業者は申込者の年収の3分の1までしか貸付ができない」とするルールのことを指します。
年収300万円の人であれば、どんなに最大でも100万円までしか借りられません。
一方の住宅ローンは、総量規制の対象外です。
年収に関係なく、審査に通過すれば1,000万円でも2,000万円でも借りられます。
追加の借り入れ
追加で借り入れができるか・できないかにも違いがあります。
住宅ローンは1回契約してお金を借りたあとは、追加でお金を借りることはできません。
一方のカードローンはリボルビング払いを採用しているため、返済途中でも借り入れ限度額さえ残っていれば追加で借りることができます。
利用目的
カードローンは、基本的に利用使途は自由です。事業使途には使えないといった制約はあるものの、趣味や交際など何に使っても構いません。
一方の住宅ローンは文字通り、利用使途は住宅の購入やリフォームに限定されています。
金利
金利に関しては、住宅ローンとカードローンでは大きく異なっています。
新生銀行と、同社のグループである「レイクALSA」を比較してみました。両者の金利の違いは以下のとおりです。
金融機関 | 金利 |
---|---|
新生銀行住宅ローン 変動金利(半年型)タイプ |
年0.65% |
レイクALSA | 4.5%~18.0% |
ご覧の通り、圧倒的に住宅ローンの方が金利が安くなっています。
住宅ローンを組む際は担保としてローン対象の住宅を抵当に入れることが、金利の低さに関わっています。
なお、住宅ローンは「変動金利」を採用しており、半年ごとに見直しが行われます。
カードローンの住宅ローンへの影響
カードローンは最短即日で借りられるサービスもあることから、急にお金が必要な時の切り札として有効なサービスです。
しかし、「カードローンを借りたら住宅ローンは借りられない」となってしまうのは大変なリスクです。
カードローンが住宅ローンに悪影響を及ぼすことはありえるのでしょうか?
返済遅れによる影響は?
ローンの返済は、金融機関と利用者の約束です。
カードローンは無担保で借りられるうえ、保証人も必要ありません。契約者自身の信用を担保にしているため、信用を失墜させる行為に対してはペナルティが発生するのは当然でしょう。
ただし、返済に遅れたからといって直ちに審査に影響あるとは言えません。
返済遅れといっても、残高の確認漏れで口座残高不足だった可能性もあります。身内の不幸などのどうしようもない理由で返済が間に合わないこともあるでしょう。
遅れたとしても事情を説明してすぐに返済すれば、本来の返済期日から実際に返済した日までの遅延損害金だけで済むことも多いです。
信用情報機関に記録される前に返済すれば、住宅ローンの審査にも影響しません。
影響がある返済遅れ
突発的な返済遅れであれば住宅ローン審査への影響はありません。ただし、2ヶ月以上の延滞をしてしまった場合は別です。
61日以上の返済遅れは信用情報機関に記録されます。
このような「ブラック」の状態では、住宅ローンの審査に通過できなくなってしまいます。
過去の利用実績は住宅ローンに影響する?
住宅ローンの審査基準は、提供する会社によって異なります。
過去にカードローンを利用していたことが一概に「影響がない」とは言えません。
ただし、カードローンやクレジットカードのキャッシング枠を使った過去があるからといって、必ず審査に落ちるとは限りません。
カードローンを契約した過去だけではなく、利用者のさまざまな情報を総合的に判断するためです。
過去にカードローンを利用したことがあって結果的に審査に通らなかったとしても、それだけが原因であるかどうかは確かめようがありません。
節度ある使い方をすれば影響はない
住宅ローンの審査に影響を与えそうな利用方法は「返済の遅れ」や「借りすぎ」です。
返済の遅れは事故情報につながるので絶対にNGと覚えておいてください。
また、年収に比べて明らかに借りすぎている場合は「返済能力を超えて借りている」「金に困っている」という判断がなされることがあります。
つまり、信用情報に傷がつくような使い方をしていない限りは「カードローンを使っていた」と言っても過度に心配する必要はないということです。
住宅ローンを組むとカードローンは利用できない?
カードローンを利用しただけでは、住宅ローンに大きな影響はないというのは解説した通りです。
では、逆に「住宅ローンを組んでいる場合はカードローンを利用できないのか?」という疑問が湧いてくる人もいるのではないでしょうか。
結論を述べると、住宅ローンを組んでいるからといって、カードローンが利用できなくなるわけではありません。
なぜなら、住宅ローンは総量規制の対象外だからです。
住宅ローンで2,000万円や3,000万円を借りていたとしても、審査にさえ通過すればカードローンを利用することはできます。
カードローンの公式ホームページで返済シミュレーションを行いたい場合は「他者借入残高」の項目に住宅ローンの借入金額を除いた金額を入力すればOKです。
住宅ローンの審査ポイント
住宅ローンの審査内容は「他者での借り入れ状況」だけではありません。
住宅ローンの基本的な審査ポイントを紹介します。
返済比率
一般的なカードローンの審査基準で重要なポイントの1つになるのが「返済比率」です。
返済比率とは「年間合計返済額÷年収」で算出される値のことです。申込者が住宅ローンの返済を行えるかを判断する材料になります。
返済比率があまりにも高い場合「借り入れ後の返済が難しいのでは?」と判断され、融資を受けることが難しくなってしまいます。
計算式の「年間合計返済額」カードローンの借入額も対象です。カードローンを利用すると、自然と借入比率が高くなります。
つまり、カードローンを利用しているから審査に落ちてしまうことはありませんが、借入金額が年収に対して多すぎる場合は影響を与える場合もあるということです。
物件の担保価値
住宅ローンを組むとき、金融機関は購入物件に抵当権を設定します。
購入物件を担保にして融資を行うため、購入物件の価値が融資額に対して見合っているかどうかは重要なポイントです。
物件価値が低いことが原因で、希望額が借り入れられないことも考えられます。
属性
年齢や年収、勤務先、勤続年数などの「申込者の返済能力」の判断材料になる項目のことです。
大企業のサラリーマンや公務員は属性が良いと判断されて、審査に有利になることが多くなります。同じ職業であれば年収が多いほど有利です。
ただし、仮に正社員であったとしても、勤続年収が短いと収入が安定していないと判断されることがあります。
仕事を辞めると収入がゼロになって、返済能力がガタ落ちするためです。
住宅ローン申し込み前のポイント
住宅ローンの審査に通過したい場合には、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。住宅ローンに申し込み前のポイントとして、以下の2点を解説します。
- 借入金は完済しておく
- 放置しているカードローンは解約する
借入金は完済しておく
住宅ローンの審査では、信用情報機関でカードローン等の借り入れ記録をチェックします。
カードローンのリボ払いは毎月の支払いを一定にできるうえ、追加での借り入れも可能な便利なサービスです。しかし、うっかり借りすぎてしまうと借入残高が一気に増えてしまうリスクがあります。
借り入れ残高が多すぎると「リボ払いの返済で精いっぱいなのでは?」と銀行に判断されやすくなってしまいます。
余計なマイナスポイントを作らないためには、カードローンの借入金はあらかじめ解約しておくことをおすすめします。
放置しているカードローンは解約する
カードローンには「利用限度額」が設定されている限度額は「与信額」とも呼ばれており「利用者が希望すれば、いつでも借りることができる金額」です。
つまり、実質的には借入限度額の分だけで借金していると判断されるわけです。
与信枠が大きいほど住宅ローンの貸し倒れのリスクが高まります。借入限度額が大きすぎる場合は、あらかじめ解約しておくのがおすすめです。
なお、クレジットカードのキャッシング枠も同様です。キャッシング枠として設定された金額は利用者の判断でいつでも借り入れが可能です。
クレジットカードにキャッシング枠が設定されている場合、カード自体を解約するか、キャッシング枠を0円に設定し直しましょう。
住宅ローンに落ちた時
住宅ロ―ンはカードローンの利用実績に関係なく、通過できないこともあります。
カードローンを持っていたから審査に落ちたと結論付けることはできません。
年収や物件担保価値、勤続年数や他社での借り入れなど、判断材料は多岐に渡るうえ、審査に落ちた理由は開示されることはありません。
ただ、今後の参考にするために自身の信用情報の開示請求を行うことはできます。
もしも返済の遅れが事故情報として記録されていれば、それが原因だった可能性はあるでしょう。
信用情報に問題がないのに落ちてしまった場合は、年収や勤続年数、勤務先など別の原因が考えられます。
ただし、信用情報だけでは落ちた理由を知ることはできません。あくまでも参考程度と考えて開示請求を行いましょう。
審査に落ちたあとの再申し込み
審査に落ちた人が住宅ローンの審査に再度申し込む場合、すぐに申し込むのは避けてください。
信用情報機関に最低半年は申し込み情報が記録されます。
それを見た住宅ローン担当者が「何か問題があったから落ちたのだろう」と判断することが考えられます。
審査に落ちた申込み履歴が残った状態では、次の審査でも落ちる可能性が高まってしまうのです。
再度の申し込みは、審査に落ちてから最低半年は開けることをおすすめします。
カードローンを持っていると住宅ローンに影響する? まとめ
今回は、カードローンを利用していること・利用していたことが住宅ローンの審査に影響を与えるのかを紹介しました。
カードローンを利用していたからといって、直ちに影響はありません。しかし、返済遅れなどの事故情報が信用情報に載っている場合は影響が出てきます。
利用せずにローンカードだけ持っている場合でも、利用限度額次第で多額の借金をしていると判定される可能性もあります。
「不要なカードローンはできるだけ解約する」「返済の遅れは発生させない」等に気を付けて利用しましょう。