1. お金借りるトリセツ
  2. お金に関する豆知識
  3. 出産扶助とは|生活保護を受けている人が妊娠した場合は受給を継続できる?

出産扶助とは|生活保護を受けている人が妊娠した場合は受給を継続できる?

 2021/03/04 お金に関する豆知識   116 Views

日本国憲法第25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」を具体的に実現する制度として知られているのが「生活保護」です。

ひとくちに生活保護といっても8つの扶助に分かれており、中でも妊娠・出産に関する費用については「出産扶助」の支給を受けられます。

また、生活保護以外にも多くの公的制度によって、妊娠・出産に関する費用助成を受けることも可能です。

今回は出産扶助の概要と支給内容のほか、その他の公的制度の内容についても併せて紹介します。妊娠・出産を考えておられる方の参考になりましたら幸いです。

出産扶助とは

出産扶助は、生活保護で8つある扶助の1つです。生活保護を受けている人が出産するための費用の助成を受けられます。

まずは、出産扶助の全体像について見ていきましょう。

出産扶助の項目は3項目

ひとくちに出産扶助といっても、大きく分けると以下の3項目の助成に分かれます。

  • 分娩の介助
  • 分娩前、分娩後に必要な処置
  • 脱脂綿・ガーゼなどの衛生材料
出産扶助の全体像について確認してみましょう。

支給方法

支給方法は原則として「現金支給」です。

出産扶助の支給項目には「基準額」「出産に伴う入院費」「衛生材料費」の3つがあり、その合計額が現金で支給されることになります。

基準額

出産費用に充てるための金額で、令和2年の支給金額は以下のとおりです。

  • 施設分娩の場合:上限29万5,000円以内
  • 居宅分娩の場合:上限25万9,000円以内
支給額については随時更新される可能性があるため、ケースワーカーに相談して最新の金額を確認することを忘れないでください。

また、やむを得ない事情で上記の基準額を超える場合は、さらに「特別基準」が設定される場合があります。

令和2年10月以降の特別基準は305,000円であり、ここまでは生活保護でカバーすることが可能です。

出典:生活保護法による保護の基準表

なお、双子を出産する場合は基準額も2倍になります。

出産に伴う入院費

出産に関する入院について、最大で8日間の入院費が実費で支給されます。

ただし、個室や少人数部屋を選択する場合の「差額ベッド代」については当然のことながら請求できません。

もっとも安い大部屋の料金がベースになることは覚えておきましょう。

衛生材料費

包帯やガーゼなどの衛生用品に対してかかった金額が全国一律で支給されます。
金額は令和2年10月以降で6,000円です。

おむつ代に使える「出産準備費用」「産婦加算」

上記で紹介したもののほかにも、出産に関して手当てを受けることができ、代表的なものに「出産準備費用」があります。

寝具や産着、おむつなどを購入するための被服費であり、本来の被服費は毎月の生活費として支給される「生活扶助」に含まれています。

しかし、最低限必要な量に対して不足していると認められれば、臨時的に出産準備費用が別途で支給されるのです。

ただし、出産の準備内容は各家庭で異なるため、支給の内容も家庭ごとに異なります。
必ずしも全世帯で受け取れる金額が一律ではありません。

入院助産制度とは

妊娠や出産は病気ではないため、正常な自然分娩であれば健康保険の適用にはなりません。

原則として出産費用は全て自費負担(出産育児一時金は支給される)です。
しかし、それでは出産できない人もいるでしょう。

そのような人が利用できるのが入院助産制度です。

入院助産制度とは、生活保護を受給している人や健康保険が使えない人、経済的な事情で出産できない妊産婦の方の出産費用を助成する制度です。

以下の4つのいずれかに当てはまる人が助成の対象になります。

  1. 生活保護を受けている世帯
  2. 当該年度分(4月〜6月出産の方は前年度分)の市民税が非課税の世帯
  3. 当該年度分(4月〜6月出産の方は前年度分)の市民税が課税され,前年分(1月~6月出産の方は前々年分)の所得税が非課税の世帯
  4. 当該年度分(4月〜6月出産の方は前年度分)の市民税が課税され,前年分(1月〜6月出産の方は前々年分)の所得税が8,400円以下の世帯で,市長が特に必要と認めた世帯

引用元:京都市情報館|入院助産制度

注意点は、3と4の条件の人のケースでは「出産育児一時金が40万4,000円以上であり、産科医療保障制度の保険が締結されている」という場合には利用できないことです。

また、出産に関して助成してもらえるといっても、1~4に当てはまる全員が無料になるわけではありません。

自己負担の金額は、以下の表のとおりです。

区分 基本額 加算額
上記の1に該当 0円 0円
上記の3に該当 0円 出産育児一時金×0.2
上記の3に該当 1,100円 出産育児一時金×0.3
上記の4に該当 2,500円 出産育児一時金×0.5

表の出産育児一時金は、産科医療補償制度によって加算される額(1.6万円)を除いた額であることに注意してください。

入院助産制度と出産扶助の違い

どちらも生活が困窮している人が利用できる制度ですが、内容としては全く別の制度です。

制度内容の違いを表にまとめました。

入院助産制度 出産扶助
対象者 ・生活保護の受給者

・市民税が非課税の世帯など

生活保護の受給者
内容 ・出産育児一時金×〇%の自己負担になる

・生活保護受給世帯は無料

・基準額

施設分娩の場合:上限29万5,000円以内
居宅分娩の場合:上限25万9,000円以内

・出産に伴う入院費が実費支給

・衛生材料費=6,000円

注意点 出産育児一時金を40万4,000円以上受け取っていると利用できない場合がある 申請書と見積書又は領収書の提出が必要

もっとも安い金額が支給される

 

生活保護受給者が妊娠した場合

妊娠している人が生活保護になった場合のほか、生活保護を受けている人が妊娠することも考えられます。

その場合、これからも生活保護を受け続けることができるのでしょうか?

もし「生活保護中に妊娠したら保護の対象外になる」ということだと安心して出産できませんね。
実際はどうなのでしょうか。

妊娠しても生活保護は受けられる

結論を言ってしまうと、妊娠していても生活保護は受けられます。

生活保護を受けている人が妊娠した場合「生活保護が打ち切りにならないか……」と心配になってしまうことがあるかもしれません。

しかし、打ち切りになることはありません。
むしろ、妊娠することで加算が増えて、受け取れる金額が増えることになります。

それでは、実際にはどんな加算が受けられるのでしょうか。

妊娠・出産による加算や扶助がある

生活保護の受給者が妊娠した場合や出産した場合、母子家庭で育てていく場合には、それぞれ以下のような手当を受け取れます。

  • 妊婦加算
  • 産婦加算
  • 母子加算
妊娠期間中は妊婦加算、出産後6ヶ月までは産婦加算、その後から子どもが18歳になるまで母子家庭で子育てするなら母子加算がそれぞれ加算されます。

妊婦加算

妊婦加算は、生活保護の受給者が妊娠した場合に受け取れる加算です。

妊娠6ヶ月未満か、それ以降化かで金額が変わります。令和2年以降の妊婦加算は以下のとおりです。

  • 妊娠6ヶ月未満:9,130円
  • 妊娠6ヶ月以降:13,790円
引用元:厚生労働省|生活保護法による保護の基準表

産婦加算

生活保護の受給者が出産した場合、最長6ヶ月に渡って支給を受けられる加算です。

産婦加算の金額は一律で、令和2年10月以降は例えば1級地であれば8,480円が受け取れます。

ただし級地によって支給額が異なる場合があるため、給付を申請する前に自治体に給付額を確認しておきましょう。

母子加算

母子加算は、母子家庭で子どもを育てる受給者が受け取れる加算です。

令和2年10月から基準改定が行われ、以下の金額になっています。

母子加算の対象者 令和2年10月から
1人目 17,400円
2人目に加算する額 4,400円
3人目以降1人増すたびに加算する額 2,700円

引用元:厚生労働省|母子加算

その他の公的な制度

生活保護の受給者は出産扶助や、入院助産制度で出産のサポートを受けられます。

しかし、経済的に自立したあとは、生活保護から抜けて通常の健康保険のサポートを受けることになります。

そこで、出産扶助や入院助産制度以外制度についても概要を押さえておきましょう。

出産育児一時金

健康保険に加入している場合、健康保険から「出産育児一時金」を受け取れます。

被保険者やその被扶養者が出産した場合、1児につき42万円が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合には、給付額が40.4万円に減額される点に注意が必要です。

支給を受ける条件

出産育児一時金を受け取るための条件は、「被保険者または家族が妊娠4ヶ月(85日)以上で出産したこと」です。

そのため早産・死産・流産であっても支給の対象になります。

産科医療補償制度とは

産科医療補償制度は利用者ではなく、医療機関が加入する制度です。

加入医療機関で制度の対象になる出産をして、万が一分娩時に何らかの理由で脳性まひが起こったときに子どもと家族の経済的負担について一定の補償を受けられます。

申請期限は子どもが満5歳になるまでで、満5歳の誕生日を過ぎると補償申請を行うことができなくなります。

出産手当金

会社員や公務員として働いている人が、勤務先の健康保険から受け取れるお金のことです。

ただし、自営業やフリーランス等の国民健康保険に加入している人については、支給されない点に注意しましょう。

受け取るための条件は以下の4つです。

  • 勤務先の健康保険に加入していること
  • 妊娠4ヶ月目以降の出産であること
  • 出産のために休業していること

退職後でも受け取りが可能

またすでに退職してしまった人であっても支給の対象です。以下の2つの条件に合致する場合は退職後でも支給を受けられます。

  • 退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していること
  • 出産手当金の支給対象期間内に退職していること
1つめの受験は「退職まで1年以上勤務していること」です。ポイントは「継続して」という点で、3ヶ月働いて退職、また再就職して6ヶ月働く、という場合は支給されません。

また出産手当金の支給期間内に退職していることも必要です。

対象の期間は「出産予定日前42日(多胎妊娠の場合は98日)+出産予定日から遅れた出産日までの日数+56日」で、この期間に該当すれば出産時点ですでに退職していても出産手当金を受け取れます。

受け取れる金額は、「支給開始以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日」で算出された金額の3分の2です。

なお、平成28年4月から傷病手当金の額が出産手当金の額より多い場合はその差額が支給されることになっています。

妊婦健診などの助成

妊婦健康診査を行う場合の費用は全額自己負担が原則ですが、市区町村から検査費用の一部の助成を受けられます。

例えば静岡市では妊娠健康診査の受診票を最大14回分交付されることで費用の一部が助成されます。
ただし、健診費用が助成額を上回った場合の超過分は自己負担になります。

助成金を受け取れる場合でも申請は必要ありません。

受診票は母子健康手帳と一緒に渡されます。

参考:静岡市|ちゃむしずおか

ただし、市区町村によって対応は全く異なります。

たとえば北海道の南富良野町の公式webサイトに以下の記載があります。

妊婦健康診査受診票に記載された項目について、全額助成します。

引用元:南富良野町|妊婦健診費用の助成

南富良野町では、妊婦健診に関する費用の全額を補助してもらえます。

金銭的な心配なく妊婦健診に臨むことができるでしょう。

さらに南富良野町の場合、「すこやか出産支援金」として「第1子5万円」「第2子10万円」「第3子15万円」の給付を受けられます。

このように、自治体によって妊婦健診や出産に関するサポートはまるで違うため、気になった方は自身の自治体の公式webサイトで、妊婦健診や出産に関する独自の助成金がないかを確認してみましょう。

まとめ

出産扶助や入院助産制度のサポートを受けることで、生活保護の身であっても出産することは可能です。

また、生活保護の受給中に妊娠したとしても問題はなく、母子家庭で育てるのであれば最長で子どもが18歳になるまで母子加算の支給を受けられます。

そのほか、生活保護から脱却できたあとは健康保険から出産育児一時金や出産手当の支給も受けられるほか、地方自治体によっては独自の助成金を受け取ることも可能です。

妊婦が受けられるサポートの全体像を知り、安心して出産に臨めるように準備を進めていきましょう。

\ SNSでシェアしよう! /

お金借りるトリセツの注目記事を受け取ろう

NO IMAGE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

お金借りるトリセツの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介

森本 陽子

森本 陽子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)AFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。FP森本陽子の詳細プロフィール

関連記事

  • お金(硬貨・紙幣)はどんな材質で出来ているの?

  • 自己破産後の生活はどうなる?次に借り入れできるのはいつ?

  • 生活保護は医療費がかからない|制度のメリットと問題点を解説

  • 衝動買いを抑えるには?無理せずに防ぐ方法

  • お金がなくても一人暮らしがしたい!費用の削り方を紹介

  • ローン借り換えシミュレーション