銀行カードローンと消費者金融の違い|審査の甘い銀行ローンはある?
金融機関からお金を借りようとした場合、さまざまな選択肢があります。
住宅ローンや自動車ローンはもちろん、クレジットカードのキャッシング枠を利用する方法もあるでしょう。
もしも「1回の審査で何度も借りられるようにサービス」となると、選ぶべきはカードローンです。
今回は銀行から借りられる「銀行カードローン」について解説します。
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銀行カードローンのしくみ
カードローンとは「無担保・保証人なし」でお金を借りられるサービスのことです。
似たようなローンが他にもたくさんあるため、違いが気になりますよね。
ほかのお金を借りるサービスとの特徴の違いを解説します。
消費者金融カードローンとの違い
銀行のカードローンは楽天銀行やジャパンネット銀行、三井住友銀行、スルガ銀行などの大手銀行・都市銀行・地方銀行が提供しています。
一方の消費者金融系カードローンは、アコムやプロミス、アイフルなどの消費者金融が提供元です。
似通った両者ですが、適用される法律が違います。
銀行は「銀行法」、消費者金融は「貸金業法」が適用されます。
適用される法律の違いによって、カードローンの内容も少しずつ異なっているのです。
例えば「即日融資ができるかどうか」というポイントがあります。
銀行カードローンの申し込みを受けた銀行は、警察庁のデータベースに申込者の情報を照会するため即日融資はできません。
一方の消費者金融系にはそのような決まりはありません。
金利にも違いがあります。
消費者金融の金利が概ね「3.0%~18.0%」なのに対し、銀行は「2.0%~15.0%」前後であることが多くなっています。
金利の低さで選ぶなら銀行、融資までのスピードで選ぶなら消費者金融と理解しておくと良いでしょう。
キャッシング枠との違い
カードローンと同じ「キャッシング」と呼ばれるものに、クレジットカードもあります。
カードにキャッシング枠を付帯させることで、ATMからの引き出しや口座への振込依頼で現金を借りられます。
銀行カードローンは借入専用のサービスであるのに対し、キャッシング枠は買い物とキャッシングを両立できる点で異なります。
「金利の違い」も大きいです。
クレジットカードの金利は年18.0%前後が一般的ですが、銀行カードローンは2.0%~15.0%程度と幅があります。
金利だけを比較すると銀行カードローンの方が低金利なのです。
フリーローンとの違い
ローンといえばカードローンのほかにも、住宅ローンや自動車ローンがあります。
こちらは借りる目的が明確になっている時に使う商品です。
フリーローンの場合は名前の通り、借りたお金の利用使途が限定されていません。(ただし「事業目的」「投資目的」で借入れすることはできません)
カードローンも利用使途が自由であることで知られている似たようなサービスではありますが、大きな違いはいくつもあります。
今回は、以下の2つの違いを解説します。
- 借入回数
- 返済期間の有無
借入回数
もっとも大きな違いは「借入回数の違い」です。
フリーローンは住宅ローンなどと同じく、一度借りたらそれで契約は終わりです。
完済するまではあらためてお金を借りることはできません。
以前に利用した履歴があっても、審査のスピードが速くなることはありません。
一方のカードローンは、契約時に借入限度額が設定されます。
借入限度額の範囲内であれば、いつでも何度でも借り入れが可能です。
借り入れるタイミングと金額を利用者が決められるのがメリットです。
また、借りたお金を返済すれば、そのぶんだけ利用可能額は元に戻ります。
返済した分だけ、あらためて借り入れることもできます。
返済期間の有無
フリーローンは住宅ローン等と同じく「10年以内に完済」といったように返済期間が設定されています。
一方のカードローンは、借入金に対して決まった金額を毎月返済する「リボルビング払い」を利用します。
返済途中でも借り入れ限度額に余裕があれば何度でも借り入れできるため、完済までの「返済期間」という概念が存在しません。
目的別ローンとの違い
目的別ローンとは、住宅や自動車、教育などの「借りる目的が決まっているローン」のことです。
利用使途が限定されているため、例えば自動車ローンなら「ディ―ラーからの見積書などの提出」が求められます。
利用可能な目的以外に使うことはできません。
一方のカードローンは利用使途は限定されないため、利用者の自由に使うことができます。
銀行カードローンのメリット
銀行カードローンには、ほかのサービスにはない数々のメリットがあります。今回は、以下のメリットについて解説します。
- 消費者金融よりも金利が低い
- 銀行のキャッシュカードで借り入れができる
消費者金融よりも金利が低い
消費者金融との比較でもっとも分かりやすいのは、「金利」の違いでしょう。全体的に銀行の方が低金利になっています。
代表的な銀行と消費者金融の金利の違いを見てみましょう。
【銀行】
銀行名 | 楽天銀行 | 三井住友銀行 | イオン銀行 |
---|---|---|---|
実質年率 | 1.9%~14.5% | 4.0%~14.5% | 3.8%~13.8% |
【消費者金融】
消費者金融 | アコム | アイフル | プロミス |
---|---|---|---|
実質年率 | 3.0%~18.0% | 3.0%~180% | 4.5%~17.8% |
消費者金融の金利は概ね3.0~18.0%であることが多いです。
プロミスの最大金利は17.8%と若干低いですが、大きな違いではありません。
一方の銀行の金利は、銀行ごとの差が大きいのが分かります。
基本は最大金利15.0%前後が多いですが、中にはイオン銀行のように13%台もあります。
基本的には銀行を利用したほうが金利が低いため、総返済額は安く抑えることができます。
銀行のキャッシュカードで借り入れができる
「カードをいくつも持つのは面倒」
このように考えている人は実に多いです。
今ではどんな店でもポイントカードを導入していますから、気が付くと財布の中がカードでパンパンになることもあります。
銀行カードローンであれば、普段持っているキャッシュカードを使って借り入れや返済が可能です。
ATM手数料をかけずに借りやすい
消費者金融でも銀行でも、ATMを利用する時は手数料が発生する場合があります。
金額に応じて110円から220円程度ですが、何度も利用すると大きな金額になってしまうのです。
銀行カードローンごとに「どのATMでいくらの手数料がかかるのか」は異なります。提供元の銀行のATMを利用すれば手数料はかかりません。
セブン銀行やゆうちょ銀行ATMであれば利用しても手数料が発生しない銀行も多いため、自社ののATMとあわせて「手数料がかからない環境」での借り入れや返済がしやすいのです。
銀行カードローンのデメリット
多くのメリットがある銀行系カードローンですが、もちろんメリットばかりではありません。
他のキャッシングと比較した時の注意点・デメリットもあります。
今回は以下の注意点について見ていきましょう。
- 即日融資ができない
- 消費者金融のような無利息サービスが少ない
即日融資はできない
カードローンを利用したいと思っている人の中には「できるだけ早く、できれば今日中にお金が欲しい」という人もいるでしょう。
しかし、銀行では即日融資ができません。
理由は「審査の際に警察庁のデータベースにアクセスする義務がある」ためです。
申し込んできた人が暴力団等の関係者であるかどうかを確認する作業で、最短でも1日以上の時間がかかります。
アクセスが集中している場合等は、1週間程度の時間がかかる場合もあります。
このような理由から、銀行カードローンでは即日融資ができません。
「今すぐに借りたい!」という場合には選択肢から外れることになります。
消費者金融のような無利息サービスが少ない
消費者金融では多くの企業で、銀行にない特典として「初回利用時30日間無利息になるサービス」を提供していいます。
アコムやアイフル、プロミスをはじめとした大手消費者金融のほか、いわゆる中小消費者金融でもサービスとして展開している企業は多いです。
一方の銀行カードローンでも、無利息サービスを導入する銀行はあります。しかし、数ある銀行の中で導入しているのはごく一部です。
例えば愛媛銀行の「ひめぎんクイックカードローン」では、契約日の翌日から30日間の無利息サービスを展開しています。
「ジャパンネット銀行のカードローン」は「初めての借り入れ日から30日間は無利息」です。
カードの契約をしてから借りずにしばらく持っていたとしても、借り入れた日からきっちり30日間は利息をかけずに利用できます。
しかし、そのほかの大半の銀行では無利息サービスは導入されていません。
はじめてのキャッシングの際にお得になりやすいのは、あらゆる企業で30日無利息サービスが用意されている消費者金融ということになります。
銀行カードローンの審査ポイント
消費者金融に比べるて、銀行は審査が甘いということはあるのでしょうか?
銀行カードローンの審査のポイントは、正式には公表されていません。
しかし、一部の情報に限っては判明している部分もあります。
審査でチェックされるポイントとして、以下の3つを解説します。
- 属性情報
- 他社借り入れ状況
- 信用情報
属性情報
属性情報は、年収や勤務内容、勤続年数などから「利用者の返済能力」にかかわる多くの項目からできています。
銀行や消費者カードローンの申し込み条件は「20歳以上~〇歳未満」「継続した安定収入」と定められていますが、この条件を満たしていれば誰でも借りられるわけではありません。
例えば「年収」。
年収1,000万円の人と年収300万円の人を比較すれば、どちらが返済能力が高いかは明白でしょう。
年収が高いほど生活費を差し引いて手元に残る金額が多いため、返済能力が高いと判断されます。
勤務先については、安定感がある職種の方が審査には有利です。
例えば公務員が好例です。景気に関係なく雇用が安定していて給与水準も高く、返済能力が高いとされています。社会的な地位があることため、「今後も継続して働くだろう」といった高評価を受けやすいのです。
公務員のほかに、大企業の正社員も同様に評価は高くなる傾向にあります。
逆に日雇いのアルバイトや水商売、自由業の場合は安定しているとは言えないことから、相対的に評価は低くなりやすいと言われています。
勤続年数も重要です。
勤続年数が短い状態(入社したて)での申し込みは「職を転々としているのでは?」というマイナスの印象を与えることになります。
会社を辞めると返済能力が大きく損なわれるため、長く勤めていることが信用を持たれやすいのです。
これら以外にも様々な観点から評価を行い点数化する「スコアリングシステム」で審査が進んでいきます。
ただし、上記の審査項目はあくまで一例です。
銀行ごとに審査内容や評価の基準は異なるため、「公務員だから絶対に通過できる」「水商売だから絶対に通過できない」というわけではありません。
他社借り入れ状況
銀行は、審査の中で個人信用情報機関にアクセスします。
その時点でいくらのお金を貸金業者から借りているか、記録されているデータから簡単に読み取ることができます。つまり、他社から借りているお金でも信用情報機関を通じて筒抜けになるのです。
他社借入の状況の確認するのは、総量規制に抵触しないかを確認するためです。
総量規制とは
総量規制とは貸金業法で定められた「年収の3分の1を超える貸付を行ってはいけない」というルールのことです。
過度な借り入れから利用者を守るために制定された法律で、例えば年収300万円のひとであれば借りられる金額は最大で100万円です。
100万円という金額は1社あたりではなく、借入している全ての貸金業者全体で判断します。年収300万円の人がA社で70万円の借り入れをしている場合、B社で新しく借りられるのは最大でも30万円です。
銀行法が適用される銀行カードローンでは総量規制の対象外ですが、似たような独自の基準を銀行ごとに設けています。
総量規制に抵触している場合は、銀行カードローンであっても借り入れるのは難しいのです。
信用情報
信用情報は、申込者の過去の金融取引の履歴が記録された情報のことです。個人信用情報機関に申込者のこれまでの利用実績が記録されています。
「これまでに借りたお金をキチンと返しているか」「返済の遅延や自己破産を発生させていないか」を確認します。
もし返済の遅延・自己破産などの金融事故情報が記録されている場合、審査に通過することは原則として不可能です。
返済遅延の事故情報は最低でも「完済から5年間」は記録され、ローン審査を受ける上で大きさ足かせになってしまいます。
銀行カードローンの審査は甘くない
銀行も消費者金融も審査基準は公表されていません。
ネット上では「消費者金融は審査が甘い」「地方銀行なら審査が甘い」という書き込みも見受けられますが、いち個人の体験や感想であって、万人に当てはまる情報ではありません。
金融機関は「お金を貸し出して金利を得て、原本を回収する」ことでビジネスが成り立っています。
多くの融資を行うために審査を甘くして、返済が不能になるリスクは絶対に避けなければなりません。
なので、「審査が甘い銀行カードローン」は、存在しないというのが結論になります。
銀行カードローンの特徴 まとめ
今回は、銀行カードローンの基本情報を解説しました。
他のキャッシングと比較して、メリットもデメリットもあります。
サービスごとの特徴を理解して、自分に最適な金融機関のキャッシングを利用しましょう。